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コネスト記者の釜山国際映画祭2006レポート1

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作成日:06.10.23
2006年10月12日から9日間にわたり開催された第11回釜山国際映画祭がついに幕を閉じました。コネストではフォトレポートで毎日映画祭の様子をお伝えしてきましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?今回は、写真だけではお伝えできなかった映画祭前半の様子を、コネスト記者独自の視点から、レポートさせていただきます!

開幕式
発売から2分45秒でチケットが売り切れてしまった開幕式。ヨット競技場の野外上映場には、開場数時間前から長蛇の列ができていました。運良くチケットを手に入れた人たちも、指定席ではないため、少しでもいい席を取ろうと並んでいるわけです。
19:00、会場が満席になると、スターたちのレッドカーペット行進がスタート!会場は興奮の渦に巻き込まれました。注目すべきはイ・ビョンホン&スエ、そしてチョン・ウソン&キム・テヒの2組。今回の映画祭には出品されていませんが、それぞれもうすぐ公開予定の「夏物語」「中天(チュンチョン)」の主演コンビなんですよ。まさに美男美女でほ~っとため息が出そうでした。映画のほうも楽しみです!
今回開幕作に選ばれたのは、ユ・ジテ、キム・ジス、オム・ジウォン主演の「カウルロ/Trace of Love」。みなさん1995年に実際に起きた三豊(サンプン)デパートの崩壊事故は覚えてるでしょうか?5階建ての百貨店が営業中に半分崩壊し、502人の死者を出したあの事故です。「カウルロ」は崩壊事故に巻き込まれた人物の悲劇とその後を描いた物語。扱っているテーマの割には意外に落ち着いたメロドラマにしあがっており、個人的にはちょっと物足りない感もしましたが・・・。風景が美しく、秋にぴったりの映画です。

◀ 開幕作「カウルロ」主演の三人。記者会見にて

開催地の様子
<海雲台(ヘウンデ)>
南浦洞(ナンポドン)にとってかわり、近年すっかり映画祭のメインエリアとなった海雲台(ヘウンデ)。マリオットホテル横には「PIFFパビリオン」が設けられました。野外舞台でトークショーなど数々のイベントが開催されましたが、なんといっても美しい海を背景に行なわれるというのが素敵でした。そしてそこから徒歩8分ほどの距離にMEGABOXが。映画を見るのがこちらの劇場になります。コネストスタッフもMEGABOXとパビリオンとを行ったり来たりしていました。

<南浦洞(ナンポドン)>
今回南浦洞では、大映(テヨン)シネマ1館のみでの上映になりました。しかし特設舞台では舞台挨拶などのイベントが開催され、回数は少なかったですが、海雲台(ヘウンデ)に負けないくらい盛り上がっていましたよ。メイン通りには宣伝ブースがずらりと並びます。ブースでは新作映画の広告が入った大きな紙袋が無料でもらえます。人々が列をなして何枚ももらっていく姿は毎年恒例です。夜はライトアップも。

<CGV萇山(チャンサン)・プリモスシネマ海雲台>
海雲台MEGABOXから車で5分。ふたつ向かい合っているこちらの劇場でも、映画が上映されました。派手なイベントはありませんでしたが、こちらもきれいで立派な劇場。映画上映後のGV(観客との対話)がいくつかありました。

映画を観よう!
さて皆さん、華やかな俳優たちの姿ばっかりに目がいってませんか?この機会でなければなかなか観られない、作品性の高い映画を観るのが映画祭の醍醐味です。現地では上映作の紹介冊子が無料で手に入るので、すぐゲットしておきましょう。インターネットで予約しなければ、人気作品のチケットを手に入れるのは難しいですが、諦めてはいけません。売り切れの映画も、15%程は当日券として残されており、上映当日に販売されるのです。しかし現地では毎朝なんと5:30から(!)、当日券を手に入れようとする人々が列をなし、寝ながら待つ人も多数という状態です。どうしても観たい映画は早起きするしかありませんね。また、チケット売り場前のホワイトボードは必ずチェックしましょう。映画名とチケット残枚数が手書きで書かれています。たいてい1~2枚なので、1人でも観たい!という方に良いでしょう。キャンセルなどにより急に空席が出る場合もありますよ。それでも諦められない方は、掲示板に「求む!○○  △枚」と張り紙を張っちゃいましょう。掲示板には張り紙で不要になったチケットが売られている場合もあるので要チェックです!

<コネスト記者のおすすめ映画>
今回、北朝鮮を題材にした映画や在日朝鮮人関連の作品が注目を浴びていました。コネストスタッフが観たおすすめ映画をご紹介しましょう!
ウリハッキョ(Our School)
2006韓国 /キム・ミョンジュン監督 /ワールドプレミア
韓国人の監督が、北海道の朝鮮学校に通う在日朝鮮人学生たちを1年間撮り続けた記録。特に大きな事件をあつかっているわけではなく、ただ彼らの日常の姿をたんたんと捉え、日本で在日朝鮮人として生きていくということの意味を問いかける。閉幕式にて釜山国際映画祭雲波(ウンパ)賞を受賞。

いや~、泣きました。いい映画です。ただ学生たちの素の姿、はしゃいだり悩んだりという日常を撮っているのですが、彼らが愛しくてしかたないという監督のあたたかい視線、心の触れ合いが伝わってきて胸に染みます。用意された「セリフ」をしゃべるのではない、ドキュメンタリーならではの感動に、会場中、涙涙でした。在日朝鮮人を題材にした映画としては、もう1編「川を渡る人々」(キム・ドッチョル監督)も出品されたのですが、両映画そろって雲波賞を受賞しました。「在日同胞の韓国語は、確かに発音がおかしいし拙い。でもそれは我々韓国人の責任です。我々の無関心のせいです。私は我々韓国人が、彼らの学校を<ウリハッキョ>と呼べるようになるべきだと思っています」と監督。
◀キム・ミョンジュン監督

Comrades in Dreams(夢の同志たち)
2006ドイツ /ウーリ・ガウルケ監督 /ワールドプレミア
北朝鮮、インド南部、アメリカの片田舎など、小さくうらさびれた映画館でフィルムをまわす映画技師たちの生と、映画に対する愛情。辺境で働く彼らをインタビューし、それぞれ高いプライドと、不思議にも似通った面を持っていることを描いた。
変わった映画でした。北朝鮮の映画技師の日常というのが珍しく、おもしろかったです。私たちの感覚とは全く違うんだけれど、それでも映画をとても愛している様子がわかります。上映後のGV(観客との対話)でも北朝鮮関連の質問が殺到していました。
「北朝鮮の映画はプロパガンダ的なものであり、我々から見たら猟奇的に感じるかもしれないが、彼らにとっては映画とはそれしかなくそういうもの。我々の映画だってある種の宣伝なのかもしれないからね」と監督。

ウーリ・ガウルケ監督▶

烈女門(ヨルニョムン)
1962韓国 /シン・サンオク監督
若い寡婦と作男の間の愛情を通して因習と人間の欲望について探求した作品。
今回、「韓国映画回顧展」として、植民地時代に制作された映画が多数上映されました。中でもこの回顧展で注目を浴びたのが、この「烈女門」という映画。4月に他界した申相玉監督の代表作で、これまでフィルムが失われたとされてきたのですが、台湾で発見されて復元されました。上映後の特別対談で、すっかりおばあさんになってしまった主人公のチェ・ウニ氏が参席、「夫である監督が、もう一度見ることなく亡くなったのが残念」と涙を見せていました。

GVをねらえ!
せっかく映画を見るなら、上映後に観客との対話がある、Guest Visit(GV)を狙いましょう。憧れの監督や俳優に直接質問できるまたとないチャンス!ファンが殺到する大スターというのでなければ、終了後サインももらえちゃいますよ。しかし韓国の映画ファンはとても熱心で、積極的に堂々と質問する人が多く、どの映画のGVもとても有意義な時間でした。桃井かおりさんも「韓国の人はカメラアングルのこととかを聞いてきたり、質問もプロっぽくてびっくりしました」ともらしていました。

スターに会える!野外舞台イベント 
映画のチケットが手に入らなかった方でも、憧れの俳優を目にすることができるチャンスがあります!それが野外舞台での舞台挨拶やトークショー。なんとこれらは無料!人気スターの場合は大混雑になるので、早くからいい場所を取っておきましょう。これらのイベントは開幕後にやっと発表されるので、劇場のインフォメーションやPIFFのホームページで情報を仕入れましょう。
<舞台挨拶>
前半は「卑劣な通り」の舞台挨拶が最も人を集めていました。チョ・インソン人気は絶大ですね。「無花果の顔」で初監督をした桃井かおりさんの舞台挨拶もありました。日本ではお正月に公開されるそうです。

<トークショー>
去年の妻夫木聡&イ・ビョンホンが記憶に新しいですが、今年はアン・ソンギ&アンディ・ラウから始まりました。アンディ・ラウは韓国人にも人気なんですね。熱狂的な歓声を浴びていました。

気になる!VIPパーティ 
映画祭の期間は毎晩関係者だけの華やかなパーティが開催されます。大好きな俳優がいる方は、そんなパーティの内容も気になりますよね。コネストが参席した一部をご紹介しましょう!
パラダイスホテルのパーティ会場
開幕式後のパーティ。
芸能人が目の前に!
俳優オンリーのVIPパーティ。
カーテンの奥では
きらびやかな世界が…
映画雑誌のパーティ
10月13日の夜は、パラダイスホテルの地下にて、「シネ21」という映画雑誌主催のパーティが行なわれました。コネストもプレスとして参席したのですが、なんとそこにイ・ビョンホン氏が普段着でふらっと現れたのです!!会場内は暗いため、一部の人しか気づいていない模様でしたが、どう見てもイ・ビョンホン氏。映画「甘い人生」の監督と一緒に上機嫌でした。なんか顔が赤い…。かなり飲んでる?こんな普通のラフな姿、カメラにおさめてもいいのだろうか?と迷いましたが、お願いして撮らせて頂きました。初めは「酔ってるから写真はちょっと」としぶっていたのですが、「監督と一緒に」というと快く承諾してくれました。そしてなんとサインまで!ありがたく名前まで入れていただきました。本人は顔が赤いと気にしていましたが、酔っていても本当にかっこよかったイ・ビョンホン氏。貴重なプライベートの時間のところ、ありがとうございました。

「フランスの夜」
14日の夜に開催された、フランス大使館主催のパーティ。フランス政府より文化芸術勲章を授与されたイ・ビョンホン氏。昨日のぐでんぐでんの姿(失礼)とはうってかわって、ビシッと決まっていました。このメリハリがたまりません。この後発表された「ライジングスターアワード」は、今後の韓国映画を担う若い俳優として、リュ・スンボムとイム・スジョンが受賞しました。

記者会見・ショーケース
ファンや映画関係者が多数集まる映画祭は、公開予定の映画にとってはかっこうの宣伝の場でもあります。今回もプロモーションとして、新作映画を紹介する場が多数設けられました。特に、イ・ビョンホン&スエ主演の「夏物語」、チョン・ウソン&キム・テヒ主演の「中天(チュンチョン)」が注目を浴びていました。日本でも人気の韓流スターの主演とあって、日本でも関心が高まりそうです。
巨匠イム・グォンテク監督の100本目の映画として注目を浴びている「千年鶴(チョンニョンハク)」のレセプションパーティも行なわれました。パンソリの歌い手の物語で、大ヒット映画「西便制(風の丘を越えて)」のその後とも言われており、「西便制」で主演したオ・ジョンへを起用しています。2007年5月公開予定、名作誕生の予感です!

スターに会うなら・・・
こういったイベントは、一般の方は残念ながらPASSがないと入れません。それでも一目でも見たい!というかたは、この方法しかありません。そう、会場前の「出待ち」です。記者会見、GV、パーティの情報を事前に入手して、会場前でひたすら待ちます。人気スターの場合は、おっかけの方たちがすでにたくさん並んでいるはずなので、ファンの人だかりが見えたらそこで待てばOK。あとは運にまかせるしかありません!

日本からのファンも多数! 
今回の映画祭は、なんといっても日本人ファンが多かった!外国の地にも関わらず、どこで情報を仕入れたのか、スターが現れる場所には常に日本人の姿がいました。本当にお疲れ様です。今回MEGABOXで出会った日本の方に少しだけお話を聞いてみました!
Q. どういうお仲間ですか?
A. 韓国現地で知り合いました。東京と神奈川から、それぞれ別々に来たんですよ。
Q. 今はここで何を?
A. イ・ビョンホンさんを待っています。中で行なわれているイベントに参席されていると聞いて・・・
Q. 何か映画は観ましたか?
A.. いいえ。残念ながらチケットが完売だったので。
Q. 何泊の予定ですか? A. 3泊です。
Q. イ・ビョンホンさんのために韓国に来られたんですか?
A. はい、日本ではなかなか会える機会がないので。一目でもいいから会いたいです!

スクリーンクオータ問題もまだお忘れなく…
縮小されたスクリーン・クオータ制度の原状回帰を要求する運動もあちこちで行なわれていました。開幕作「カウルロ」のキム・デスン監督もPIFFパビリオンで1人デモをしていました。スクリーンクオータが縮小された現在、韓国映画の興行はまだ落ち込んでいませんが、映画関係者の反対運動は続いていくようです。

チャガルチ市場でお食事
映画漬けもいいけれど、釜山に来たらやっぱりおいしいフェ(お刺身)ははずせませんよね。コネストスタッフは、南浦洞に寄ったついでに、チャガルチ市場で刺身をいただきました。市場で魚を選び、その場でさばいてもらいます。ひらめやあなご、タコなど、二人でお腹いっぱい食べて40000ウォンでした。う~ん、新鮮な魚はおいしい!映画祭期間のためか、西洋人のお客さんも多かったです。
以上、映画祭前半のレポートでした!映画鑑賞中心に楽しんでもヨシ、イベント中心に楽しんでもヨシ、それぞれ好みに合わせていろんな楽しみ方ができる釜山国際映画祭。来年こそ行こう!とお考えの方はぜひ参考にして下さいね。
さて、映画祭半ばでソウルに戻ってしまったので、ここで他の記者にバトンタッチ!後半は日本の俳優が続々登場!気になる次のレポートも乞うご期待です!


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掲載日:06.10.23
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