韓国版「シャーロック・ホームズ」合法化されるか

警察が、よく「私設探偵」と呼ばれる「民間調査員」制度の導入とこれに必要な関連法制定の広報を積極的に進めている。警察は民間調査員という職域がすでに存在するだけに、制度圏内に入れて管理しなければならないという立場だ。しかし大韓弁護士協会などが貧富の格差にともなう情報の両極化を招く懸念を理由に反対し、今回の第１９代国会でも通過が容易ではない見通しだ。民間調査員制度は依頼人から報酬を受けとる私設探偵の情報収集活動を合法化する法案だ。

２７日、大韓弁協・警察庁などによれば警察庁捜査研究官室は７月から民間調査業政策アラートブログを開設し、関連法の制定を促している。「民間調査業！禁止は解除し、管理法律は制定しなければならない」というスローガンを前面に出した。ブログには最近になって俳優キム・サンジュン、オ・ダルス、ガールズグループＣｒａｙｏｎ　Ｐｏｐなどの応援インタビュー映像もアップされた。制度導入のための対国民世論戦に出た模様だ。

警察がこのように積極的に取り組んでいるのは、民間調査員という職域が違法の形態ではあるがすでに存在しているだけに管理が必要だという立場を整理しながらだ。捜査研究官室のナ・ヨンミン警正は「民間調査員はすでに違法の便利屋センター・興信所などの名前で韓国社会の随所で活動中」としながら「新しい職域を導入しようというよりも、現在活動中の民間調査員が招く弊害を管理しようという趣旨がさらに強い法案」と話した。

警察は現在営業中である違法な便利屋センターと興信所が数千カ所に達すると見ている。警察は、民間調査員が合法化されれば現在の退職警察官の雇用提供にも助けになると判断している。サービス調査の結果１万５０００件の雇用が新たに生まれると予想している。ナ警正は「警察だけでなく検察捜査官、ジャーナリストらも資格試験を経て民間調査員市場に進出できる」として「良質な人材で多様なサービスを提供できるだろう」と話した。

検察・警察が調査できない私的領域で民間レベルの調査が活性化するという見解もある。民事訴訟、行方不明者検索などの分野で国民の便益を増進させられるということだ。大韓民間調査協会のハ・クムソク会長は「検察と警察は刑事事件には積極的に出て介入するが、民事事件では消極的」と指摘した。

反対も侮れない。最も反対している機関は大韓弁協だ。そうでなくても私生活の侵害が深刻なのに私設探偵が合法化されれば、さらに広範囲に行われる恐れがあると憂慮する。退職警察に対する前官礼遇になるという指摘も出る。大韓弁協のハ・チャンウ会長は「退職警察がこれまでのつながりを活用して情報収集などをもっと上手くやるという期待感が受託料に出てくる可能性がある」として「あからさまに探偵と警察の癒着を許容する法案」と主張した。ハ会長はまた「貧富の格差により情報の両極化が起きる可能性が高い」と主張した。

この法案が初めて提案されたのは１９９８年だ。当時ハンナラ党所属だったハ・スンボン議員が「公認探偵法」という名前で提案した。第１７・１８代国会でも何度も法案が提案されたが全て廃棄された。朴槿恵（パク・クネ）政権の新事業育成推進計画にも含まれており現在も２件の法案が係留中だ。

国会安全行政委員会所属の議員室関係者は「法務部と警察庁の中でどこが管轄部署なのかもまだ整理されていない」として「国会にも法司委と安行委にそれぞれ法律が上がってきており、近く処理される可能性はほとんどない」と話した。