輸出エンジン、大企業から中小企業に…韓国、５０年ぶり政策変化へ

韓国政府が約５０年間維持してきた大企業中心の貿易政策を中小・中堅企業中心に変える。

朴槿恵（パク・クネ）大統領の主宰で１日に開かれた新政権最初の貿易投資振興会議で、尹相直（ユン・サンジク）産業通商資源部長官はこうした内容を含む「新貿易政策方向」を報告した。

尹長官は「その間の量的成長戦略だけでは、貿易が雇用と付加価値を創出し、内需活性化などに寄与するのには根本的に限界がある」とし「今後の貿易政策は、貿易規模の持続拡大や雇用・付加価値など新しい価値を目指す」と述べた。

この日発表した特別貿易対策は、中小・中堅企業の輸出強化に焦点が置かれている。中小・中堅企業の輸出を拡大し、雇用創出と内需活性化効果を期待するものだ。

まず資金調達が困難な中小・中堅企業のために貿易金融を追加で１１兆１０００億ウォン（約１兆円）増やした。これを受け、今年の貿易金融規模は７１兆ウォンから８２兆１０００億ウォンに増えた。

ある中小企業は海外政府が発注するプロジェクトを受注しようとしたが、受注実績が少ないという理由で金融機関から融資・保証限度を低く設定され、受注をあきらめるしかなかった。また輸出を代行する専門貿易商社を活性化し、輸出初歩企業に輸出代行や自由貿易協定（ＦＴＡ）活用方法などを支援する計画だ。造船・海運景気の不況に苦しむ造船機資材業界のためには、病院船・巡回査察船など公共機関所要船舶の早期発注を推進することにした。

政府がこのように中小・中堅企業中心に貿易政策方向を変えたのは、大企業中心の貿易政策で経済に活力を吹き込むのには限界があるという判断からだ。韓国は１９６３年に政府レベルの貿易投資振興会議体制である輸出振興委員会を開始し、「輸出立国」を標ぼうして以来、大企業中心の貿易政策をとってきた。限られた資源で効果的な輸出政策を推進するには、大企業を育成して輸出を増やす「不均衡発展戦略」が有利だったからだ。

しかし最近世界的なコンサルティング会社マッキンゼーは韓国経済を「熱くなる水の中のカエル」に例えた。韓国は６０年代の最貧国から世界１２位（ＧＤＰ規模）の国家に飛躍し、成功神話を築いたが、現在は経済成長率が徐々に低下するなど、成長モデルが動力を失った、と診断した。以前には大企業の輸出が増えれば、国内の雇用が増え、内需も活性化した。しかし最近は輸出が増えても雇用は創出されない。多数の企業が生産基地を海外に移転したためだ。９５年から２０１０年の間、大企業（製造部門）の年間生産性は９．３％ずつ成長したが、雇用は毎年２％ずつ減った。

中堅・中小企業の輸出寄与度も落ちている。０９年に３６．９％だった中小・中堅企業の輸出比率は昨年３３．４％だった。１０億ウォンを輸出する場合に誘発される雇用も００年の１０．９人から２０１０年には５．９人に減った。

クォン・オジョン産業部貿易政策課長は「今後も雇用誘発効果が大きい輸出中小・中堅企業に対する支援策を持続的に出していく計画」と述べた。クォン課長は「貿易政策が変わったからといって韓国経済で大企業の役割が終わったという意味ではない」とし「輸出の大きな軸となっている大企業の役割は今後も維持される」と説明した。