＜米国産牛肉全面開放＞韓米豪３国が競合

「安価」を掲げた米国産牛肉が外食業界を威圧している。米国産牛肉だけを材料に使う牛肉専門店「ダミソ」（みんなが微笑む、という意味の造語）は年末まで１００店舗（現在７店舗）を目指すという計画だ。同社のパク・チャンギュ社長は「物価が上昇する状況で、米国産牛肉を売る低価格型の牛肉専門店が受けるだろう、と期待する創業希望者が急増している」とした。

牛肉炭焼きのチェーン店「ソガミソ」（牛が微笑む、という意味の造語）も、３５店舗だけで現状を維持するとした戦略を変更し、１００の店舗増設方針を決めた。米国産牛肉の攻勢に、韓国産牛肉（韓牛）専門店は「ブランド化戦略」で対応する、との意志を強く示している。とりわけ６月から強化される「原産地表示制」と下半期に全面導入される「生産履歴追跡制」は、韓牛と輸入牛肉の差別化を明確にする契機になる見込みだ。

慶尚北道慶州市（キョンサンブクド・キョンジュシ）と慶州畜産協同組合が共同で生産する韓牛ブランド「慶州千年韓牛」は、トコフェロールと海草抽出物が添加された専用飼料を食わせて免疫力を増やした高級韓牛だ。また、韓牛の生産・加工・流通などすべての生産過程がわかる履歴追跡制をすでに導入している。

流通システムの改善でコストダウンを図り、外国産の攻勢に対抗する韓牛専門店もある。農協・牧牛村が運営する牛ヒレ肉専門店「ウェルビーイング村」では、中間流通過程を省くことで、最上等の韓牛ヒレ肉を２万３０００ウォン（約２３００円、２００グラムベース）に売っている。同社のキム・ジェピル課長は「米国産牛肉の攻勢を控えて委縮しているのは事実だが、最少の費用で高級牛肉を味わえるというイメージでアピールする考えだ」と強調した。

０３年末、牛海綿状脳症（ＢＳＥ）の影響で米国産牛肉の輸入が中断された後、売り上げを伸ばしてきた豪州産牛肉専門店は市場を守ることに苦心している。昨年、豪州産牛肉は韓牛（１４万８０００トン）をはるかに上回る１７万１６００トンが国内で売れた。事業主らは「米国産よりは安全で韓牛よりは安いために、競争力を維持できるだろう」と自信を示した。

有機農法による牛肉の炭焼き専門店「ウサム」の場合も、そのために豪州産だけを使っている。ユン・ヤンヒョ社長は「メニューにも抗生剤を使わず自然で育てた牛、という点を明記している」と話した。ユン社長は米国産牛肉の輸入が本格化すれば、約１０００ウォンの引き下げを行う計画だ（現・１５０グラム＝６０００～７０００ウォン）。同社長は「安全性を売り物にし、高級韓牛と安価な米国産牛肉のすき間を狙えば、地道に消費層を確保していける」と確信している。

農村経済研究院は、牛肉市場をめぐる韓米豪３国の競合が１年ほど激しく展開されるものと見込んでいる。ホ・ドク研究委員は「米国産の輸入が最も多かった０３年に、カルビ（骨付きの牛バラ肉）だけでも１３万トンが輸入された」とし「このレベルを回復するまで少なくとも１年はかかるだろう」と見通した。

同院が最近調べたところによると、牛肉消費者は、韓牛ならば米国産価格の１１０％を、豪州産ならば米国産価格の１０％を、それぞれさらに支払う意向があると答えている。米国産牛肉の安全性に対する不信感が依然残っているわけだ。

文炳周（ムン・ビョンジュ）記者