韓国旅行「コネスト」 第10回~長谷川陽平さん(ミュージシャン) | 日韓わったがった ―韓国で、はたらく。 | 韓国文化と生活
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第10回~長谷川陽平さん(ミュージシャン)

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韓流ブームに乗って日本でもファンが増えてきている韓国音楽。そんな21世紀の韓国大衆音楽の礎を築いたと言える70年代の大韓ロックに魅せられ、10年以上韓国で音楽活動を続けているロックミュージシャンがいます。「ソウルで働く日本人シリーズ」記念すべき第10回目は、これまでの出演者の中でも在韓歴最長!韓国音楽史に残るロックバンドのメンバーとしても活躍中の長谷川陽平さんにお話を伺います!
名前:長谷川陽平(はせがわようへい)

年齢:36歳(1971年生)

出身:東京

在韓歴:通算10年

趣味:音楽、世界中の60年-70年代のレコード収集

韓国語のレベル:どれくらいのレベルか誰か教えてほしいです(笑)
韓国旅行おトク情報
経歴
1995年
大韓ロックの洗礼を受ける
バンド「コプチャンチョンゴル」結成・旅行として初の渡韓
1996年 -97年
コプチャンチョンゴルとして日本で活動しながら、年15回以上のペースで現地でのライブ、レコードを求めて日韓を往来。この時に活動20周年ライブでサヌリムを初めて生で体験する
1998年
友人の家に居候しながらほぼ生活の中心が韓国になる
ファンシネバンドに加入
1999年
コプチャンチョンゴルとして韓国でCDデビュー同時にその他のバンドにもメンバーとして参加、活動する
2000年
キムC率いるロックバンド、トゥゴウンカムジャのメンバーとして加入
以降メジャー/インディーズを問わず様々なバンドからのオファーを受けギタリストとして活動
2005年
韓国の国民的バンド「サヌリム」の4人目のメンバーとして加入
2006年
映画「死生決断」サウンドトラックを製作
サヌリム30周年記念公演に出演
2007年
サヌリムニューヨーク公演に出演
現在トゥゴウンカムジャ、サヌリム、デリスパイスなどでギターを担当しながら、作曲活動など韓国音楽界で縦横無尽に活躍中
Q:まずプロフィールの「韓国語のレベル」についてですが(笑)?
A:これ、実は僕がどれくらいのレベルか知りたい位なんですよ。僕は語学堂もいってないし、特に韓国語の勉強もしてないんです。だから、たまに語学堂に通う人にあって、「長谷川さんレベルどれくらいなんですか?」って聞かれても、答えられないんです(笑)。だから僕が逆に知りたいんですよねぇ(笑)。でも日本の親戚と話してると韓国語が出たりするし、これから日本語の実力が落ちていくんじゃないかなあ・・・って心配しているんですけど(笑)。
Q:韓国に来るようになったきっかけを聞かせてください?
A:きっかけを一言でいえば、音楽ですよね。僕はもともと世界中の60、70年代のロックを聞いていたんです。で、ある日ふと韓国にもロックがあるんじゃないかと思った。そんな時に韓国に行って来た知人がサヌリム(※1)と申重鉉(※2シンジュンヒョン)先生の音楽を聞かせてくれたんですよ。

それを聞いてビックリしたんです、「こんな音楽があるのか!」と。でも細かい情報もレコードも日本には無い。無いなら直接行って探せばいいじゃないかと言うことで95年に初めて渡韓しました。
Q:それからも頻繁に行ったり来たりしたんですか?
A:ええ、しばらくは日本でコプチャンチョンゴルというバンドとして活動しながら、韓国と日本を行ったり来たりしてましたね。その当時は、ビザ無しで滞在できる期間が15日だけだったんですよ(現在は3ヶ月)。

それまでより時間ができた96年からは、2週間来て、一度帰って3日くらいしたらまた来る、というのをずっと繰り返してましたね。それでライブハウスを回ったりCD・レコード屋巡りをしたりしてました。
Q:それで98年から韓国に住み始めるわけですよね?
A:ええ、でも相変わらず行ったり来たりしてましたよ。完全に住んでいたわけではなくて、その頃やっとビザなしの滞在期間が1ヶ月になったんです。それで友達の家に居候しながら、大半は韓国で過ごしていましたね。
Q:最終的に韓国に住もう!と思った動機はなんだったんですか?
A:もともと「韓国に住んでやるぞ!」とかそういった堅い意志みたいなものは全然ありませんでした。ただ音楽への興味が入口になって、そこからスルスルっと「韓国」というやつが体に入ってきたというか、気づいたら引き寄せられちゃっていた感じですよね。
Q:その頃はもう友達もだいぶいらっしゃったんですか?
A:そうですね。言葉はできませんでしたけど、96年からそれまでの間、弘大(ホンデ)のライブハウスとか毎日ハシゴしてるじゃないですか?そうすると当時は日本人なんかそんなにいないから噂になるんですよ。「変わった日本人がよく来てる」って(笑)。

それで話し掛けてくれる友達ができて、毎日のようにお酒を飲んでいくうちに、1人が2人、2人が4人・・っていう感じでつながりが広がっていきましたね。
Q:やっぱり韓国では友達付き合いにお酒は大事ですか?
A:そうなんですよねぇ(しみじみと)・・、ほんと何故か知らないけれどこっちの人にとってお酒は最高のコミュニケーション道具なんですよねえ。立てないくらい酔っ払って、または吐いたりして、お互い介抱するという極限の姿を見せ合うことで(笑)、心が開くんでしょうねえ。でも実際それで友達はすごくたくさん増えました。今知り合いの連中は、ほとんどがその頃毎晩一緒に酒を飲み歩いてた人たちですからね。
Q:そういったノミニケーションを通してできた人脈から音楽活動も広まっていったんですか?
A:はい、トゥゴウンカムジャももともと5年くらい一緒に住んでいた友人がきっかけで加入することになりましたし、デリスパイスと言うバンドもメンバーが僕のベストフレンドですからね。

お酒を一緒に飲むことももちろんそうですが、僕は頼まれた仕事は断らずにやってみようとするタイプなんですよ。それである仕事をして、それが誰かの目や耳に留まるとまた別の人が、「この音は長谷川にしか出せないから」ということで信頼して別の仕事で指名してくれるんです。僕は運が良かったというのもあるけれど、それまで積み重ねてきた人々との信頼関係が大事ってことですよね。
長谷川さんが参加した作品たちの一部
リュ・スンボム主演映画「死生決断」サウンドトラック
リュ・スンボム主演映画「死生決断」サウンドトラック
ファンシネバンド2集「健全歌謡」
ファンシネバンド2集「健全歌謡」
言葉はうまく通じずとも、音楽に対する愛情、ギターのテクニックと飲みっぷりの良さ(!) で韓国のミュージシャン達との絆を深めて行った長谷川さん。その後数々の韓国バンドにギターとして参加し、そして2005年、自身も憧れていた国民的人気を誇るバンドのメンバーに加入することが決定します。
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Q:そして2005年にサヌリムへメンバー加入しますよね?
A:ええ、もともと韓国に来たきっかけの一つがサヌリムというバンドでしたから本当にうれしかったですよ。97年にライブを初めて見て以来、サヌリムのメンバーとは一ファンとして親交を深めていったんですね。僕のライブを観に来て下さったりして。

それで僕なりに音楽活動をして来たのをサヌリムのマネージャーが見て、「サヌリムの音を出せるのは長谷川だろう」という事になったらしいんです。

「あのサヌリムに日本人なんて!」というメンバー以外の周りからの反対もやはりあったそうなんですけど、金昌完(キムチャンワン)先生はそんな小さなことにこだわる人ではないですから。「長谷川!?いいじゃん。何が問題なの?」と言ってくれたそうです。
それを聞いて「やります!」と、期待に絶対応えようと思いましたね。30周年記念公演の時から一緒にやって来たわけですが、自分が10年前観客として見ていた大好きなバンドのメンバーになって、同じステージに立った時は「ああ、韓国でやってきて本当に良かったなあ」と思った瞬間でしたね。
Q:韓国のこういう所が好きだなあ、また反対にこういうところはちょっと・・という点はどこですか?
A:最初は「なんだかなあ」と思うんだけど長い目で見ると合理的にできてて、それで好きになった韓国ならではのシステムとかありますよ。例えば、待ち合わせをして遅れそうな時に、韓国人がよくやるのが「遅れそうだから家出る時にもう一回電話する」ってやつです。

日本で考えるとこの感覚はあり得ないですよね?でもただ待たされるより意外に効率良かったりするんですよ。3時に約束して4時に来たら誰だって怒るでしょう?1時間待たされるんだから。だったら前もって電話して「遅れそうだから家出る時に連絡する」って言ってもらった方が、待つ方は無駄に1時間待つより効率よくその時間使えますよね?
あとは韓国のタクシー、お釣りくれない時あるでしょう?料金が2480ウォンで2500ウォン払っても20ウォンのお釣りくれなかったりして。で、最初は「なんでお釣りしっかりくれないんだよ!」とか思うんですけど、また別の時に2520ウォンの料金で3000ウォン払うと、しっかり500ウォンお釣りくれたりするんですよね(笑)。

結局プラスマイナスゼロなんですよ。だから最初は嫌だなと思う所も、長い目で見ると世の中うまくできてるんだなって(笑)感心することがあります。
日本人でこういう事を指摘する人がなかなかいないんですよ。韓国の悪い所ばかり見てしまう人が多くて。でもよく考えてみると、住んでみてその状況がデフォルトになると「あ、イイんじゃない」って思うことがありますよね。ナルムデロ(韓国語で"それなりに"の意味)合理的な感じで回ってるんですよね(笑)。
Q:韓国料理で好きなものはなんでしょうか?
A:チェユッポックムが大好きですね。豚肉ですけど、同じ豚肉でもサムギョプサルはもう食べ飽きたんですよ。昔ツアーに出た時にもう毎日毎日サムギョプサルで、一生分のサムギョプサルをあの時に食べました(笑)。チェユッポックムはあの辛さが好きなんですよね。食欲なくてもスルスルと入ってしまいますから。
豚肉を辛く炒めたチェユッポックム
豚肉を辛く炒めたチェユッポックム
出会うまで時間がかかったペッパン
出会うまで時間がかかったペッパン
A:韓国に来たばかりの頃はペッパンという普通の定食をよく食べてましたね。でもペッパンにたどり着くまでに時間がかかりました。冷麺とかビビンバって日本でも食べられるけどこれは日本にはないと思って、絶対に食べようと思ってたんです。でもその頃まだ韓国語全く分からなかったので、ペッパンを韓国語でどう書くのか知らなかった。とりあえず2文字だということは分かったので、お店でメニューを見て2文字のやつを毎日順番に注文しましたね(笑)。大変でしたよ、コーヒーが出てきたりコムタンが出てきたりして(笑)。でようやくペッパンを食べられた時は「韓国の人たちは普段こういうものを食べているのか」と感動しましたね。
Q:よくいらっしゃるのは弘大(ホンデ)だとお聞きしたんですが・・・
若者の集まる弘大
若者の集まる弘大
A:というよりも、住んでますからね(笑)。10年前に来てから最初の2ヶ月ほどをのぞいてずっと弘大に住んでます。弘大を出てどこか他の街に出るという事がほとんどなかったですね。ライブとかがあれば別ですけど江南(カンナム)とか押鴎亭(アックジョン)とか、全然行かないですね。弘大の魅力は街自体が落ち着いてる感じがするから良かったんですけどね、最近は人も増えてちょっと「盛り場」という雰囲気になってしまってるのが残念ですね。
Q:よく行くお店はどこですか?
A:この「B-hind」(※取材場所)もそうですし、あとは「コスモス」という洋楽をレコードでかけるバーですね。どっちのお店も弘大の中心街から離れているからそれほどゴチャゴチャしていなくていいですね。昔から弘大にいる人たちは最近少しずつ周縁部に流れてるんですよ。
長谷川さん行きつけのお店:洋楽専門LPバー  コスモス
弘大の喧騒から少し離れた地下にあるミュージックバー。ロックを中心とした洋楽のLPが5000枚以上ストックされていて、リクエストもできる。
長谷川さんも水・木曜の22時頃からレコードをかけているとのこと。

住所:ソウル市麻浦区(マポク) 西橋洞(ソギョドン) 330-19 B1
電話:02-332-1727 
アクセス:地下鉄2号線弘大入口(ホンデイック)駅5番出口徒歩3分
長谷川さんお薦めの大韓ロック!
サヌリム「サヌリムもう一度聞く(ベスト盤)」
サヌリム「サヌリムもう一度聞く(ベスト盤)」
He6(ヒシクス)

「He6と一緒にGOGOを」
He6(ヒシクス)
「He6と一緒にGOGOを」
Q:それでは最後にこれからの目標・展望などを聞かせてください
A:近い将来の話では、韓国の昔のGS(グループサウンズ)の新譜を僕が一緒に演奏して出したり、当時のアルバムを再発したりする予定です。サヌリムは頻繁ではないですが定期的に活動を続けていきますし、トゥゴウンカムジャとデリスパイスはしばらくは充電期間ですね。
A:夢と言うか小さい希望だったら「韓国で美味い蕎麦が食えればなあ」とかありますけどね(笑)。あとはやりたいことを自由に出来る、今のこの状況のままでずっと生きて行くことが夢ですかね。僕は夢というのは追いかけるものじゃなくて、あとからついて来るものだと思うんです。

好きなもの、やりたいことを思いっきりやればあとから何かしらの結果がついてきますから。そうあるために、そのときどきで自分の夢もコロコロ変えられるくらい、自由でいたいと思いますね。
長谷川さんの独創的で、固定観念に縛られないそのライフスタイル、考え方は大変興味深く、インタビューを開始してからあっという間に2時間が経過してしまいました。大好きな音楽と韓国について、言葉を選んで慎重に話す長谷川さんの姿は、「ソウルで働く日本人」というよりは「ソウルで人生を楽しむ自由人」といった感じです。今回は第10回記念と言うことで普段よりボリューム増でお送りした「ソウルで働く日本人シリーズ」、いかがでしたか?これからも長谷川さんの韓国でのますますのご活躍をお祈りしています!
解説
※1サヌリム
1977年アルバム「アニ ポルソ(おや、もう)?」で鮮烈なデビューを飾った金昌完(キム・チャンワン)、金昌勲(キム・チャンフン)、金昌翼(キム・チャンイク)の三兄弟バンド。名曲は数知れず、韓国では知らぬ人がいないほどの国民的人気を誇る。バンド名の「サヌリム」は「やまびこ」の意味。

※2申重鉉(シンジュンヒョン)
1962年韓国初のロックバンド、「ADD4」を結成した「大韓ロックのアボジ(父)」。韓国音楽界を語る際には決して避けては通れぬ存在。
サヌリム
サヌリム
2申重鉉(シンジュンヒョン)
2申重鉉(シンジュンヒョン)
韓国旅行おトク情報
  最終更新日:07.03.30
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