韓国旅行「コネスト」 第25回~佐藤勝樹さん(TOTO KOREA) | 日韓わったがった ―韓国で、はたらく。 | 韓国文化と生活
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第25回~佐藤勝樹さん(TOTO KOREA)

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作成日:08.12.04
衛生陶器、ウォシュレットで知られるTOTO株式会社の現地法人であるTOTO KOREA。韓国市場への進出は1970年代、営業所設立は1994年と韓国でのビジネスに歴史がありますが、ブランドイメージの再構築のために2007年10月、弘大(ホンデ)に程近い上水(サンス)にショールームをオープンしました。その設立に関わったことから韓国に赴任され、若いスタッフのよき兄貴分として頑張っておられる佐藤勝樹さん。漢江(ハンガン)をバックに国会議事堂や63ビルディングの眺めもステキなショールームで韓国のトイレ事情や韓国でのお仕事について伺ってきました。
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名前 佐藤勝樹(さとうかつき)
勤務先 TOTO KOREA(マーケティング部部長)
年齢 38歳(1970年生)
出身地 福岡県
在韓歴 8ヶ月
経歴 1993年TOTO株式会社へ入社。タイル事業部所属。1999年から2008年3月まで国際事業部所属。2008年4月、TOTO KOREAへ出向。
日本に次いで「ウォシュレット」(温水洗浄便座)の普及率が高い韓国
韓国はトイレと浴室が一緒になった欧米スタイルがほとんどで、床がタイル張りになっていて、全体を水で洗い流せるスタイルが多いです。

また韓国は他の海外に比べてTOTOでいうところのウォシュレット(※ウォシュレット®はTOTOの商品名であり登録商標)、温水洗浄便座の普及率が高い。

もちろん、日本は65%以上と非常に高いのですが、韓国はTOTO KOREAの独自調査で10%を大きく上回っているというのがわかりました。
TOTOとしては頭が痛いところなのですが、温水洗浄便座のリースが随分、普及しているようです。アメリカやヨーロッパでは温水洗浄便座はまだまだ一般的ではありませんが、韓国では知らない人はいないようです。

温水洗浄便座が普及しているといっても、中小のメーカーが乱立しており、日本では行われていないリースの利用率が高く、韓国の市場は日本とだいぶん様子が違っています。欧米のブランドやTOTOなどのメーカーとデザインを似せたものも結構あるのですが、価格が非常に安い。
使い比べてみれば、品質の違いをはっきりとわかって頂けると思うのですがユーザーにはまだ明確に区別されていないのが現状です。現在韓国市場を調査中で、これからきちんとした分析を進めていく予定です。
TOTOブランドのイメージづくりのためにショールーム開設
TOTOブランドのデザイン性や品質を理解していただき、PRするために2007年10月にショールームを開設しました。建築事務所やデザイン事務所は江南(カンナム)地区に多いのですが、ブランドイメージを作るのにロケーションを重視して、漢江をバックにした空間づくりをしました。

また、お客様はほとんどお車でお越しになるので駐車場を完備し、アクセスの点にも配慮しました。来場者はエンドユーザーよりもほとんどがニュートラルユーザー(建築関係者等)で、1週間に100人前後のお客様がお越しになります。
商品の展示だけでなく、セミナーなども開催しています。私が講師を務めて商品紹介をするときもありますが、12月にはバリアフリーやユニバーサルデザインに関するプロ向けセミナーを日本から講師を呼んで実施する予定です。商品紹介だけでは建築士やデザイナーに興味を持ってもらえないと思い、今回初めての試みです。

日本のTOTOにはプロ向けのテクニカルセンターというショールームがあるので、そのノウハウを生かします。建築業界関係者にはバリアフリーやユニバーサルデザインという言葉はかなり浸透していますが、一般の現場ではまだその辺りに配慮されたものは少ないです。しかし、日本以上の速度で高齢社会を迎える韓国ではこれから認知が高まると思いますし、ビジネスチャンスだと言えますね。
今、力を入れているのは高級層を対象にした「NEOREST」というウォシュレットと大便器の一体型の商品です。また浴室、トイレをすべてトータルイメージでデザインして、洗面器、水栓金具や浴槽までTOTOブランドを使っていただこうとしています。しかし、高級層ではアメリカやヨーロッパの有力ブランドもかなり浸透していて、TOTOブランドをいかにPRするかが今、一番の課題です。
韓国の有名なインテリア雑誌「INTERNI」でも紹介された
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ソン・へギョ、ヒョンビンの共演で話題のドラマ「彼らの生きる世界」のセットになった
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モノよりヒト。人間関係が何よりも重視される韓国
私は言葉の問題もあり、一人でお客様を訪問するということはまだないのですが、日本以上にお客様との人間関係づくりが欠かせないようです。

いくらモノがよくても決めて頂けない。TOTOファンというよりは営業の○○さんのファン、○○さんがTOTOだからTOTOに決める、というスタイルです。

極端に言うと○○さんが別の会社に移ってしまうと、お客様も一緒に移ってしまう。それくらい日本以上に人間関係が重視されることに日韓の違いを感じます。ですから広報を含め、販売戦略を立てるのが難しいですね。

韓国市場向けの商品開発も私の仕事です。日本のTOTOに依頼して相談しながら進めるのですが、まだ市場が大きくないので、例えば中国向けと同じ仕様を希望して、なんとか韓国向け商品の開発をお願いしたり(笑)。
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マーケティング部のスタッフとのコミュニケーションは韓国語プラス英語、紙に書いて伝えることもあります。実は今、一番頭を悩ませているのは韓国語です。

社長からも言葉は関係ないと言われていますし、現地の言葉ができればいい仕事ができるかといえば、それは違うと思いますが、基礎がないと厳しいなと思うこともあります。
本当にできるの?と思っても、なぜかできてしまうのが韓国スタイル
スタッフをはじめ、外部の業者も仕事が早い。日本で「これお願い」と言うと「期限はいつまでですか?」と尋ねるのが普通ですよね。でも韓国の人は聞かない。指示されたらその日のうちにやらないといけないと思うようです。

もちろん質を伴わない場合もありますが、今は言葉の問題で私の指示の出し方が不十分な場合もあります。しかし、満足できる結果を出してくれたときは、そのスピードにすごいなと思います。
スタッフのほとんどが20代
スタッフのほとんどが20代
先日、ショールーム1周年を記念したパーティーをイベント業者に頼んでやりました。その時も来週本当にできるの?と思うような状態でしたが、結局なんかできるんですよね。不思議です(笑)。

多分、うちのスタッフの頭の中には段取りがあったのでしょうが、韓国に来てから何事も思っていた以上にできるものだと感じます。無理だと思っても言ってみる、という傾向が強くなったかもしれません。それは私自身、変化したように思います。
平日は飲み歩き、週末は写真撮影、食事は参鶏湯!
平日は週に2回は会社の男性スタッフと近くの弘大に飲みに行きます。家に帰ってご飯を作るのが面倒なのもありますが、彼らともっと本音で話せるようになりたくて。

スタッフのほとんどが20代と若いので、いろんな悩みを聞いたり、相談にのったり、フォローできるようになれればいいなと思います。

でも実際飲みに行ったら一切仕事の話はしなくて、ドラマの話とかイ・スンヨプがどうしたとか、そんな話ばかりですけどね。
すべて韓国語なので、その時の会話でいろいろ覚えました。だいたい私が誘うのですが、そろそろうちのスタッフも「また行くの?」と思ってるかもしれませんね(笑)。
昌徳宮
昌徳宮
週末は気分転換に必ず外出します。歴史的建造物が好きなので、来たばかりの頃は景福宮(キョンボックン)徳寿宮(トクスグン)など、ひと通り行きました。

散策して写真を撮るのが好きです。お気に入りは昌徳宮(チャンドックン)です。これからはソウルだけでなく地方にも行ってみたいですね。
参鶏湯
参鶏湯
韓国は野菜が美味しいと思います。韓国料理では参鶏湯(サムゲタン)が好きです。8年ほど前に出張で初めて韓国に来た時、今の社長に連れて行ってもらって食べたのが参鶏湯でした。

当時は今のように日本の韓国料理店のメニューになかったので鮮烈な印象がありました。私は九州出身ですが、参鶏湯のスープはトンコツスープのような濃いタイプじゃなくて、あっさり目が好きです。弘大の近くの食堂にお気に入りの味があります。
中学校から韓国語を学ぼう?!
韓国に住むようになって、日本の人は韓国について随分知らないんだなと気づきました。関心が低いとも言えます。私が日本の友人と話していて感じるんですよ。韓国を誤解しているなと。

もちろん日本の方がいい部分もありますが、すべてがそうではない。隣の国にもっと関心を持った方がいいと思います。例えば台風がくるじゃないですか。天気予報では日本の九州に上陸して過ぎたら、それで終わり。

韓国でどうなっているかという報道はないですよね。近いのだから天気予報も一緒にすればいいのに思うこともあります。韓国や中国を大事に考えないと日本はまずいぞ、とこちらに来てその思いを強くしました。
今、自分が韓国語を勉強していて実感するのですが、もし、中学生から韓国語を勉強したらかなり上達すると思います。

文法など、似ている部分が多いので英語より勉強しやすいからです。今、日本では英語重視のため難しいでしょうが、隣の国の言葉だし、若いうちから勉強したら身についていいのにな思います。
初めての外国暮らしで大変な面も多いですけど、生活様式は似ている部分も多いので住みやすいですね。人はちょっとぶっきらぼうな面もあるけど、とても温かい。私が外国人だからだと思いますが、スーパーや食堂のおばさんなど、みんな優しくしてくれます。居心地は悪くないですね。
ウォシュレットの販売台数を1万台に。目標に向けて突き進む。
日本のTOTOにいた時は海外向けの商品開発に携わっており、企画が中心でした。韓国に来て、担当のマーケティングだけでなく、経理や人事、クレーム対応まで会社全体のあらゆる業務に関わるようになり、難しさもありますが、非常におもしろい。やりがいがあります。

いい経験をさせてもらっていると思いますが、結果を出さないといけないというプレッシャーもあります。現在、「ウォシュレット」と「NEOREST」の販売台数が5千台くらいですが、それを1万台にしたいという目標があります。台湾にもTOTOがあってブランド構築がうまくいっています。
マーケットは韓国の方が大きいので、ショールームをうまく活用して、台湾に負けず韓国でのブランド構築を成功させ、売り上げを倍増させたいです。では実際にどうするかと言えば、その方法をしっかり考えていかなければなりませんが、目標達成のために頑張っていきたいと思います。
★佐藤さんおススメのお店★
ショールームからすぐのうなぎ(チャンオ)のお店。ランチ時は定食が10,000ウォンとちょっと高級なウナギを手軽に楽しめます。蒲焼は日本のものと風味が似ていますが、サンチュに巻いて、ニンニクやコチュジャンをのせて、韓国風にいただきます。

ピリリと辛いうなぎのタレや食後の水正菓(スジョンガ)はお店の手作り。お店のおばさんはとてもフレンドリーで佐藤さんの顔を見るや「お久しぶりねえ」とニコニコでした。
「ヌティナムチャンオクイ」
住所:ソウル市 麻浦区(マポグ)上水洞(サンスドン)264
電話:02-335-3732
インタビューを終えて・・・
言葉をひとつひとつ選びながら物静かな語り口の佐藤さんですが、仕事のお話をされる時には、その充実感と思い入れがにじみ出るようでした。また「日本語でわっとしゃべってお酒を飲んで発散したいと思う時もありますが、今は若いスタッフと打ち解けて彼らの悩みを受け止められるようになりたい」と語る優しくも頼もしい佐藤さんです。在韓8ヶ月、すっかり韓国にハマり出したご様子ですが、今後のさらなるご活躍をお祈りしています。
TOTO KOREA LTD.
衛生陶器、温水洗浄便座のトップメーカーとして知られるTOTO株式会社の現地法人。2001年に設立され、韓国市場におけるTOTO商品の販売活動を行っている。商品の展示に加え、高機能商品の実演ならびに各種イベントを通じて商品力と技術力をPRするため、2007年にショールームを開設。
住所:ソウル市 麻浦区(マポグ)上水洞(サンスドン)351-16 ROYCOビル3階
電話番号:02-733-8241
ホームページ:http://www.totokr.co.kr
韓国旅行おトク情報
掲載日:08.12.04
※内容は予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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