＜セウォル号＞「彭木港リボン撤去」…珍島郡が遺族に通知

全羅南道珍島郡（チンドグン）が今年９月に彭木（ペンモク）港の黄色いリボンを撤去すると、セウォル号惨事の遺族に通知したことが確認された。

４・１６セウォル号惨事被害者家族協議会によると、珍島郡は３日、彭木港と周辺の追悼リボンを撤去するという内容の公文書を家族協議会と国務調整室に送った。背景は彭木港住民の声だ。住民代表のキムさん（５６）ら３３人は先月末、珍島郡と国民権益委員会に嘆願書を出し、「観光客が減り、２年にわたり民宿・食堂の営業が大きな打撃を受けている」として対策を訴えた。キムさんは中央日報との電話で、「セウォル号惨事以降、売り上げが従来の５分の１程度に減った」とし「周囲の漁民は被害補償を受けるが、我々のような小商工人は支援が全くなく、生計を維持するのが難しい状況」と述べた。

また住民は嘆願書で「焼香所を撤去し、彭木港の灯台付着物と道路周辺の黄色いリボンを除去し、物質的・精神的被害に対して補償してほしい」と政府に要求した。現在、彭木港には遺族と行方不明者の家族が設置した焼香所と家族のための臨時住宅約２０軒がある。港に続く道路と防波堤の欄干には追悼リボン数万個が結ばれている。また赤い彭木港灯台の外壁には３．５メートルの黄色い大型リボンがある。

珍島郡側は「屋外広告物に該当する追悼垂れ幕はすぐに除去することも可能」とし「公文書には８月以降と書いたが、国民の追悼情緒を考慮し、もう少し時間を置いて議論した後、９月に撤去するのが適切だと判断した」と説明した。焼香所と臨時住宅については「珍島郡が撤去を決めることはできない」と述べた。

被害者の家族は受け入れがたいという反応だ。弟のクォン・ジェグンさん（５３）と甥のヒョッキュ君（７）がまだ見つかっていないクォン・オボクさん（６０）は「政府レベルで彭木港周辺に追悼公園を設けることを議論中」とし「住民の被害と不便は理解するが、リボンなどをいま外すより、追慕公園を設置した後にそこに移すことを望む」と話した。しかし住民は「敷地も決まっていない追慕公園が完工するまで待つのは難しい」という立場だ。セウォル号追悼公園に関しては国務調整室が１３日、全羅南道と珍島郡の関係者に会い、立地などについて意見を聞いた段階だ。

ソウル大のチャン・ドクジン教授（社会学）は「彭木港の住民もセウォル号惨事で大きな被害を受けた」とし「追慕公園が完工するまでの被害について政府が補償し、公園が造成された後に彭木港施設と付着物を移すことを検討する必要がある」と提案した。

◆特別調査委の内部葛藤が増幅

セウォル号惨事特別調査委員会のイ・ソクテ委員長とチョ・テファン副委員長はこの日、お互い非難し、正面から衝突した。チョ副委員長は委員に送ったメールで「イ委員長と一部の委員が遺族・社会団体と癒着するなど政治的に偏りがある」とし「イ委員長が辞任するまで欠勤闘争する」と明らかにした。これに対しイ委員長は記者会見で、「事実を歪曲して世論を糊塗している」とし「チョ副委員長は毎日、常任委で自分の意見を明らかにし、重要事案もいつも合意方式で処理してきた」と反論した。