寒い冬に必須!床下からじんわり温める韓国古来の暖房方式
日本同様に 四季のある韓国。しかし、大陸性気候でシベリア方面から陸伝いに寒気が直接流れ込むため、冬場の寒さは日本の比ではありません。
寒さがピークとなる12月~2月には 最低気温がマイナス10度以下になることも。乾燥した冷たい強風は、まさに「肌を刺す」という表現がぴったりです。
韓国の人々は、そうした冬の厳しい寒さを乗り越えるため、独特の建築構造を発展させてきました。それが韓国ならではの床 暖房「オンドル」です。
古代、三国時代の遺跡からも多数発掘されているオンドルは、形式さえ異なるもののその原理を応用し現代の住宅にも取り入れられています。
かまどの火を活用した伝統方式
元々オンドルは、かまどを焚いたときに出る煙を利用した暖房法でした。まず床下に石を用いて煙が通るトンネルを作ります。その上に薄い板石をのせて泥で塗り固め、さらに油紙を張って床とします。
外や台所にあるかまどで火を焚くと、その煙がトンネルを通って部屋の反対側の煙突から出ますが、その間に室内全体が暖まるという仕組みです。以前はかまどの燃料として薪などが用いられていましたが、次第に練炭を燃やすオンドルが主流になりました。
伝統的なオンドルの仕組み
調理の熱源としても使われた効率的な暖房法
かまどのある台所
王や王妃が住んだ朝鮮時代の 古宮にもオンドルは導入されていました。居住空間として使用されていた建物を注意深く眺めてみると其処此処で煙突を見つけることができます。
中には韓国の宝物に指定された 景福宮(キョンボックン)慈慶殿(チャギョンジョン)の集合煙突のように、美しい模様が施された芸術的価値の高いものもあります。
景福宮・交泰殿(キョテジョン)の峨嵋山(アミサン)煙突(宝物第811号)
景福宮・交泰殿(キョテジョン)の峨嵋山(アミサン)煙突(宝物第811号)
景福宮・慈慶殿の集合煙突(宝物第810号)
後宮や女官が暮らした楽善斎(ナッソンジェ)の煙突
オンドルに影響を受けた生活様式
床下から部屋を暖めるオンドルの特性は、韓国の人々の暮らしにも影響を与えました。
その代表的な例が家具です。熱い床暖房により木製の家具が傷まないよう、そして居間に効率的に熱を通そうとする配慮から脚がついているものが多くあります。
また、韓国の掛け布団・敷き布団は日本に比べて薄いですが、こちらもオンドルがあるため。床の温かさをより感じやすくなっているのです。
横になれば床の温かさがじわじわと伝わってくる
時代と共に変化してきたオンドル
練炭や灯油を燃料とするオンドルが多かった韓国ですが、電気やガスの普及により、現在では床にプラスティックや銅でできたパイプを通し、ボイラーを利用して熱湯を循環させる温水循環式がほとんどです。
パイプも一部分だけでなく、家全体にくまなく張り巡らせるため室内のどこにいても暖かいのが特徴です。
現代式オンドルの仕組み
ボイラーが稼動しパイプに温水を送り込む
床下の構造
予約機能や外出モードもある温度調節器
部屋の外に設置されたボイラー装置
部屋に温水を送り込むパイプ
オンドルはどうやって作られる?工事過程を見てみよう!
1.溝のあるアルミパネルを床に敷いていく
2.パイプを溝にはめ床の端を発泡スチロールで埋める
3.その上に防熱板を敷く
4.防熱板の上に接着剤を塗り、床材を貼れば完成
冬の韓国旅行はオンドル体験のチャンス
韓国の人々の生活に根付いているオンドル。一般住宅はもちろん、 食堂の座敷席やホテルの客室にも幅広く取り入れられているため、 冬場の韓国旅行ではオンドルならではの暖かさを実感する機会が多いでしょう。
零下の気温で凍えそうな身体を、じんわり芯から温めてくれるオンドル。その魅力をぜひ韓国で体験してみてください。
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