＜インタビュー＞中年女優キム・ヘスク　‘母親’という名の下に…３

−−ドラマでも本当に多くの母親役を演じていらっしゃるわけですが。

「映画に比べてドラマは少し制約があると感じます。母親役は似たり寄ったりで、みんな同じに見えるかもしれませんが、前に演じた母親像と同じくならないように常に努力しています。髪型から服装、声まで。その人がどんな母親なのか分析し、これまでに演じた母親と異なるように自分自身と闘うわけです。役者ならみんな同じだと思いますが」

キム・ヘスクは1970年代、ＭＢＣ専属のタレントとして女優への第一歩を踏み出した。イ・キョンジン、ソン・キユン、キム・ドンヒョンらが同期だ。キム・ヘスクは若かったころの自分の役柄を‘清純で可憐なスタイル’だったと振り返る。か弱い声がハスキーになることを願ってたばこを吸ってみたりもしたという。

「今だから話せますが、キム・スヒョン先輩の言葉がきっかけでした。‘俳優として良い声ではない’と言われたんです」

『肉体の門』など数本の映画にも出演したが、キム・ヘスクは一時映画界から身を引いた。

「肌を露出する映画の多い時期だったんですが、ある瞬間、大きな衝撃を受けたんです。演技は自分の夢。でも、自分がまるで物のように扱われている感じがして…」

スクリーンに復帰したのは『大変な結婚』(2002年)。その後、『マイブラザー』『ひまわり』などでの母親役が成功への道につながった。

−−次の映画『コウモリ』(ソン・ガンホ、キム・オクピン主演)ではシン・ハギュンの母親役。パク・チャンウク監督の映画なので普通の母親ではないと思いますが。

「今まで見たことも考えたこともない役柄です。もう一つの新しい挑戦にどきどきしています。『共同警備区域ＪＳＡ』の時から好きだった監督です。パク監督は若い俳優と仕事をしたがっているものとばかり思っていましたが、私のところに連絡がきたんです。監督に会う日の前日の夜は、胸が震えて眠れませんでしたね。まだ若かった頃、初めて主演した時と同じような気持ち。まるで大好きな監督に会う少女ファンのようでした』

−−ライバルはいますか。

「ライバルなんていませんよ。キム・ヘジャさん、コ・ドゥシムさん、キム・ヨンエさん、ナ・ムンヒさん。みんな尊敬している先輩です。その先輩たちに迷惑をかけない後輩になりたいと思っています。後輩も同じです。たとえば、ソン・ガンホさん。自分が持っていないものを持っている人を見ると、本当に素晴らしいと思います。演技に競争はありません。芸術にかかわる人はみんな自分の‘器’があります。だからこそ俳優なんです。『コウモリ』は、クランクインしてすぐに私の撮影があるんです。だから今とても緊張しています」