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プンムル

サムルノリの元、韓国伝統芸能プンムル
日本でもお祭りの日には各地域ごとに神輿を担いだり獅子舞をしたりしますが、韓国でも四季折々には町、集落ごとにお祭りをします。朝鮮半島では、それがプンムルだったり仮面劇だったりするのです。プンムルは、漢字で書くと「風物」。農民の音楽なので「農楽(ノンアッ)」と言うこともあります。農民が農作業や季節の節目、村で何か起きたときなどに、チャンゴ(杖鼓)やケンガリ(鉦)、チン(銅鑼)、プク(太鼓)などの打楽器やテピョンソ(ラッパ)を鳴らしながら楽しく踊り練り歩くのが、プンムルなのです。
世界的にも有名になった韓国の代表的な音楽サムルノリは、プンムルを元にしてできた新しい現代音楽。あの激しいビートのサムルノリは、プンムルなくしては生まれなかったのです。
左からチン、ケンガリ、プク、真ん中がチャンゴ ▶

生活に根ざした総合芸術
写真は、韓国南西部、全羅南道(チョルラナムド)の山あいの小さな村、筆峰(ピルボン)で毎年テボルム(旧暦の1月15日)の日に行われるプンムル。それほど複雑ではない味のあるリズムを、長めに引き伸ばしてじわじわと盛り上がっていくのが特徴です。

筆峰村のプンムルは、朝に楽器を打ち鳴らしながら出発し、まず村の一番大切な大木の周りを回ってお供え物をし、お祈りを捧げます。その後に水が湧き出している場所で演奏し、それから家々を周り、マッコリ(濁り酒)を飲みながら演奏を一日中続けます。夜になると広場で大きな松明(たいまつ)を燃やしながらみんなで踊ります。
祭壇に祈祷するプンムル隊のリーダー 楽器隊以外にも、道化のような役回りの人たちも欠かせません

村の生活の安泰を祈り、豊作を祈る大切なお祭りだということがよく分かります。また、大同(テドン)の精神といって、楽器を持つ人も持たない観客も、みんなが一緒になって踊り歌うことができるのがプンムルの醍醐味といえます。

田舎にはまだきちんとプンムルが残っている村や、きちんとは残っていなくても住民たちがめでたい日に楽器を持ち出して楽しく演奏する習慣が残っている村もあります。ソウルなど都市部でも、何かの折りにプンムルを見ることができます。

地方ごとに違うスタイル
プンムルは地域や村によってリズムや服装、楽器編成などスタイルが異なり、とても奥の深い世界です。
 
韓国南東部・慶尚南道(キョンサンナムド)の大邱(テグ)市のプンムル。
頭にかぶっている大きなコッカル(花笠)がかわいいですね。
ソウルの北、京畿道(キョンギド)揚州(ヤンジュ)市から来たプンムルグループが、
ソウルの公演場で演奏しているところ。
ソウルの南、京畿道平澤(ピョンテク)市のある村でのプンムル。 韓国重要無形文化財である男寺党(ナムサダン)のプンムル
各地方のプンムルが一堂に会した競演大会(安東タルチュムフェスティバル)
 

プンムルからサムルノリへ
1970年代にキム・ドクス、イ・グヮンスら、プロのプンムルグループで演奏してきた4人の若者が集まり、韓国各地のプンムルから音楽的要素だけを取り出して再構成し、新しく作り上げたのがサムルノリというスタイルでした。これが世界で成功し、サムルノリは一躍韓国の新しい伝統芸能として韓国人に受け入れられたのです。
◀ サムルノリの第一人者キム・ドクス
それ以降、サムルノリというステージ音楽の「魅せる」技術は、逆にプンムルにも影響を与え始め、アクロバティックでテクニカルなプンムルが増えました。
 
高い技術を魅せる若者たちのプンムルチーム 少人数で技術を魅せるプンムル(サムルパンク)
体を真横に倒して回転すると、観客は大喜び 皿回しもプンムルの演目のひとつ
ハイソウルフェスティバルでの
幻想的なプンムル
ハイレベルな技術で魅せる
「貞洞劇場」伝統芸術舞台
 

農村の都市化や過疎化、サムルノリの流行によって、プンムルは変化を続けています。かたくなに伝統のスタイルを貫こうとしても、暮らしの変化によって、生活の一部だったプンムル文化は変わらざるをえないのです。しかし、プンムルもサムルノリも、最後はいつも大団円。みんなで輪になって踊ります。演奏家も観客も、みんなで一緒に楽しむ。この大同の精神が忘れられない限り、プンムルはいつまでも韓国文化に残っていくのではないでしょうか。

最終更新日:05.03.11
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