1945年生まれのイ・ムクは、「レズビアン」や「トランスジェンダー」という言葉が韓国国内に入ってくる以前から、「パジシ(ズボンさん)」としてその生涯を生きて来た。「パジシ」とは、レズビアンの中でも男性的な人を指す隠語で、反対に女性的な人を「チマシ(スカートさん)」と当時は呼んだ。故郷の
全羅南道(チョルラナムド)・
麗水(ヨス)を離れ、ソウルでは「キム・スンウ」という男性として暮らした彼女は、これまでの人生で数え切れないほどの女性を愛し、別れたが、この世の人々の目にはただ不穏な存在として映っていた。
お互いに愛し合っていても、恋人が結婚適齢期になると、体裁を守るためや親からの強要で男性と結婚するため別れてしまうこともあった。社会的地位が向上せずに、生活に苦しむ時代もあったが、それでも自分の意志を曲げずに生きてきたイ・ムクの生涯とは―。
近年、韓国でも同性愛者への理解は深まったようだが、先日ソウルで開かれた
LGBT(性的少数者)のためのパレードでも時たまヘイトスピーチが飛び交ったという。社会全体の理解と共存が必要とされる、彼らの真の生活と心に真っ向から迫るドキュメンタリー映画。
ジャンル:ドキュメンタリー
出演者:イ・ムク、ノン、テン、イ・ヨン他
監督:イ・ヨン
公開日:2017年7月20日(木)
© 2017 MOVement, All Rights Reserved.