記念すべき人生の一大イベント、結婚!日本では一生の思い出に残る結婚式に向け、格式に則って様々な準備が行われます。お隣・韓国でも、結婚は新しい門出となる特別な出来事!家族関係が密なお国柄だけに、当人だけでなく家族にとっても大切な節目。その準備過程が気になります。
実はこの度、コネストスタッフ・コッコが韓国人男性と婚約、 韓国で結婚式を挙げることとなりました。「何から始めればいい?」「予算は?」分からないことだらけで始まった韓国での結婚準備、実際の模様も加えてご紹介します!
さすがネット大国!下調べは雑誌よりもインターネット
まずはこれから何を準備すべきか調べることに。日本では結婚情報誌などで情報収集するのが一般的ですが、韓国ではインターネットが主流。結婚関連の様々なサービスを紹介・斡旋しているコンサルタント会社や、結婚を控えた人々が情報交換するサイトなどを参考にすることが多いようです。確かに重くて値段も高い結婚雑誌よりは、ワンクリックで得たい情報にたどりつけるネットの方がはるかに便利!コッコも最大手の iWedding(アイウエディング)ネットワークスや Duowed(デュオウェドゥ)といった企業のサイトに掲載中のチェックリストを見て今後のイメージをつかみました。
The Wedding(左、8,500ウォン)、
wedding21(9,000ウォン)
ドレス・チマチョゴリの紹介が大部分。
ヘアメイクやハネムーンの特集も
式場やスタジオ、ドレスなどの情報を得られ予約も斡旋(iWeddingネットワークス)
とはいえ、相見礼(サンギョンレ)や婚需(ホンス)、礼物(イェムル)、礼緞(イェダン)など、初めて目にする結婚用語が目白押し。本格的な準備を始める前に、韓国ならではの結婚文化を知ることからスタートしました。
韓国の結婚準備 関連用語
相見礼(サンギョンレ) 結婚式の6カ月前
両家の両親が直接会い、初めて挨拶を交わす席。
「結婚を許可する最終段階であるとともに、結婚準備の最初の一歩」とも言われる。静かなレストランや韓定食の店で食事をしながら行われることが多い。
婚需(ホンス) 結婚式の2カ月前
家電や家具など、結婚にあたり購入するもののことで、新婦側が準備する。結婚後にその金額・内容をめぐり新郎側と不和が生じ、深刻な場合は離婚にまで至ることもあり、慎重に選ばれる。家財道具を新婦側が用意する代わりに、新居は新郎側で準備する。
礼物(イェムル) 結婚式の2カ月前
新郎・新婦が交換し合う結婚記念品。宝石やアクセサリーのほか、ペアの時計や指輪を贈り合うことが多い。
礼緞(イェダン) 結婚式の2カ月前
新婦から新郎側の両親・親族へ贈る贈り物。もともとは新郎側に贈る「緋緞(ビダン、絹織物)」を意味していた。昔は高価な絹織物を贈ることで新婦は新郎側に礼を尽くしたが、現代では現金や商品券も一般化している。
新郎側に対する正式な挨拶という意味もあり、新婦にとっては「どの範囲の親族にまで、何を送ればいいのか」が悩みの種。
わざと道に座り込む新郎の友人(中央)。新婦側はあの手この手でなだめる
函(ハム)の引渡し 結婚式の直前
函(ハム)とは、新郎側が結婚に対する感謝を表す意味で新婦の家に届ける贈り物が入った箱のこと。装飾が施された箱の中には、礼物や婚書紙(ホンソジ、新郎の父が新婦の父に送る結婚の礼状)などが入っている。函の引渡しの儀式を行うのは、結婚する本人たちではなく、その友人たち。
儀式自体も独特で、スルメのお面を付けた新郎の友人が函を担ぎ、「ハム サセヨ(函を買ってください)」と叫びながら新婦の家まで向かう。
しかし、道中では歩みを止めたり、家に到着しても函を渡そうとしない。その度に新婦側はお金が入った封筒を渡したり、お酒を準備したりと様々な手で函を新婦の家まで持ってこさせようとする。以前はこうした函の儀式を行うにぎやかな光景がよく見られたが、最近は近所への配慮から省略されることも多い。
日本と韓国の主な結婚準備
日本 |
韓国 |
▼結婚式の6カ月前 |
結納、結納品の購入 日取りを決める 式場の情報収集・決定・予約 |
相見礼 日取りを決める 式場の情報収集・決定・予約 |
▼結婚式の4カ月前 |
新居決定 家具や家電の購入 招待状の発注 スピーチや余興、受付をする人に依頼 新婚旅行の予約 |
新居決定 チマチョゴリ(韓服、ハンボッ)購入 ウエディング撮影(前撮り)のスタジオ・ドレス・ヘアメイクの決定 新婚旅行の予約 |
▼結婚式の2カ月前 |
招待状の発送 料理の内容、引き出物の品、ドレスの決定 招待客リスト作成 ヘアメイク・着付けの依頼 |
招待状の発注 婚需の購入 礼物・礼緞を贈る 主礼(ジュレ、媒酌人)・司会者の依頼 ウエディング撮影 |
▼結婚式の当日まで |
招待客の人数確定、席辞表の決定 司会者との打ち合わせ 前撮り |
招待状の発送 幣帛(ペベッ、新婦が新郎の両親に挨拶する儀式)で使用する料理の注文 函の儀式 |
▼結婚式・新婚旅行後 |
お祝い返しを贈る |
夫婦で新婦の家を訪問・宿泊(新婚旅行から1週間後) イバジ(新婦の家に泊まった翌日、新婦側の母が新郎の家に嫁ぐ娘に食べ物を作って持たせること) |
※上記は一般的な例です
結婚にかかる平均費用および負担金額
韓国の場合、新居を除いた両家の負担額の合計は平均4,985万ウォン(約470万円)。日本の方が約50万円安いですが、大差はないようです。また、韓国では新居は新郎側が準備しますが、後に全額返金される チョンセ制度を利用する場合が多いため、実質的な負担額は新婦側の方が多いのが現状です。
単位:ウォン
. |
新婦側の負担額 |
新郎側の負担額 |
日本(全国平均) |
相見礼/函 |
80万 |
112万 |
結婚費用:421万円(うち挙式・披露宴は317万円)
※結婚費用は結納・婚約・挙式・披露宴・新婚旅行を含む |
礼緞 |
665万 |
313万 |
礼物 |
313万 |
507万 |
婚需 |
1,229万 |
109万 |
結婚式 |
546万 |
658万 |
新婚旅行 |
171万 |
282万 |
新居 |
1,391万 |
10,869万 |
合計 |
4,395万 |
12,850万 |
合計(新居除く) |
3,004万ウォン |
1,981万ウォン |
※日本は「ゼクシィ結婚トレンド調査2008」より。韓国は「韓国結婚文化研究所」の調査結果(2007年)より
いよいよ準備に取りかかる~コッコの場合
韓定食の店で行われることが多い
相見礼 結婚式の4カ月前
そろそろ具体的な準備を始めないと…と思っていた矢先、ソウルへ旅行にやってきたコッコの母。普段は地方在住の彼のお母さんも、ちょうどソウルの親戚宅に滞在中だったため、この機会を逃すまいと「相見礼」を行うことに。今後の進め方について具体的な意見交換が行なわれ、大まかな日取りを決めました。
コッコの場合は国際結婚ということ、無駄な費用は減らそうという方向で意見が一致し、礼物や礼緞、函は省略、思い出重視でウエディング撮影と結婚式を中心に進めることになりました。日本でも「地味婚」人気が出て久しいですが、韓国でも経済的・心理的負担を軽減しようと年々簡素化する傾向にあるようです。
式場決定 結婚式の4カ月前
相見礼で話し合った時期を目安に、結婚式場を探します。招待客が比較的少ないため、静かなレストランでの結婚式もいいな、と思っていましたが高額な費用にビックリ!また、韓国ではメルヘンチックなお城を模した「宮殿型の結婚式場」をよく見かけますが、こちらは趣味に合わないし…。最終的には2人の母校の大学内にある式場に決まりました。在校生・卒業生・職員等が利用できる施設で、少しですが割引もあり。何より2人が学生時代を過ごした思い出いっぱいの場所で挙げられる、というのが大きな魅力でした。
四柱占いの例。コッコは正確な出生時間が分からなかったため、午前・午後のみ伝えた
日取り決定 結婚式の3カ月前
私たちが式場を決める一方で、彼のお母さんは行きつけの 四柱(サジュ)の占い師に日取りを相談しに行かれていました。
候補は6月後半の週末でしたが、四柱の結果と6月23日から「ユンダル」と呼ばれる閏月(うるうづき、陰暦で12カ月のほかに付け加える月)が始まるということで、23日以前の週末に決定。
日本でも縁起を気にして「大安吉日」にこだわることが多いですが、まさか占いで決めるとは!韓国人にとって、人生の重要な節目における四柱の存在がいかに大きなものかを垣間見た気がしました。
閏月は吉月?凶月?
韓国では昔から閏月は「空月(コンダル)」とも言われ、「悪神も善神もいない月=不浄な出来事にも厄がつきにくい月」という認識から、墓の移動や家の修理などが行われてきたそう。このように吉月とみなす考え方がある一方で、「神が存在しないため特に注意すべき月」という俗説も残っており、現在でも結婚や出産といった重要な日取りを決定する際に少なからず影響を与えています。
担当してくれたウエディングプランナーのパクさん
ウエディングプランナーに会う(スタジオ・ヘアメイクショップの決定) 結婚式の3カ月前
働く女性が増加するに伴い、韓国でもウエディングプランナーに準備のサポートを依頼する人が増えているそう。コッコの場合も時間と手間を節約したく式場にプランナーを紹介してもらいました。
やってきたのは、ドレスショップやスタジオが多く集まる 清潭洞(チョンダムドン)のとある事務所。挙式までに必要な準備事項・費用などについて説明を受けた後、ウエディング撮影のスタジオ、美容院を予算に合わせて決定しました。
韓服・礼物を購入 結婚式の2カ月前
ウエディング撮影や結婚式後の挨拶回りなどで必要な韓服は、彼の実家がある地方都市で購入することに。市内の市場に行くと、事前に彼のお母さんが見立ててくれていた韓服のサンプルが既に用意されていました。
「エッ!選べないの?」という思いが一瞬頭をかすめましたが、幸い(?)素敵なデザインで、すぐに採寸。来店から30分も経たずに決まってしまいました。1カ月後のウエディング撮影の日までにソウルへ送ってもらえることに。
韓服注文後、礼物・礼緞は行わない予定でしたが、コッコのみアクセサリーのセット(ネックレス・ブレスレット・ピアス・指輪)をいただくことになりました。彼のお母さんの知人が経営する「金銀店(クムンカゲ、貴金属店)」へとやってきたわけですが、外観は、まさに田舎の時計屋。出てきたコーヒーは薄く、大量の砂糖入り…。商品を選ぶ前から「だ、大丈夫なの?」と不安でいっぱいだったのは言うまでもありません。
しかし、試しにつけてみたアクセサリーが意外と似合い、何とここでもわずか数十分で決まってしまいました。それにしても、韓服・礼物選びにおける彼のお母さんのネットワーキング・行動力には脱帽。さすが娘・息子と過去2回、結婚式を経験しているだけあります。
町内の貴金属店というイメージの
「金銀カゲ」
新婦への礼物はネックレス・ブレスレット・ピアスの3点セットが定番
まるで写真集のような結婚アルバム
ドレスツアー&ドレス決定 結婚式の2カ月前
韓服が決まったら、次はウエディング撮影・結婚式で着るドレスを決めます。後にアルバムや額縁に仕立てられるウエディング写真。
韓国の大抵の家庭では、結婚後も何年、何十年と目に付く場所に飾られるだけに、ドレス選び・撮影は韓国人女性が結婚において最も力を入れる部分です。
ドレスが決まるまでの手続きは3回。好みのドレスショップを見つけるための「ドレスツアー」、ツアーを経て決めたショップでのドレス選び、そして結婚式1週間前に行われる挙式ドレス選びです。コッコの場合、ツアーでは清潭洞にあるドレスショップを数軒めぐり、各店で3~4着ずつ試着。着ては脱ぐを繰り返し、ヘトヘトになってしまいました。
ちなみにこのツアーで着替えを行うのは新婦のみ!新郎は1軒目こそ初めてみる彼女の晴れ姿に感激の様子ですが、ひたすら登場を待つだけのため、最後のお店を回る頃にはくたびれ果ててしまうそう。あくまで主役は新婦なのです。
照明完備で舞台のような
フィッティングルーム
着替えの最中はカーテンが
引かれ…
オープン!新婦は楽しくて
仕方がない
新郎の衣装選びは
ものの20分ほどで終了
ウエディング撮影 結婚式の2カ月前
無事ドレスも決まり、ついに迎えた撮影の日。撮影前日のスキンケアは化粧ノリを良くするため化粧水・乳液のみ、洗髪はアレンジがしやすいようにシャンプーのみなど、撮影にあたっては様々な注意事項がありました。 狎鴎亭(アックジョン)の美容院で11:00にスタートしたヘアメイクが終了したのは約2時間後。
昼食を取る暇もなく近くのスタジオへ向かいます。撮影当日は、着替えや身の回りの世話をしてくれるヘルパーさんが、ドレスショップから1人派遣されます。
まず髪全体にカーラーを巻く
新婦のメイク中、新郎は手持ち無沙汰
やっと始まった新郎のヘアメイクはあっという間に終了
付けまつ毛に付け毛まで…
隣の人の新郎は写真撮影中
ドレスに着替えた後もメイクは続く
やってきたのは、閑静な住宅街の中にある一軒家風のスタジオ。1・2階からなり、洋風・韓国風など様々なセットと本格的な撮影機材が用意されていました。
撮影担当のカメラマンは陽気で、あの手この手で笑顔を引き出そうとしてくれます。「見つめ合って」「新郎の方、新婦にそっとキスね」「ブリッコな感じで」など、様々な注文が飛んできます。最初は恥ずかしさもありますが、撮影は「なりきるが勝ち!」。結婚準備の最終段階、思い切り楽しむのが成功のコツです。
髪のセットから衣装直しまでヘルパーさんの存在は大きい
写真はその場で確認できる
普段取らないポーズに笑いが込み上げる
スタジオ前の道路でも撮影
自然光を活かして撮影
すべて終了したのは18:00。午前中のメイクアップから始まり、撮影は1日がかりで行われました。ちなみに野外撮影は歴史薫る 古宮などで行われることも!撮影当日は韓服の入った箱や手荷物、着替えなど、たくさんの荷物を持って移動することになるため、新婦の友人や家族がサポートに来てくれることが多いようです。
バラエティー豊かな招待状のサンプル
招待状選び・発注 結婚式の1カ月前
いよいよ結婚式まで残すところ1カ月。「招牒状(チョンチョッチャン)」と呼ばれる招待状を送付する時期です。韓国では一般人が結婚式を挙げる場合でも、数百人もの人々を招待しますが、大抵、披露宴は行いません。そのため、出欠を取る必要も、席次表で頭を悩ますこともなく非常に気楽なのです。
また、「どうせ捨てられるものだから…」と考える人が多く、いかにお金をかけないかが鉄則だとか。インターネット上には、招待状の制作・販売を行うサイトがたくさんあり、無料または送料のみでサンプルを受け取れるサービスも行われています。コッコも2社から計20枚ほど取り寄せて決めました。
今回の結婚準備に要した費用
礼物 1,500,000ウォン
韓服(2着) 650,000ウォン
結婚式 7,700,000ウォン(うち食事代 5,600,000ウォン)
ドレス・ヘアメイク・ウエディング撮影・アルバム・ブーケ 1,900,000ウォン
招待状 84,500ウォン
謝礼(ウエディング撮影時のヘルパー) 100,000ウォン
合計 11,934,500ウォン(約91万円)
※レートは2009年5月15日時点
結婚準備では経験者の声も取り入れて
アクセサリーを注文制作したり、招待状など結婚に関するアイテムを手作りしたりする人が多い日本に比べ、シンプルかつスピーディーという印象を受けた韓国の結婚準備。文化の違いに驚き、戸惑うこともあるでしょうが、いつもそばには彼のお母さんや式場のスタッフ、ウエディングプランナー、ヘルパーさんなど、韓国での結婚に精通した人々がいるはず。こだわりすぎずに、経験者の意見に耳を傾けることもスムーズに準備を進めるカギかもしれません。
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