第36回~木村真紀さん(BANDAI KOREA)
ガンプラ(ガンダムのプラモデル)やたまごっちなどで知られる玩具メーカーの株式会社バンダイ。戦隊シリーズや仮面ライダー、アンパンマンやケロロ軍曹など、数多くのキャラクター商品が人気です。好きだったキャラクターの玩具で遊んだ記憶を誰しもが持つ日本ではお馴染みのバンダイですが、ここ韓国でも子どもたちに様々な玩具を提供し、夢を与えています。そこに一役買っているのが日本の企業では数少ない女性駐在員として活躍する木村真紀さん。子どもたちが玩具で遊ぶ姿を見るのが大好きと言う木村さんに 市庁(シチョン)のオフィスでお話を伺いました。
名前:木村真紀(きむらまき)
勤務先:バンダイコリア株式会社
年齢:30歳(1979年生)
出身地:神奈川県
在韓暦:2年9ヶ月
経歴:2001年に株式会社バンダイに入社。キャラクター下着を扱う部署に仮配属後、カプセルトイを扱う部署に本配属。カプセルトイの企画開発に5年間携わった後、2007年にバンダイコリアに出向。韓国市場向けの玩具の仕入、開発業務に携わっている。
社内公募制度にチャレンジしての海外勤務
 ソウルオフィス、ショールーム入口はガンダムがお出迎え
 カフェスペースのコップに注目!
以前から海外と関わる仕事を希望していて、バンダイナムコグループ内の企業や海外のグループ会社への異動を希望できる公募制度に応募しました。当時、女性の駐在員は香港に1名派遣されただけで実績が少なく、採用されるのは難しいかと思いましたが、バンダイコリアが性別は関係ないと言ってくれたこともあり、韓国行きが決まりました。
派遣が決まって 韓国語の勉強を始め、ハングルは読めるようになりましたが、会話は韓国に来てから。週に2回、語学学校に通って勉強しましたが、韓国人スタッフは全員日本語ができるので韓国語を話す機会も少なく、なかなか上達しませんでした。今は日常生活に不自由のないレベルになりました。
私の主な仕事は玩具の仕入、玩具のローカライズです。韓国の市場で受け入れられそうな玩具をピックアップし、どれを販売するか企画し、実際の販売に即して商品名やパッケージ、仕様をローカライズしていく業務です。韓国についての知識が全くなかったために、はじめは何か提案しても「韓国は違うから」と言われ反論もできませんでした。最近は韓国生活にも慣れ、消費者アンケートなどの結果から意見が言えるようになりました。
 ショールーム
 ショールーム兼会議室
韓国でもパワーレンジャー(戦隊シリーズ)、プリキュア、ガンダムなどのキャラクターが人気で、かわいい、かっこいいという判断基準は日本と大きく違いがないように感じます。ただ、玩具に関して日本では複雑で凝った仕様が好まれますが、韓国ではわかりやすくてシンプルなものが好まれます。同年齢の子どもでも国によって違いがありますね。
女児ホビー玩具シリーズの立ち上げをミッションとして
 玩具売り場にコンパニオンが!
私がバンダイコリアに来て最初のミッションは、女児ホビー玩具に注力するということでした。女性の駐在員がいなかったために、手つかずのジャンルだったからです。料理や編み物、アクセサリーなど、何かを「作る」というホビー玩具は韓国の市場にない商品でした。アメリカやヨーロッパから輸入された商品が一部ありましたが、韓国の消費者向けにきちんとローカライズされたものはありませんでしたね。
 「プチクリエ」シリーズのコーナーがあるショールームにて
女児ホビー玩具の発売にあたっては、まず、日本で発売されたすべての商品をリストアップして、韓国で受け入れられそうなものをピックアップすることから始めました。その後、子どもたちを呼んで実際に玩具で遊んでもらう消費者調査を行なったところ、のり巻きを作る玩具が好評だったので、これを軸に手応えのあった商品他2つと一緒に「プチクリエ」という女児ホビー玩具シリーズとして発売することにしました。のり巻きを作る玩具は「のりまきまっきー(韓国名:ドルドルマリ キムパッ)」という商品名で日本でもヒットしたので、キムパッ(韓国風のり巻き)を食べる文化の韓国で受け入れられるだろうと予想していました。
韓国のローカライズにあたってはレシピの内容を変更したり、商品名を考えたりしました。また日本の説明書は情報量が多く細かいのですが、日本人ほど説明書を読まない韓国人に向けてはどうしようかと悩んだ末に、日本の商品には入っていない作り方の動画が入ったVCDを商品に同梱することにしました。販促面で日本と大きく異なるのは、店頭実演販促が日常的にあることです。韓国の商習慣として新商品の発売や商戦期には Eマートや ホームプラスなどの量販店でコンパニオンを使った店頭販促を行ないます。日本ではコンパニオンが店頭でおもちゃを紹介することは少ないので、驚きました。
手タレまで務めた「ドルドルマリ キムパッ」のCF撮影
 「ドルドルマリ キムパッ」
韓国の広告では13歳以下の子どもがCFで商品をアピールすることを禁じています。商品のCFは、通常日本から購入して言語を換えて放送しますが、ホビー玩具のCFは子どもが玩具をアピールするシーンがあったため、韓国で使用できず、オリジナルCFを制作することになりました。一度、日本でCF制作に立ち会った時には制作会社がすべて進行し、何か問題がある場合に私たちが口を挟む、というスタイルでした。商品に関する情報や商品自体も事前に渡していたので、韓国でも準備して撮影に臨んでくれると思い、今回も安心してまかせていました。
ところが、いざ撮影が始まってみると商品の扱い方が違うんですよ。びっくりして「ああ、違う!違う!」と1カットずつ細かく指示していたら、「じゃあ、商品を一番よく知っているあなたが手タレ(手のモデルのこと)をやってください」と言われて、急遽やることになりました。
出来上がったCFを日本の担当部署に見せたら、「もっとこうした方が良かったね」といろいろ指摘を受け「おっしゃる通りです」と言うしかなくて(笑)。何事においても微細にチェックする日本の視点からすれば、商品の下に敷くクロスにアイロンをかけ忘れるなど「ありえない」事態もあり、私が気付くべきだった…と反省しました。けれど、外部協力先の方々と一緒に一つのものを作り上げた仕事であり、同僚にも多く助けられ、非常に印象に残っています。苦労した甲斐あって店頭に来た子どもたちのCFの認知度は高く、品切れが出るほど商品はよく売れました。
「女の子」の気持ちをつかむ玩具とは?
女児ホビー玩具以外にはアニメ「プリキュア」シリーズのキャラクター商品を担当しています。キャラクター商品はアニメの人気に比例します。日本では例えば日曜の朝は子ども向け番組、と決まっている枠がありますが、韓国でのアニメ放送は ケーブルテレビなので週単位で番組編成が変わってしまいます。視聴率が低いと悪い枠になったり、再放送されなかったりします。また日本と違って、録画して見るという習慣があまりないため、子どもたちがテレビを見るであろう時間帯に必ず番組が放送されることが重要です。上司や担当者のケーブル局に対する営業努力のお陰で、現在は1日3回、よい時間帯に放送されるようになり、一時落ちかけていた「プリキュア」の人気は徐々に回復しています。
小学校を卒業するまで玩具で遊び、売場でも「欲しい、欲しい」とダダをこねるのは大抵男の子。母親に「違うものを買ってあげる」「今度にしようね」と言われると我慢するのは女の子。男の子よりませているので玩具離れも早い。いかに玩具に惹きつけるかがポイントで、女の子は難しいです。それに、まだ韓国の子どもやお母さんへの理解が十分でないので迷いが生じます。今後も定期的に消費者調査をし、データを積み重ねることで韓国の消費者に詳しくなって、韓国の市場にあった商品の提供をしていくことが課題です。
 男の子は玩具大好き
 女の子は玩具の卒業が早い
「!」がいっぱい、驚きの連続の韓国生活
 女の子どうしが手を繋いでいるのはよく見る光景
スキンシップが日本よりも格段に多いのには驚きました。会社の同僚(女性)と話していて、自然と手を握られたりして。韓国では当たり前なのですが、初めは驚いて意識が手に集中して、まともに話ができなかったですね。最近は私から握ってます(笑)。酔っ払ったら男性同士も腕や肩を組んだりするし、大人の男性とその母親が手をつないで歩いているのにも驚きました。道を聞いたら手を引いて連れて行ってくれた時もびっくりしましたね。
アイディア会議をする際に日本では事前準備が必須です。何も準備せずに会議に出ると怒られます。しかし、韓国ではその場で考えてその場で決める。即決できるスピード感はいいと思います。会議が長くなるというデメリットもあるのですが。私が会議を主催するときは一人何個ずつアイディアを持ち寄って来てくださいとお願いしています。ただ先日、会議を主催した韓国人スタッフが「何も用意せずに参加してください」と通達していて、その方がまっさらな、いいアイディアが浮かぶと考えたようでした。考え方の違いですね。
 入社時に贈られるバンダイコリアオリジナルジャンパー
以前はバンダイという同じ会社であるために日本のルールと違う部分があると、日本と同じくすべきではないかと思う傾向があり、ストレスでもありました。韓国人スタッフに「こうしたほうが良い」と言うべきなのか、それが日本スタイルの押し付けになってしまわないか、と迷うこともありました。しかし1年経ったくらいから、ここは韓国で同僚は外国人なので、意見の違い、文化の違い、それぞれの方法があるものだと思って、受け入れられるようになりました。今は仕事にも環境にも慣れて、非常に快適で楽しいです。
未知のものに出会うことが海外で暮らす醍醐味
日本では行ったことがありませんでしたが、韓国では手頃な価格で利用できるエステがあるので、仕事帰りに会社の同僚が紹介してくれた エステに通っています。韓国女性は美への意識が高いですね。日本の友人たちは 韓国コスメに関心が高く、タレントの梨花が愛用していることで有名な「 雪花秀(ソルファス)」を気に入っていて、その影響で私も使っています。今はブームということもあり、日本人の方が韓国コスメに詳しい気がします。韓国人の同僚は海外ブランドを使っていることが多く、私が逆に「これがいいよ」と韓国コスメをすすめることもあります。
 仲良しの友人たちと
韓国についてほとんど知らずに来て、ひとつひとつに喜んだり怒ったり、驚いたりしましたが、それが海外で暮らす醍醐味ではないかと思います。日本とは違う部分が嫌になることもありましたが、初めて出会う美味しいものや、すごく優しい人々に出会ったりするようないいこともたくさんありました。今は日本に出張に行っても、韓国の自分の家に戻った時が一番落ち着くようになりましたね。
インタビューを終えて
女性の駐在員採用が少なかったのは、正直なところ、すぐに辞めるのではという危惧を持たれていたからだそうですが、そんな偏見(?)も心配もモノともせず「韓国にすっかり馴染んで、日本の習慣を忘れそうです」と笑っておられた木村さん。海外生活でのストレスを上手に解消しながら仕事に集中するのは、そう簡単にできるものではありませんが、お話の中から非常に自然体で韓国生活を楽しんでいる様子が伺えました。今後は韓国企業とのコラボによる商品開発をやってみたいとのこと。これからも、子ども時代の楽しい記憶と共に残る夢のある玩具を韓国の人たちにたくさん伝えていって頂きたいと思います。
バンダイコリア株式会社
株式会社バンダイの韓国現地法人で2000年に設立。バンダイの特徴であるコンテンツ創出~商品展開~販売の一連のビジネスモデル「キャラクターマーチャンダイジング」を韓国市場の特性にあわせながら展開中。ガンプラ、パワーレンジャー、プリキュアなどのキャラクター関連商品、プチクリエなどの女児ホビー玩具が人気。SDガンダム、ドラゴンボールのオンラインゲームも手掛けている。ガンプラファンのためのショップ「GUNDAMBASE」がソウル市の 龍山電子ランド、釜山市の西面電子ランドにある。
住所:ソウル市中区(チュング)武橋洞(ムギョドン)45 コーロンビル13階
電話:02-795-0288
ホームページ:http://www.bandaikorea.co.kr
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掲載日:10.01.18 ※内容は予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。 |
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