「適性よりも華やかな企業探していたら…」　２０代の雇用だけ減少＝韓国

ソウルで外国語高校と４年制大学を卒業したキム・テジンさん（２８）は現在、無職の状態だ。キムさんは２年前の卒業直後、銀行に就職した。だが業務が自分の適性に合わず、上位序列が強い組織文化になじめない気がして早々に辞表を出した。以後、ほかの業種の職場を調べてみているが、履歴書を送っては落とされている。キムさんは「『給与は銀行より下がっても良いから適性に合った会社を探すべきだ』と思っていたが就職がより一層難しくなった」と話した。

キムさんは２～３週間に１回ずつ自身が就職に落ちた理由を紹介するインターネットラジオ放送をしながら物足りなさをなぐさめている。自身と同じような「トルチュイ（帰ってきた就職活動学生）」の苦衷も社会に知らせようというのが放送の目標だ。彼は面接で「なぜ前の職場を辞めたのか」「卒業以後、今までほかのことは何もしていないのか」という質問に最も気兼ねする。キムさんは「適性に合う職種を選んで一生懸命仕事をしようとする気持ちはほかの就活生らと同じだが、私は空白期間が長くなっただけ」としながら「ところが私のような人間は面接官の目には根気のない意欲不足の人間に見られるようだ」として悔しがった。

仕事をする２０代が減っている。２８日、韓国統計庁が発表した「２０１２年基準賃金労働雇用行政統計」によれば２０代の賃金労働雇用は３０２万５０００件で、２０１１年（３１０万５０００件）に比べて８万件（マイナス２．６％）減った。賃金労働雇用は雇用のうち自営業と無給労働を除いた、純粋に給与を受けとる条件で仕事をするものを意味する。２０代の雇用減少は全体雇用（１５９１万３０００件）が１年前に比べて４０万８０００件（プラス２．６％）増えたことと対比される。

年齢別に区分すれば雇用が減った年齢層は２０代が唯一だ。１５～１９歳（１４万→１５万６０００）、３０代（４６８万→４７０万１０００）、４０代（４０９万３０００→４２１万６０００）、５０代（２５９万５０００→２７９万９０００）、６０代以上（８９万２０００→１０１万６０００）はそれぞれ０．４～１３．９％の割合で雇用が増えた。

２０代だけ雇用が減少したのは大企業や公企業の正規職のような安定した職場に対する新入社員の就職競争が激化している一方、時間選択制雇用のような職種に対する壮年層の選択の幅が広くなったためという分析が優勢だ。梨花（イファ）女子大社会学科のイ・ジュヒ教授は「企業の新規採用が減る一方、２０代の立場では持続的に専門的な業務キャリアを積める職場に行くことを望むので、こうした現象が起きる」として「これとは反対に壮年層は年金で生活するのが難しくなる中で時間制雇用を活用しようとする人口が増加している」と話した。

実際に韓国経営者総協会が３２５の会社を対象にした最近の調査によれば、今年大卒の新入社員就職競争率は２８．６倍となった。２００８年（２６．３倍）の調査時より競争率がさらに高くなったのだ。職員３００人以上の大企業競争率も２００８年の３０．３倍から今年は３１．１倍に上がった。

これに比べて時間制雇用は増加している。時間制雇用は一日４～６時間ずつ勤める形態なので退職者や主婦の選好度が高い。政府が雇用率（１０月基準６０．５％）を７０％まで引き上げようという目標に推進する政策でもある。政府は時間制公務員や教師、公共機関職員１万７０００人余りを２０１７年まで新たに採用する予定だ。こうした雰囲気の中でサムスングループも来年初め、時間制労働者６０００人を採用することを決め、ＬＧ・ハンファ・ロッテ・新世界も１５０～２０００人ずつ時間制労働者の採用計画を発表した。

漢陽（ハンヤン）大経済学部のキム・ジェウォン教授は「現在の政府の雇用政策は供給者中心なので、雇用市場の主な需要者である２０代の目線には合わない」と指摘した。キム教授は「学生たちと就職の話をすると、自分の適性と希望経歴に悩むのではなく、周辺の人と自分を比較してサムスン・現代（ヒョンデ）自動車のように名前が華やかな企業に就職できなければ恥じる雰囲気が感じられる」として「若者たちが会社の名声ではなく適性に合う経歴を開発できる職場に入ることを当然に思う社会の雰囲気がつくられるよう政府は努力すべきだ」と話した。