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多くの文化財が残されている、伝統の街・安東(アンドン)。安東には、有形文化財だけでなく、タルチュム(仮面劇)をはじめとした多くの無形文化財が伝承されています。その安東で、毎年9月の最終金曜日から10日間、安東国際タルチュムフェスティバルというお祭りが催されているのはご存知ですか?世界的にも有名なお祭りですが、地方とあって、興味があっても行けなかったという方も多いはず。そんな方々に、韓国古来から伝わる粋を感じてもらおうと、今回、コネストスタッフがソウルからはるばる行って参りました! |
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韓国の「タル」とは |
「タル」は普通「仮面」や「mask」と訳されていますが、仮面というと「偽りの顔」というイメージですよね。しかし韓国の「タル」は「真実の顔」という意味合いが強いのです。安東の河回(ハフェ)タルは、国宝121号に指定された、国内最高のタル。韓国で唯一木造で造られた仮面で、写実的でユーモラスな造形美が特徴です。貴族、学者、老婆、芸妓など、それぞれの身分がよく表現されています。見つめれば見つめるほど不思議な魅力を感じる、味のある仮面です。おみやげ用のタルも販売されていますよ。 |
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いざ、安東へ! |
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安東は慶尚北道(キョンサンプット)に位置しています。バスなら東ソウルバスターミナルから約3時間、列車なら清凉里(チョンリャンリ)駅から約3時間半かかります。(くわしくは、ガイド記事を参照)
さて、フェスティバル期間は安東市一円で様々なイベントが開催されますが、メインとなるのは、安東駅から徒歩15分、洛東江(ナットンガン)沿いにある「タルチュム公園」の祝祭場です。そして第2のメイン会場が、「河回村(ハフェマウル)」。タルチュム公園と河回村は車で30分ほどかかりますが、イベント期間は直行シャトルバス(1日6~7本)も運航されています。ぜひ忘れずに2箇所セットで訪れてくださいね。 |
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宿は、安東駅周辺に「安東パーク観光ホテル」をはじめとしたホテルや旅館が集まっています。河回村でも「民泊(ミンバク)」といって、伝統的な民宿に泊まることができるので、施設が悪くても構わないなら利用してもいいでしょう。
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タルチュム公園
祝祭場 |
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まずコネストスタッフが向かったのが、こちらの特設会場。広い敷地内のあちこちにいろんなブースが設けられており、イベント期間、朝から晩まで様々なプログラムを楽しむことができます。タルチュム公演場
に入るときは入場料が必要ですが、公園内に入るだけなら無料。広いので迷ってしまわないように、地図とプログラム表をもらっておきましょう。 |
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タルチュム公演場 |
芸術舞台 |
世界の工芸品展示 |
世界仮面博物館 |
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会場には露店や屋台が多いので、工芸品の買い物をしたり、郷土料理を食べたりすることもできます。どの店も単に商品を陳列するだけでなく、仮面を掘ったり、お餅をついたりと試演パフォーマンスをしてくれます。仮面をかぶったマスコットがあちこちにいるのも、タルチュムフェスティバルならでは。 |
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仮面作りやチマチョゴリ体験、世界のダンス講習など、体験ブースがずらりと並んでいます。2000~5000ウォンほどの材料費が必要になる場合が多いですが、多くの子供たちが楽しんでいました。 |
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☆コネストスタッフも体験☆ |
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仮面作り |
マッコリ(どぶろく)試飲 |
家訓書き |
見本を真似て塗り塗り。 |
安東焼酎もおいしいですよ。 |
「すべてに最善を
尽くそう」…社訓にします。 |
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広い敷地内の中でも最も見ごたえのある公演が行なわれるのが、円形のタルチュム公演場。韓国各地の仮面劇だけでなく、世界の珍しい民俗舞踊を見ることができます。 |
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このお祭りは、車戦遊び、ノッダリ踏み、花煎ノリといった、今では見られなくなった伝統行事が再現されるのも見どころのひとつ。今回コネストスタッフは「ノッダリパルキ(人橋踏み)」という伝統行事の試演を見ることが出来ました。ノッダリパルキとは、王女役の女性が、他の女性たちが中腰になって作った背中の橋(ノッダリ)を踏んで渡る民俗遊び。王女役の美しい女の子が二人登場し東と西の2チームに分かれて競っていました。華やかで優雅なお遊びといった感じです。 |
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市民たちによるプンムル競演大会というのもありました。プンムルとは伝統楽器を使った民衆的舞踊のこと。各地方から集まっておりとても賑やか。市民たちが心からこのお祭りを楽しんでいる様子がうかがえました。 |
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このほかにも「競演舞台」「マイム舞台」「人形劇場」などのミニステージが数多くあり、あらゆる場所で小さな公演がおこなわれています。伝統的な公演があるかと思えば、一方ではブレイクダンスをやっていたりというのがおもしろいですね。 |
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城主プリ |
打楽サンサンブル |
グッ巫祭 |
B-BOYダンス大会 |
インディーズバンド
のライブ |
手品ショー |
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河回村(ハフェマウル) |
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お次は祝祭場からバスに乗って30分、河回村にやってきました!河回村は、昔ながらの藁葺き屋根や町並みが残っており、両班(昔の貴族階級)の子孫が今でも生活している、韓国で最も韓国らしい街。人気俳優リュ・シウォン氏の実家があり、エリザベス女王が訪れたことでも有名です。村のそばには洛東江(ナットンガン)という川が流れており、「水が回る」という意味で村の名前が付けられまいた。 |
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必見なのは、この村固有の劇である「河回別神グッ仮面劇」。安東に来たからには、これを見なければ帰れません!この劇は村の豊穣を祈願して古来よりおこなわれてきたもの。お祭り期間はタルチュム公園の野外劇場でも行なわれる日があるので、スケジュールを調整して、どちらかで必ず観覧できるようにしておきましょう。また、お祭り期間外でも、3月~11月の毎日曜(5~10月は土曜も)の15時からおこなわれるので、これから旅行を計画中の方も要チェックです!
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ムダン(巫女)・住持(獅子) |
広場に人が集まると、クァンデ(役者)たちが楽器をたたきながら登場。閣氏(カクシ)役が大人の肩に乗って、ムダン(巫女)舞を演じる。ムダンが去ると二匹の獅子が現れる。オスとメスがケンカをしてメスの勝利に終わるが、これは雑鬼を追い払い、場を清める意味を持つ。 |
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白丁(ペクチョン) |
白丁(屠殺をする賤民)が登場し、斧で牛を殺すと、牛の睾丸を取り出して観衆を冷やかす。性的な意味のセリフを発することで、支配階級の権威欲を風刺している。 |
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老婆(ハルミ) |
老婆が登場し、一生を貧しく生きてきた身の上を嘆き、機織歌をものさびしく歌う。老婆の仮面は、辛苦をなめつくした表情がよく表現されている。 |
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破戒僧(チュン) |
芸妓役のブネが現れると、尿意を覚え、小便をする。僧侶が登場してこの様子をかいま見、小便をした跡に近づき、手で土をすくいあげにおいをかぎ、哄笑し、ブネを追いかける。人間の心の本能的な葛藤と、当時の僧の堕落ぶりを表現。 |
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イメ・チョレンイ |
酔っ払いの男(イメ)と両班の下男(チョレンイ)が現れ、観客を交えて踊る。 |
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両班(ヤンバン)・学者(ソンビ) |
下男(チョレンイ)が両班(ヤンバン)と学者(ソンビ)を仲たがいさせ、二人を嘲笑する。最後には仲直りして、一緒になって踊りに興ずる。劇の終了後は役者たちが仮面を取って踊る。 |
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風刺とユーモアにあふれたとても興味深い公演でした。韓国語がわからないと難しい面も一部ありますが、演技が素晴らしいので、声を聞いたり仕草だけを見るだけで伝わってくるものがあります。西洋人の観光客がたくさんいましたが、みな楽しんでいましたよ。こういった劇が今も伝承されているのは貴重なこと。劇を見終わったあとは、河回村の美しい街並みと景色を満喫していきましょう。 |
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安東市内「文化の道」 |
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これらメイン会場以外に、市街地でも催し物があります。ソウルでいうと明洞(ミョンドン)のような繁華街にあたる「文化の道」。規模はそんなに大きくありませんが、こちらでも特設舞台が設けられていました。街全体が祝祭ムードなんですね。 |
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安東の特産物はコレ! |
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安東の名産品といえば、安東チムダク(鶏の蒸し煮)、安東焼酎、安東コチュ(とうがらし)などが有名です。イベント会場に試食や販売コーナーがあるので、ぜひ味見してみてください。安東チムダクは、会場から出て市内の「旧市場」にある「チムダク通り」で食べるのがおすすめ。チムダク店が所狭しと並んでいるので、一番混んでいる店に入れば間違いなし!相場は3人前の大皿で18000ウォン程度。ソウルよりも辛さ控えめで甘く、食べやすいですよ。 |
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しかし、安東の名産品の中でも絶対食べて欲しいもの・・・それは「カンコドゥンオ(塩鯖)」です!会場のフードストリートにも、塩鯖の食堂がずらりと並んでいました。注文したらその場で炭で焼いてくれます。塩の味がほどよくきいており、とっても美味!価格は1匹1万ウォン程度。おかずも出るので、2人で1匹でOKです。おみやげ用にパックされた鯖も販売されています。ランチに塩鯖、ディナーにチムダク、というのがおすすめです! |
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あわただしく動き回ったため、一部だけの紹介となりましたが、子供連れならタルチュム公園の祝祭場を中心に、大人の方は河回村を中心に見学するといいのではないでしょうか。コネストスタッフは、ソウルに戻ってからもしばらくは仮面劇の独特なソリ(声)が頭の中でこだましていました。都会にはない魅力がたくさん詰まった「安東国際タルチュムフェスティバル」、毎年秋に開催されるので、ぜひ一度は遊びに行ってみてください。 |
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