＜インタビュー＞ハリス「トランスジェンダー明かせない人多い」

【ソウル２９日聯合】「わたしのような人はずっと前から皆の周りにいますが、トランスジェンダーなどの言葉で区分することで『遠い存在』になってしまいます」――。

　性転換し、歌手や女優、モデルとして活動するハリス（３２）は、そう指摘する。これまで築いてきたものを失うことや、世間の目が怖くてトランスジェンダーであることを明かせない人もまだ多いと、もどかしい思いをのぞかせた。

　男性として生まれたが、美容などを学ぶため４年間日本に滞在した際、韓国人医師の性転換手術を受け女性となった。２００２年には裁判所で性別の変更を認められ、戸籍上の名前も男性名のイ･ギョンヨプから女性名のイ･ギョンウンに改名している。「わたしは生まれた時からとても苦しくて、辛かった。でもそんな現実と戦わねばならないし、そうした人生にも楽しみを見い出したくて、いつも『きょうが最後の日』との思いで一生懸命生きてきました。そしたらある日、人生がうまく回り始めたんです」。慎重に言葉を選びながら話すようすに、これまでの苦労をうかがわせた。

　そんな彼女の存在は、トランスジェンダーの人や性転換手術を望む人に大きな影響を与え、またこうした人々に対する社会の関心を喚起するきっかけとなっている。ハリスは、「自分が活動することで、こうした人々が身近に感じられるようになったのなら本当にうれしい」と、しみじみ語った。

　プライベートでは、５月にラッパーのミッキー･チョンさんと結婚し、新婚生活を満喫しているようだ。前から一緒にいた時間が長く、結婚してあまり変わった点はないとしながらも、「楽になりましたね。一緒に出かけるときも『恋人』というより『家族』という思いを強く感じます」と顔をほころばせた。

　最近、チョンさんとともに制作したウインター・スペシャル・シングルをリリースした。「初雪」など２人のデュエット曲も盛り込まれている。チョンさんはタイトル曲「Ｌｏｖｅ　ｉｓ」を聞いて「暖かい曲」と評したといい、ハリスは「結婚したせいで雰囲気が和らいだ？」と照れくさそうに笑った。

　シングルのプロモーション加え、来月には中国・西安でのコンサートを控えている。日本でも昨年にエージェントと契約を交わし、テレビ出演を中心に活動の場を広げており、来年初めには人生や美容、ダイエットに関する日本語の本も出版する。結婚時に示した、４人の養子を取る考えについては今でも変わらないとしながらも、少し落ち着くまでは難しいだろうとしている。ハードな毎日だが、「年を取っても歌手、女優として幅広く活動していきたい」と意欲を示した。（記事＝小松朋子）