延世大から地下鉄「新村」駅に向かう大通りから少し入った場所に「パビ ポヤッ（밥이 보약＝ごはんは補薬）」という食堂があります。現代韓国で、補薬とは一般に、韓方・漢方薬局で売っている人参茶などの健康サプリを指します。「医食同源」的な主張をもった店名と思われます。

若者の街なのに、名前も店構えも渋いな…と思いつつ通過しようとしたら、路上に定食のオカズ内容看板が立っています。「キキョウ根の和え物」「サンマのフライ」などに目を奪われ、思わず入店。

店内には10種ほどのメニューが記された看板が出ていますが、「いま、家庭式定食（6000ウォン）しか出ないんですよ…」とのこと。「では、その定食を」と着席しました。

午前11時少し過ぎで、店内の客は私一人でしたが、店主夫妻は忙しそうです。ダンボールに弁当（茶色い地味な外観ながら『質実な美味』のオーラが出ていました）を詰めています。店の前にバイクがあるので、弁当の出前も行なっているのでしょう。

「家庭式定食」は、野菜系おかず数品とイカキムチ＋煮卵＋サンマのフライ＋味噌汁＋白飯という構成でした。サンマは、小麦粉の薄い衣が付いているので「ムニエル」といえます（よい焼き加減でした）。オシャレな高額カフェの多い新村で、この内容が6000ウォンは大変にお得です。

店主夫妻は、特に陽気ではないものの、穏やかな雰囲気です。味付けも、激辛とかスゴく濃いといったアイテムが無い「中庸」な感じで、「感謝していただきます」という気分で食事を味わえる店でした。