＜アジア大会＞北朝鮮選手が仁川入り　金メダル１０個以上狙う（１）

仁川アジア競技大会で金メダル１０個以上、総合１０位入りを狙う北朝鮮選手団の先発隊が韓国に来た。チャン・スミョン北朝鮮オリンピック委員会代表をはじめ、サッカー・ボート選手など計９４人で構成された先発隊は１１日午後、高麗航空便で仁川空港に到着した。北朝鮮の選手は警察に護衛されながら仁川市九月洞のアジア競技大会選手村に移動した。今大会１４種目に選手・役員約２６０人を派遣する北朝鮮選手団は、２８日まで西海（ソヘ、黄海）直航路を通じて５回にわたり入国する。

韓国は北朝鮮と一部の種目で激突が避けられない。北朝鮮は女子サッカー・卓球などで韓国とメダルを争うと予想される。

１９７４年テヘラン大会に初めて出場した北朝鮮は３回総合４位に入ったスポーツ強国だったが、２００２年釜山大会は９位、２００６年ドーハ大会は１６位、２０１０年広州大会は１２位に終わった。日本ピッチコミュニケーションズの在日同胞ハ・ジョンギ記者（３１）は「北朝鮮は１９９０年代半ば以降、国際的な孤立で経済的に厳しい状況だった。『苦難の行軍』以降、スポーツへの投資と国際大会出場が減り、競技力が落ちた」と分析した。

しかし２０１２年の金正恩（キム・ジョンウン）第１書記体制に入った後、北朝鮮は体育強国建設を宣言した。英マンチェスターイブニングニュースによると、金正恩第１書記はマンチェスター・ユナイテッドと同チーム所属選手ウェイン・ルーニー（２９）の熱血ファンだ。北朝鮮内でのプレミアリーグ競技中継を指示するほどだ。米プロバスケットスターだったデニス・ロッドマン（５３）を北朝鮮に招待したりもした。しかしスポーツを政権地位向上と体制宣伝手段として活用する傾向が強い。

金第１書記は２０１２年１１月、国防委員会の所属でスポーツ担当機関「国家体育指導委員会」を新設した。２０１２年ロンドン五輪で金メダル４個を獲得し総合２０位に入った北朝鮮は、最近、各種目の世界選手権で多数の入賞者を輩出している。

北朝鮮は今大会でトップ１０入りすることで、権力移譲で落ち着かない民心を団結させ、国際社会でイメージ向上を狙うとみられる。英ガーディアン紙は「北朝鮮はアジア競技大会で“政治的金メダル”を目標にする」とし「北朝鮮のアジア競技大会熱気は冷戦時代の共産圏国家のスポーツ督励政策を連想させる」と報じた。