韓国移住女性人権センター |
2000年代に入り、韓国で急増した国際結婚。韓国移住女性人権センターは、国際結婚や就業のため韓国に住む移住女性の人権と福祉の向上を目的に、2001年に設立された非営利活動団体(NPO)。主な活動は、在留問題・家族間の葛藤に対する相談事業、家庭内暴力被害者に対する支援(シェルター・医療・法的手続き)、韓国語教育をはじめとした韓国生活への定着支援など。家族間の理解を促進するために、夫や同居家族に対する教育活動、家族で参加するレクリエーション活動などを定期的に実施しているほか、通訳相談員・韓国語指導講師育成講座など、移住女性のスキルアップに向けた実務教育も行なっている。 |
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国際化都市ソウルと言われてはいるが… ▶ |
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移住女性問題を通じ、社会に必要な変化を探る センター長 カン・ソンイさん以前から女性運動に関心があり、女性学講師、女性緊急電話1366など、女性関連の仕事に携わってきましたが、あるとき、現代の韓国で最も弱い立場に置かれているのは移住女性ではないかという思いを抱くようになったのが、センターで活動を始めるきっかけとなりました。現在センターの利用者は約60名で、ベトナム出身の国際結婚女性が最も多いです。出身国はそのほか中国、フィリピン、モンゴル、ウズベキスタン、キリギスタン、カンボジア、日本などアジア全域に広がります。 ◀ カン・ソンイさん |
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最も緊要な言語問題。韓国語講座でサポート |
夫婦仲を深める国際結婚夫婦キャンプ |
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市民団体という性格上、後援者と予算の確保も運営面での課題ですが、活動を難しくしているのが外国人に対する差別や偏見、国際結婚女性に対する社会の認識不足です。2009年に、家庭内暴力に悩む移住女性が歳の離れた韓国人の夫を殺害、逮捕された事件がありました。約70の女性団体と共に女性の救援運動を行ないましたが、その当時、「不法行為をした外国人をなぜ擁護するのか」という声がセンターに多数寄せられました。国際結婚の背景には不法ブローカーの存在や改善すべき法制度など目に見えない問題点も多いのですが、そういったことは考慮されず、目の前の事実のみに焦点が当たってしまうのが残念でした。 |
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センターで活動し始めて、これまで何気なく暮らしてきた韓国社会に、いかに不便な点が多いかということに気づきました。また活動をしながら、国籍や経済状況について自分にも偏見があることを常に認識させられます。その度に反省させられますし、韓国社会に必要な変化についても自然と悩むようになりますね。
言葉や文化など、ある程度韓国社会に適応した女性たちは社会進出への欲求が非常に大きいです。今後は、韓国語と母語を生かして自国出身者をサポートする相談員の養成など、移住女性たちの雇用支援事業にも力を入れていきたいです。 |
韓国語指導教師養成講座 |
パワーポイント講座 |
韓国料理教室 |
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※一部写真提供:韓国移住女性人権センター |
★活動に参加するには?
カン・ソンイさん「ボランティア活動には、韓国語教室のアシスタントや講師、面談時の通訳や外国語を使用した電話での行事案内、翻訳作業などがあります。必要が生じた場合に随時お願いしているので、お待ちいただくこともあります。その点はご了承ください。また、韓国に居住する外国人女性なら、どなたでも当センターのプログラムに参加することができるので、気軽にお問い合わせください。」<韓国移住女性人権センター> 住所:ソウル市 鍾路区 崇仁洞 178-68 / (道路名住所) 鍾路65キル 16
住所:서울시 종로구 숭인동 178-68 / 종로65길 16
電話番号:02-3672-8988
アクセス:地下鉄1・6号線東廟前(トンミョアッ、Dongmyo)駅2番出口 徒歩5分
ホームページ:http://www.wmigrant.org |
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エコブッダ |
仏教団体「浄土会」を母体に環境運動を進める社団法人エコブッダは、自然と調和する循環型生活の実現を目的として1988年に設立。1990年代序盤から消費を美徳とする現代社会の環境問題を提起、「ゴミゼロ運動」を通じて環境にやさしい暮らしの実践を市民に呼びかけてきた。エコブッダの活動のうち、特に社会の注目を集めたのが、ゴミゼロ運動の延長線上で2004年にスタートした「ピンクル(空の器)運動」。食べ残しを減らして生ゴミ発生を抑制し、食べ物の大切さを自覚しようという活動で、宗教界のみならず、学校、企業、自治体などから多くの賛同を得ている。2004年には10万人誓約キャンペーンを、翌2005年には100万人誓約キャンペーンを成功裏に終了させた。 |
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ふんだんなおかずはもてなしの文化ではあるが… ▶ |
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「食べ残しゼロ」は生活習慣化できる社会運動 エコブッダ・清浄サムトチーム長 キム・インスンさん仏教にはご飯一粒まで残さず食べる「 鉢盂供養(パルコンヤン)」という食事法がありますが、ピンクル運動は、それを現代化したものです。環境運動で最も重要なのは、実践できるかどうかということ。食事は老若男女を問わず必ず行なわれる行為です。ピンクル運動は、誰でもすぐに参加できるという点で、社会に広めていける運動として最も適格でした。 ◀ キム・インスンさん |
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ピンクル運動は家庭・食堂・学校での実現を目指して行なってきましたが、一番の成功例は小学校を中心とした学校です。ある小学校では、残飯量が1カ月で80%近く減ったという結果も報告されました。反対に最も難しかったのが食堂。韓国では「足らないより残るほうが良い」という考えが強く、食堂でも食べきれないほどのおかずが出されます。食堂は利潤を目的とした「商売」なので、集客のためにはお客さんの満足を優先せざるを得ません。そうした文化的な背景もあり、持続的に運動を実践できた食堂は残念ながら1つもありませんでした。しかし、長期的に見れば子どもたちが最も重要だと考えています。特別な運動ではなく、日常の習慣として残さず食べることを幼い頃から覚えていってほしいですね。 |
食後トレイを手にする西大門区(ソデムング)弘恩(ホンウン)小学校の生徒たち(写真提供:エコブッダ) |
ピンクル運動のお供に。 携帯マイ箸入れ(3,000ウォン) |
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インターネットで「ピンクル運動」と検索すると、いまやエコブッダが関与していない様々な団体・地域でもピンクル運動が行なわれています。エコブッダが蒔いた種が芽を出し、自ら成長している様子を目にしたときが最もやりがいを感じますね。将来は、専門家と共に教育プログラムを発展させ、国内全ての幼稚園から高校まででピンクル運動が行なわれるようにしたいです。 |
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~エコブッダ本部で発見!都市でもこんなエコ生活~ |
エコブッダでは残飯をミミズ堆肥化 |
堆肥は屋上のミニ農園で活用 |
都心で実った新鮮な無農薬野菜 |
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徹底したゴミ分別 |
トイレにはチリ紙の代わりに シャワーを設置 |
布ナプキンや携帯カップなどエコ商品の 販売も |
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★活動に参加するには?
キム・インスンさん「後援金やボランティアとして参加していただくのも結構ですが、まずはご自身がピンクル運動を実践してみてください。友人や家族など一緒に食事をする周囲の人にも自然とその思いが伝わるはずです。」<エコブッダ> 住所:ソウル市 瑞草区 瑞草洞 1585-16 / (道路名住所) 孝寧路51キル 7
住所:서울시 서초구 서초동 1585-16 / 효령로51길 7
電話番号:02-587-8997
アクセス:地下鉄3号線南部ターミナル(ナンブトミノル、Nambu Bus Terminal)6番出口 徒歩3分
ホームページ:http://www.ecobuddha.org |
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(株)フェアトレードコリア |
韓国初のフェアトレード専門企業として2007年に設立。フェアトレードを支持する市民と、女性環境連帯、生協などの市民団体が株主となった社会的企業として注目されている。アジアの貧しい女性たちに働き口を提供し、現地の伝統技術と文化の多様性を尊重・保存していくためフェアトレードファッションブランド「g:ru(グル)」を立ち上げ、北村(プッチョン)や仁寺洞(インサドン)などにショップを展開。また毎年5月の世界フェアトレード・デーには、徳寿宮(トクスグン)のトルダムキル(石垣道)で広報キャンペーンを行なったり、年に数回「g:ru」店舗にてファッションショーを開催したりするなど、積極的な普及活動を行なっている。 |
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「安い」というその裏側には… ▶ |
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「正しい貿易」で生産者に希望を 「g:ru」マネージャー イ・ソヨンさんフェアトレードは直訳すると「公正な貿易」。途上国の原材料を適正な価格で購入し、生産者に適正な賃金を支払うことで、社会経済的に弱い立場にある人々を支援する活動を言います。生産過程において強制的な児童労働や不当な搾取が行なわれない。そんなフェアトレードは言わば貿易の基本であり、正しいあり方です。韓国では生産者に希望を与えるという意味で「希望貿易」という言葉が使われたり、現状の国際貿易が抱える問題点を解消する貿易という意味で「代案貿易」とも言われます。 ◀ イ・ソヨンさん |
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「g:ru」にはネパールやインドなどアジア諸国から届いた商品が並ぶ |
ヒマラヤ高地で採れるアロー (イラクサの一種)の手編みスカーフ |
ガーナのフェアトレードカカオで作られた 英国ディバイン社のチョコレート |
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2007年の設立当時は、韓国のフェアトレードに対する認知度は低かったですね。テレビや紙面を通して頻繁に紹介されるようになったのは、翌年の2008年から。世間でも「チャカン(韓国語で「善良な」という意味)コーヒー」、「チャカンチョコレート」などの名前でフェアトレード商品が続々と発売されるようになり、一種のトレンドとして急速に浸透していきました。不況で嫌な事件も多い時代に、フェアトレードの善良さのようなものが人々の心をひきつけたのかもしれません。 |
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最近はフェアトレードの意味を熟知しているお客さんも多い半面、「ネパールで作られたのに、なぜこんなに高いの?」と言う方が時々いらっしゃいます。そんなときは、私たちが普段、不公正な貿易にどれだけ慣れてしまっているかを実感します。アジアの途上国で生産された衣類は本当に低価格のものが多いですから。心の中ではフェアトレードを支持していても、同等の商品でより安いものがあれば、そちらを選択してしまう。そういった消費マインドを少しずつ変えていく過程が難しいです。今後の目標はフェアトレードの普及もさることながら、販売数量を増やして生産者により多くの仕事を依頼できるようにしていくことです。現地での技術支援も少しずつ進めていきたいですね。 |
★活動に参加するには?
イ・ソヨンさん「国籍問わず歓迎です。商品タグの作成など単純作業が多いですが、同じ関心を持つ人と出会える貴重な機会だと思います。ボランティア募集は随時ホームページ上でお知らせしており、個別に連絡をいただければ対応します。」<(株)フェアトレードコリア> 住所:ソウル市 鍾路区 安国洞 175-56 / 尹潽善キル 19-18
住所:서울시 종로구 안국동 175-56 / 윤보선길 19-18
電話番号:02-739-7944/7945
アクセス:地下鉄3号線安国(アングッ、Anguk)駅1番出口 徒歩3分
ホームページ:http://www.fairtradegru.com |
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