「韓国のろうそく集会、不平等に対する憤怒…政治ではなく経済事件」

２カ月で平凡な市民１０００万人が殺到した韓国の「ろうそく集会」を世界はどのように見ているだろうか。

多くの外信は今回の事態を朴槿恵（パク・クネ）大統領と崔順実（チェ・スンシル）被告が関連した政治ニュースとして扱っているが、オックスファムインターナショナルのウィニー・ビアニマ総裁は「韓国のろうそくデモは『不平等』に対する大衆の憤怒が表出された経済事件」と話した。

世界的な国際救護開発機関であるオックスファムは先月スイスで開かれた世界経済フォーラム（ダボスフォーラム）で世界の所得不平等の実態を告発した「９９％のための経済」と題する報告書を発表し注目されていた。

ビアニマ総裁は３１日に中央日報とのインタビューで「今年のダボスフォーラムはいつになくグローバルリーダーの間に既存方式で資本主義を維持できず、単純な経済成長だけで問題を解決できないという認識が広まった」と当時の雰囲気を伝えた。

◇健全な市場経済が貧困解決のカギ

今年のダボスフォーラムは今後１０年間に世界を脅かす３大リスクとして所得不平等と社会の二極化、環境悪化を挙げた。オックスファムによると現在世界で８人の大富豪が持つ財産（金融資産基準約４２６０億ドル）が世界の所得下位３６億人と釣り合う。３６億人は世界の人口の半分に相当する数だ。韓国も李健熙（イ・ゴンヒ）サムスン電子会長（約９６億ドル）、徐慶培（ソ・ギョンベ）アモーレパシフィック会長（約７７億ドル）ら１６人の富豪が持つ財産が所得下位３０％人口と同水準だ。

不平等とこれによる二極化は経済を超え政治・社会体制を脅かす信管になった。ビアニマ総裁は「健全な市場経済は貧困と不均衡問題を解決するカギだが、われわれはいまそうした健全な体制の中に住んでいない」と指摘した。ビアニマ総裁は特に女性の経済的差別を深刻に受けとめた。

「ベトナムの衣類工場で働く女性たちとインタビューをしたことがあります。彼女たちが１日１２時間ずつ週６日働いて稼ぐお金はせいぜい１時間当たり１ドルでした。名前を聞けば知っているそのファッション企業の最高経営責任者（ＣＥＯ）は世界で最も多額の給与をもらっているのに」。

ビアニマ総裁の故郷であるウガンダをはじめとするアフリカ諸国は女性労働者の境遇がさらに劣悪だ。彼女は「ケニアでメイドはほとんどが女性だが最低賃金は公的部門従事者にだけ適用されており多くが最低賃金にはるかに満たない給料で働いている」と残念がった。続けて「女性と男性が同じ経済的機会と補償を受けようとするなら教育を受ける権利と良質の育児サービス提供が必須」と強調した。ビアニマ総裁は教育者だった両親の支持の下で留学し、英マンチェスター大学で航空工学を専攻した。男女合わせて航空工学を専攻した初のウガンダ人だ。航空工学を選択した理由を尋ねると、「若い女性が選びそうにない分野だったため挑戦したかった」と話した。

◇世界化に背を向けるより改善しなくては

彼女は経済不平等を改善するための代案として「ヒューマンエコノミー」（人間中心の経済）を提案した。最上位にいる少数だけでなく多数のために作動するバランスが取れた市場経済体制を意味する。一例として、デンマークの場合、所得税を徴収して無償保健と無償教育など社会福祉費用全額を充当する。彼女は「大企業と富豪が正当な税金を納付し社員の賃金水準を高めるだけでも不平等改善に多いに役立つ」と主張した。

ビアニマ総裁は「３０年間の世界化は結果的に不平等と二極化を深化させた。トランプ政権が発足した米国だけでなく各国で自国中心主義的で国粋的な動きが当分続いたり深刻化して世界経済に否定的な影響を及ぼす恐れがある」と予想した。しかし彼女は「世界化に背を向けるよりは、世界化に後れを取った数百万人の人々の必要を満たす新しい形態の世界化がなされなければならない」と強調した。

ビアニマ総裁はフランス駐在大使、ウガンダ国会議員、国連開発計画政策部署などを経て２０１３年に国際救護開発機関オックスファムの総裁に就任した。ダボスフォーラムが公正で良い暮らしをする世の中のための経済の場になるべきだとして不平等問題を主要議題として浮上させた。