Oilje

エゴマのワカメスープ、そのお店は三角地にありました。
趣きある佇まいが印象的な「오일제」
思い起こせば　「花は野にあるように」を教えてくれた気がします。

店内は8席程の L字カウンター、窓辺に２席程、奥の扉の向こうにはグループ様が集える個室も有りました。
ご主人がお一人で全てを担われます。

３つの黒い釜、炊飯用に２つ、奥にスープ用の大きいサイズがあり、隣にはコンロが並んでいました。

丁寧で繊細な行程を拝見しながら配膳を待ちます。
気持ちが高揚してゆきますね。
ご飯の釜が開けられました。湯気の向こうに艶々のコシヒカリが現れました。
ご飯をよそう所作も美しい……

届けられました、エゴマワカメスープ膳。
キムチにタコの塩辛も並んでいます。それらにあしらわれた雑穀のセンスも際立ちます。

スープを一口、こ、これは…美味しい、後に続ける言葉が出てきません。
味付けは、濃い薄いの境界でピタッと止められてあります。食べ進めても　舌が飽和する事なく　匙の回数が増しても　毎回毎回　最初の一口の感動を保ち続けてくれました。

ワカメは、別添えの醤油に漬けて頂くよう説明が有りました。この醤油がカツオベースの出汁醤油で格別の美味しさ、ワカメの柔らかさをより実感できるものでした。

デザートのジェラートを頂いて　美味しい時間は終わりを迎えました。

あまりの感動に放心状態でお店を後にしました。帰路も　あれは白日夢だったのだろうか？と自問自答。
ソウル駅の雑踏が私を正気に戻してくれました。

こい願わくは～もう一度味わいたい、ご主人の食材を慈しむ心にふれたい～오일제。
素晴らしい味をありがとうございました。

　　　　　　　　　2023年10月18日訪問。