韓国の卒業時期は2月
入学式が3月に行なわれる韓国では、日本より1ヶ月早い2月に卒業式が行われます。緊張、期待、寂しさ、嬉しさ…様々な感情が交差し、泣いて笑った長くも短い学生生活が、走馬灯のように脳裏をよぎります。
韓国の卒業式には家族はもちろんのこと、 親戚の中でも初めての大学卒業となると、田舎からも一同総出でお祝いにかけつけます。
これは、両親が大学に進学したくてもできなかった場合や名門校に通えなかった場合に、親の願いを子が受け継ぎ成就することが「親孝行の道」だと考えられており、その晴れの舞台である卒業式は家族にとっても重要な行事だからです。
日本とは多少異なる韓国の卒業式。韓国ならではの風景や恒例行事をご紹介します。
お見合い写真にもなる?大学の卒業アルバム
毎年5月頃には、大学内で 卒業アルバムの写真撮影が行なわれます。卒業アルバム撮影の当日までに、女子学生は ダイエットを開始。男性も女性もアルバム撮影のために新しいスーツを購入することも多いです。
撮影当日は、ヘアスタイルのセットやメイクなどをするため、大学周辺の 美容院は朝から 予約でいっぱいです。人気の美容院は、予約が殺到するため、明け方早くから店を開けることもあるのだとか。
清楚なファッションが定番
卒業アルバム 撮影時には、証明写真タイプ・角帽を被って撮影するタイプ・ プロフィール写真の3種類を撮影します。野外でのグループ写真や学科別の写真などもいれると10枚近くになるのだとか。なかでも力が入るのは、プロフィール写真。モデルや女優のように様々なポーズをとって撮影します。
このように、女子大生たちが卒業写真に気を使う理由は、卒業アルバムがお見合いの仲人の手に渡るといわれているからです。アルバムがきっかけで結婚に…なんてこともあるため、準備に余念がありません。
また、一生残る卒業アルバムは、いわば顔つきの卒業証明書。 学歴を重視する 韓国社会では、名門であればあるほど、大きな意味を持ちます。
卒業式には何を着る?
中高生は普段着ている制服姿で臨む
日本では卒業式には、羽織袴や着物が一般的なため、韓国でも伝統衣装の チマチョゴリ(韓服、ハンボッ)を着るというイメージを抱く人もいるはず。しかし、意外や意外、韓国の大学では黒ガウンに角帽が定番です。ただ大学ごとにガウンのデザインが異なることも。
中高生は、日本と同じく制服が一般的です。
卒業式当日の大学周辺・校内の様子
卒業式に欠かせないのが花束。街の花屋さんで買うのかと思いきや、ここが稼ぎ時とばかりに即席花屋に扮したおじさんやおばさん、若者が 地下鉄駅から学校へ向かう道や校内で花束を売りさばいています。
学校周辺にはたくさんの花屋が並ぶ
若者も売り子に
日本にいながら申込みOK!気持ちと一緒にお花を贈ろう
また、プロなのか素人なのかは不明ですが、卒業写真を撮るカメラマンのおじさん達もあちこちに。さらに コーヒーを売る露天商、風船を売る行商人など、今日は祭り?と思わせるほどの賑わいです。
校舎までの道すがらには簡易食堂が
風船を販売したり…
校内にはカメラマンのおじさんも
おもちゃまで登場
学校内では、日本と同じような風景が見られることもしばしば。みなさん、様々な想いで卒業式に参加しています。
卒業証書授与の様子
友達と記念撮影
大学は大人数です
校内にはたくさんの人が
電話で子どもの居場所を確認
学生ママも
卒業式の恒例行事
角帽投げ
韓国の中高生たちは、卒業式の後、制服に小麦粉をかけあうのが恒例。もともとは植民地からの独立を果たし、日本の制服から解放されたという意味で始まったそうですが、今ではすっかりお祭り騒ぎとして楽しんでいます。また、「制服にオサラバ!」ということで、制服破りを行なう中高生も。
近年は 調味料やスプレー塗料まで浴びせるなど、度を過ぎた行為が各地の卒業式で続出し、小麦粉かけを禁止する学校も増えています。
大学では、成人した大人らしく、シンプルに角帽投げなどが行なわれます。
門出を祝う日
卒業式が終わった後は、家族や親戚と一緒に食事をしたり、写真館に行ったり、友人同士で クラブに行って一晩中踊るなどして、それぞれの卒業式を過ごします。
しかし、就職難の近年には、卒業式に参加しない学生も多く、空席も見られるなど卒業式を通して、その年の経済状況を伺い知ることができます。
一生に一度しかない卒業式は、どの国でも新たな出発を意味するという点では同じこと。これからどんな人生が待ち受けているかわかりませんが、未来を担う若者に幸あれ!
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