＃事例１＝今年５月末に中国で開かれた上海モーターショーに参加した現代（ヒョンデ）モービスの関係者は驚いた。 バイヤーを装って「現代・起亜（ヒョンデ・キア）車のエンジンとミッションを作れるか」と尋ねると、中国部品業者の関係者が「もちろん作れる」と答えたからだ。
現代モービスの関係者は「これまで模造品の製造業者はフィルターなどの消耗性製品しか作っていなかったが、今では核心部品までも作っている」と語った。 今年に入って摘発された中国製の現代モービス模造品は１４５億ウォン（約２０億円）分。 この１年間に摘発されたもの（８１億ウォン）のおよそ２倍にのぼる。
＃事例２＝コンデンサー製造業者のＳ社は昨年７月、北京支社を開設した後、模造品が出回っていることを知った。 消費者からのクレームの相当数が模造品だったからだ。 調査の結果、模造品流通業者は１０年間、同社と取引してきた中国バイヤーだった。 Ｓ社の関係者は「最近‘不良製品のため取引を中止する’というクレームが増えたが、調べてみると模造品のためだった」と怒りを表した。
韓国企業が中国製模造品のため頭を悩ませている。 韓国貿易協会によると、模造品による韓国輸出支障額は全体輸出額の５ー７％にのぼる。 貿易協会は昨年の輸出額（３２５４億ドル）を基準に模造品による被害額は少なくとも１６２億ドルにのぼると推定した。 特に、全世界模造品市場の３分の２を占めるほど中国製の模造品は悩みの種だ。
◆取り締まる意志がない中国政府＝中国製模造品は取り締まりが容易でない。 模造品業者は裏で巧妙に注文生産方式で模造品を作り、取引しているからだ。 また苦労して工場を突き止めたとしても、製品に商標が付いていなければ処罰できない。 事前に十分な証拠資料を提示しなければ、取り締まり機関の中国工商局が動かないという点も問題だ。
このため国内企業は中国内の専門エージェントを雇用し、取り締まりに必要な証拠資料を収集しているが、順調には進んでいないようだ。 セットトップボックス製造業者のＫ社も昨年１２月、中東バイヤーの抗議メールを受け、直ちに中国製模造品を取り締まろうとしたが、まだ成果は出ていない。 徹底的な調査で流通業者と生産工場を捜し出したが、現場を急襲するだけの明確な証拠を確保できていないためだ。
この業者の関係者は「われわれが製品１台を売る間に模造品が２台売れている状況だが、思い切った手を打てず困っている」と語った。 貿易協会のチョ・ハクヒ海外進出コンサルティングチーム長は「摘発されても‘不法営業額の３倍以内の罰金’という甘い処罰のため実効性が落ちる」と指摘した。
◆「韓国政府が取り締まりを」＝こうした状況に耐えられず国内企業は韓国政府の積極的な対応を要求した。 三星（サムスン）電子、ＬＧ電子などの企業代表２５人で構成された貿易協会知識財産保護特別委員会は１１日、中国産模造品に対する建議文を政府に提出した。
企業はこの建議文で「政府当局が両国経済長官会議などさまざまなチャンネルを通じて、模造品に対する中国政府のより積極的な取り締まり実施と処罰基準の強化を要求すべきだ」と求めた。 許鎮奎（ホ・ジンギュ）知識財産保護特別委員会会長は「中国の低価格模造品のため企業の売り上げが減るだけでなく、韓国製品に対する信頼が落ちている」とし「国内被害業者の厳しい状況を考慮して政府が積極的に動かなければならない」と語った。
ハン・エラン記者
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