＜サッカー＞Ｋリーグの新人王３人が延辺に、その背後には習近平がいた

中国プロサッカー１部リーグ（スーパーリーグ）に今年昇格した延辺長白山ＦＣ（以下、延辺）が韓国選手を前に出して大陸征伐に向かう。

延辺は今年の中国プロサッカー甲級リーグ（２部リーグ）の優勝チームだ。

「第２の広州恒大」を標ぼうして１０００億ウォン（約１００億円）ほどの予算を注ぎ込んだ河北華夏幸福をはじめ、大連阿爾浜など、いくつかのビッグクラブの挑戦を退けて頂点に立った。

延辺の昇格ストーリーは一つのドラマだ。昨年は２部リーグ１６チームのうち最下位だった。乙級リーグ（３部リーグ）に落ちる運命だったが、２部リーグの２クラブが財政難で懲戒を受け、代わりに降格したことで劇的に残留した。危機感を感じた延辺は年初、サッカー韓国代表とプロサッカーＦＣソウルでヘッドコーチを務めた朴泰夏（パク・テハ）監督（４７）を迎え、雰囲気の刷新に取り組んだ。朴監督が攻撃力補強のためにＫリーグの水原サムスン所属のＦＷ河太均（ハ・テギュン、２８）を連れて来たのが神の一手となった。昨年３勝（１８敗９分け）に終わった延辺は今年１７勝（３敗１０分け）と、強豪チームに生まれ変わった。その中心に「朴神」と呼ばれた朴監督と今季２６得点して２部リーグの得点王となった河太均がいた。Ｋリーグ復帰を悩んだ朴監督は２部リーグ優勝が決まった後の記者会見で「一緒に苦労した選手たちを残して去ることはできない」とし、２年間さらにチームを指揮すると明らかにした。現場に集まっていた選手たちは涙を流した。

韓国サッカーの競争力を確認した延辺はスーパーリーグ参加を控え、韓国選手獲得に積極的に動いた。李林生（イ・イムセン）元深セン紅鑽（中国２部リーグ）監督をヘッドコーチとして迎え、鄭成竜（チョン・ソンリョン、３０、水原）、金承奎（キム・スンギュ、２６、蔚山）ら韓国代表ＧＫを育てた金星洙（キム・ソンス）ＧＫコーチ（５２）も連れてきた。さらに浦項スティーラーズのＦＷ金承大（キム・スンデ、２４）と済州ユナイテッドの司令塔ユン・ビッカラム（２５）の獲得も事実上決まった。河太均、金承大、ユン・ビッカラムはＫリーグ新人王という共通点もある。河太均が２００７年、ユン・ビッカラムが２０１０年にそれぞれ新人王になり、金承大は昨年ヤングプレーヤー賞（満２３歳以下、プロ３年目以下の最優秀選手）を受賞した。浦項の関係者は「延辺が球団に少なくない移籍料を約束したうえ、選手の年俸も３倍ほど上がると聞いている。金承大は浦項の核心メンバーだが、情や義理に訴えて選手を引き止めるのには限界がある」と述べた。

延辺ＦＣは延辺朝鮮族自治州政府が運営するサッカーチームで、予算が１２０億ウォン（約１２億円）ほどにすぎない小規模クラブだ。それでも冬の移籍市場で存在感を見せたのは習近平国家主席（６２）が側面支援したためだ。習主席は７月、延辺を訪問し、自治州政府の関係者に「サッカーチーム財政支援を増やす方法を考えてほしい。規定にやや外れる部分があっても気にしなくてよい」と指示した。サッカーファンと知られる習主席は「中華民族の偉大な復興という中国の夢と体育強国の夢は相通じる」とし「団体スポーツのサッカーを積極的に普及させて国民に協調心を教え、中国サッカーを世界最高に導く」とし「サッカー崛起プロジェクト」を率いている。

習主席の訪問後、タイトルスポンサーシップ企業の富徳保険は年間８０億ウォン程度だった従来の後援額を３５０億ウォンへと大幅に増やした。地域内のいくつかの企業が競ってスポンサーシップを自ら要望し、延辺州政府も支援金を増やすことにした。スーパーリーグ所属として受けるテレビ中継権料も１００億ウォン以上となる見込みだ。スーパーリーグは１０月、チャイナスポーツメディアグループと来年から５年総額８０億元（１兆４５００億ウォン）でテレビ中継権料の契約を結んだ。年平均１６億元で、今年（５０００万元）の３２倍にのぼる。延辺球団の事情に詳しい関係者は「来季の延辺の予算は５００億ウォン前後」とし「このうち外国人選手獲得のための予算は５０億ウォンほど。ほとんどが韓国人選手獲得費用に使われるだろう」と話した。Ｋリーグクラシック球団の１年の平均予算は１５０億ウォン程度だ。

朴泰夏監督は「球団の予算が４倍以上増えたとしてもスーパーリーグ全体を基準に見るとまだ中・下位圏」とし「延辺ＦＣは２部リーグでも、選手一人一人の不足した競技力を組織力でカバーして優勝した。韓国人選手を中心にチームプレーを整え、もう一度奇跡に挑戦したい」と述べた。