“ペ・ヨンジュンの手のモデル”からプロへ

作曲家イ・ジスさん（２６）はソウル大作曲科３年生だった２００３年、ドラマ『冬のソナタ』ロケ地にアルバイトをしに行った。劇中ペ・ヨンジュンがチェ・ジウにピアノの曲を書いて、弾いてあげる部分だったが、ピアノを弾く手のモデルを担当した。

「元々演奏することにしていた曲が完成していなくて、ユン・ソクホ監督から待ちなさいと言われたんです」

このときイさんはユン監督に「私の曲を使ってはいけませんか」とその場で提案し、ピアノを演奏した。そのとき演奏した曲が『冬のソナタ』でメインテーマとして使われた音楽『初めて』だ。

以後４年間、イさんは『冬のソナタ』のタイトルで、日本で５０回ほどコンサートを開いた。昨年１月には東京、大阪など主要都市だけで２２都市を回り、演奏会場は毎回２０００～３０００人の観客でいっぱいになった。「ヨン様の手と言っては手を握っていく日本のおばさんたちが多くて」と言いながら笑う彼は、韓国より日本ですっかり有名になった。

『冬のソナタ』以後、映画『オールドボーイ』『実尾島』（シルミド）『血の涙』などの映画音楽の製作に参加し、２００４年、大鐘賞映画祭の音楽賞などを受賞した。そんな彼の成功は撮影場で一瞬に始まったことではなかった。幼いころから音楽を勉強してきたイさんは、ソウル芸術高校を経て作曲の基礎を固めた。『冬のソナタ』の『初めて』も、高等学校の時、クラシックと映画音楽の接点を悩みながら作っておいた曲だ。

イさんの音楽は単旋律で耳がくすぐったくなるほどとどまる部分がないという点が特徴だ。エンニオ・モリコーネ式の雄大壮厳さに若い感覚を織り交ぜた。ソウル大作曲科イ・シンウ教授は２００４年、大学新聞に「イさんの音楽は映画音楽がコンピューターで製作されるとか既存にある音楽を借用するものであるという予想を覆す、大編成オーケストラのために完全に新たに作曲されたものだった」と書いた。

最近、彼はチェコフィルハーモニックと作った『アリランラプソディー』という演奏動画でインターネット検索語順位上位にランクインタした。新鮮だが軽くない音楽がネチズンたちの耳を驚かせたのだ。

「民謡を現代化する作業に関心をもちました。これから実験を続けるつもりです」

イさんは来月８日午後５時、忠武（チュンム）アートホールでこれまでリリースした音楽を集めてコンサートを開く。

キム・ホジョン記者