本日のテーマ:大都会ソウルに居ながら、古代百済の時代へタイムスリップ!
名前が独特な、オリンピック公園の玄関駅
夢村土城コース:距離2Km、所要時間約1時間30分
夢村土城+風納土城コース:距離5Km、所要時間約3時間30分
ソウル東南部・ 蚕室(チャムシル)に位置する広大な オリンピック公園はソウル市民の憩いの場。最近では公園内の施設でK-POPコンサートも頻繁に行われることから、音楽ファンにとっては、特にお馴染みの場所ではないでしょうか?
そんなオリンピック公園へは 地下鉄5号線のオリンピック公園駅と、8号線の夢村土城(モンチョントソン)駅の2駅が利用できますが、「夢村土城」という漢字を見て、一度は「ゆめむらつちしろ?」と読んでみたことはありませんか?夢村土城とは一体何なのか?そんな独特な名前に注目して、夢村土城駅へと向かいました。
夢村土城駅に到着するとプラットホームの様子が他の駅と違い、駅構内の至る所に冬のスポーツの展示が見られます。これは 江原道(カンウォンド)にある 平昌(ピョンチャン)で開催される 2018年冬季オリンピックに関連する展示の数々で、夢村土城駅は2011年2月より、「2018平昌冬季オリンピック広報駅」として、平昌とオリンピックの広報を駅全体で実施しています。
プラットホームの柱を利用して
冬季オリンピックの競技種目を紹介
1番出口(地図1)にはフィギュアスケートのキム・ヨナ選手の大きなパネルも
1番出口を出ると、正面にはお馴染みの「世界平和の門」(地図2)が見えます。
コース01 ソウルにおける百済の展示・歴史に触れてみよう~漢城百済博物館から夢村土城へ~
夢村土城駅1番出口を出て公園内を歩きながらまず向かったのは、2012年4月にオープンした 漢城百済博物館(地図3)です。百済(ペッチェ)約700年の歴史の中で、建国以来、約500年もの長い期間、ソウル(当時は漢城(ハンソン)と呼ばれていた)を首都とし、その後、高句麗の攻撃で首都が陥落したのを受けて、 公州(コンジュ)へ、さらには 扶余(プヨ)へと移転しました。漢城百済博物館では出土された遺跡物や模型、映像を通じて、ソウルの先史時代や三国時代の歴史と文化に触れることができます。
土城を作っている様子を再現したセット
屋上からは夢村土城を見下ろす事も
ソウルに建てられた百済の都は、河南慰礼城(ハナムウィレソン)と呼ばれ、確かな位置は確認されていませんが、近くにある ソウル芳夷洞古墳群や過去の文献などをもとに、「夢村土城」が都の南城、近くにある「風納土城(プンナットソン)」が都の北城だったのではないか、というのが有力です。
オリンピック公園内にある周囲約2.7kmの小高い丘のように見えるのが夢村土城は、かつて泥などを盛って築かれました。現在は史跡第297号に指定され、散策用コースとして整備されています。土城の北西部には漢江の北から攻めてくる高句麗(コグリョ)に対する防衛対策が敷かれ、土城の内部には王や貴族らの拠点があったのではないか、とされています。ソウルにおける百済の展示・歴史を学んだら、博物館を後にし、都の南城だったと伝えられる夢村土城を実際に歩いてみることにしましょう。
夢村土城へ上がる階段(地図4)
夢村土城へ上がる階段(地図4)を登って土城の西側コースを進んでみましょう。 春には、桜やレンギョウ、木蓮が咲きます。夢村土城を散策しながら、色とりどりな春の色が感じられました。
湖や世界平和の門を見下ろす事ができる「オリンピック公園9景」に選ばれたポイント(地図5)での写真撮影がおすすめ。さらに土城を北に進むとオリンピック公園の名物の1つ、ナホルロの木(地図6)が見えてきます。かつてこの地に百済の都があったとされる城内の光景を想像しながら、今回の街歩きは終わりです。土城内を南へ進むもよし、土城の東側コースも歩くもよし、地下鉄駅を目指しましょう。
コース02 もう1つの土城を求め、千戸洞界隈を歩く~風納土城~
オリンピック公園の北側まで来て、もし体力が残っていたら、もう1つの土城、風納土城も一緒に歩いてみてはどうでしょうか?大通りで横断歩道を渡り(地図1)、北西へと進めば風納土城が見えてきます(地図2)。なお、風納土城へは地下鉄8号線江東区庁(カンドングチョン)駅や、5・8号線千戸(チョノ)駅から訪問すると便利です。
風納土城は正式には「広州風納里土城(クァンジュプンナムニトソン)」と呼ばれ、史跡第11号に指定されています。 河南慰礼城の北城説が有力で、夢村土城よりも面積が広いため、風納土城の方が拠点として主な役割を果たしていたのではないか、と学者たちの間で注目されています。
風納土城再現模型(漢城百済博物館内資料)
風納土城周辺の空撮写真(漢城百済博物館内資料)
土城すべてが保存されている夢村土城とは異なり、風納土城は一部のみが保存されており、土城沿いには散策コースが設けられています。かつて拠点が置かれていた城内は、今はマンションなどが建つ住宅街となっており、周囲を取り囲む土城だけが残っていますが、 明洞(ミョンドン)や 仁寺洞(インサドン)では見られない、ごく普通の住宅街の姿を垣間見る事ができます。そんな景色を見ながら散策コースを北へと進むと、千戸駅に到着(地図4)します。駅周辺では千戸洞(チョノドン)のローカルな雰囲気を感じてみましょう。
住宅街にひっそりと佇む風納土城
道路のため途中、土城が切れたり(地図3)
土城自体がない場所は
住宅街の中を進みます。
百済の都だったとされる夢村土城と風納土城。現在はそれぞれ、公園や住宅街になりましたが、保存されている土城を歩きながら、紀元前から続くソウルの歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
千戸洞ってどんなところ?
地下鉄5・8号線千戸駅周辺に広がる千戸洞は、ソウルの最東部に広がる繁華街です。千戸駅交差点に位置する現代百貨店・千戸店や、Eマート千戸店があります。駅の北東部には、周辺住民のショッピングスポットの千戸洞ロデオ通りや、路地裏には焼肉・居酒屋が集まっているうまいもん通りがあります。駅の南西、風納土城周辺には昔ながらの市場の雰囲気も残っており、ソウルの新旧が混在している街です。
ショッピングスポットの千戸洞ロデオ通り
土城付近は昔ながらの市場の雰囲気が残る。
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