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車椅子ソウル観光レポート

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ソウルの街を車椅子で観光する場合、どんな点に注意すればよいのか…それをご紹介するコネストバリアフリー企画が「車椅子でソウル散策」。車椅子で公共交通機関を利用しての旅行ルートの開発と紹介をしている車椅子旅行家チョン・ユンソンさんにご協力をいただき、明洞(ミョンドン)南大門(ナンデムン)仁寺洞(インサドン)市庁(シチョン)などの観光スポットを散策してみました。では、ユンソンさんと一緒に出発です。
今回の散策ルート
水色の部分が実際の移動ルートです。
ロッテホテルソウル出発、いざ明洞へ!
観光客に人気のロッテホテルを出発。正面玄関を出て右側、ロッテ百貨店方向へ進みます。アヴェニュエル前の地下道を利用して明洞(ミョンドン)へ、と行きたいところですが、エレベーターが設置されていません。

地下道入口にリフトがありますが、リフトは危険なので韓国の車椅子利用者もよほどのことがない限りは利用しないとのこと。そのため、さらに直進してヤングプラザの前を通り過ぎ、韓国銀行、新世界百貨店まで横断歩道を利用して、明洞方面へ移動します。この横断歩道は2009年9月末にできたばかりです。
ロッテ百貨店前
ロッテ百貨店前
新世界百貨店噴水前
新世界百貨店噴水前
横断歩道ができる前
横断歩道ができる前
ユンソンさんから一言…
ソウルは障害物が多いので、旅行者の方は電動車椅子でお越しください。手動車椅子では一人の移動は難しいですし、介助者がいる場合でも大変です。ソウル旅行は電動車椅子、を強調しておきます。
ショッピングのメッカ、明洞のバリアフリー度は…?
ユンソンさんに普段、明洞を利用するのかを尋ねてみたところ「ほぼ10年ぶり」とのこと。理由は「不便だから」とのことですが、「明洞バリアフリー情報」でもお届けした通り、コネストでご紹介している飲食店80数件のうち、車椅子利用が可能と思われるのが17件。

飲食店だけでなく、どの店舗も入口に段差があり、気軽に立ち寄るというには程遠い雰囲気です。明洞は誰もが利用しやすいスポットではなかったと改めて実感。コスメ店「ネイチャーリパブリック※閉店」は1階入口にスロープがあったので、立ち寄ってみました。
ユンソンさんから一言…
「ネイチャーリパブリック」で気付いたことは、鏡の位置が高く稼動式でないので、車椅子利用者には利用できません。もう少し位置を考えてもらいたいですね。ショッピングは龍山Iパークモールはおすすめですよ。利用しやすいです。
ネイルアートを体験、その前に立ちはだかるのは
フタを開けて
フタを開けて
ネイルアートを体験しようと明洞駅から続く地下商店街にあるネイルサロン「Royal Nail※掲載終了」に向かいます。

今回は無理を言って地下鉄4号線明洞駅の8番のリフトを利用して頂きました。
呼び出しボタンを押す
呼び出しボタンを押す
しかもこのリフト、旧型で積載量が225キロまでとのこと。ユンソンさんの電動車椅子は約130キロ。女性だからよいものの、体格のよい男性であればリフトは利用できないでしょう。

「ソウル市に改善を申し入れます」というユンソンさんは、外出時に車椅子利用者に不便な点があれば、ソウル市に改善を求める活動の他、KBSラジオ「明日は青い空」という障害者問題に関する啓発番組の制作にも携わっています。
係員が来てリフトを稼動
係員が来てリフトを稼動
係員は24時間待機しているとのこと
係員は24時間待機しているとのこと
さて、「Royal Nail」に到着。久しぶりのネイルサロンとあって初めは緊張気味のユンソンさんでしたが、スタッフとの話に花が咲き、きれいに仕上がったネイルにも満足の様子です。
ユンソンさんから一言…
車椅子利用者の間で明洞に行ってきたという話を聞かないのは、やはり設備面に問題が多いからですね。明洞の地下街へのリフトは日本の旅行者の方は万が一の事故があっては大変なので、利用しないことを強くおすすめします。でも地下商店街、明洞駅へのアクセスを考えると利用者は多いでしょうし、早い整備が望まれますね。改善を求めて行きたいと思います。
チムタクにヘムルトッチムと辛味のお昼を満喫
そろそろお腹がすいたのでタッカルビ、ヘムルトッチム、チムタクという韓国料理の人気メニューを1カ所ですべて味わえる「ホンガネ」へ。いろいろな味を試そうとチムタク+ヘムルトッチムのセットを注文しました。チムタクは甘みを感じる程度のピリ辛具合ですが、ヘムルトッチムはかなりスパイシー。後を引く辛さです。
※この記事で紹介している「ホンガネ」は、2010年5月を持って閉店しました。
「Mプラザ」のトイレ入口
「Mプラザ」のトイレ入口
さて、「ホンガネ」の入口はスロープがあり、店内も広いのですが、問題はトイレ。トイレを利用するには店を出てエレベーターで2階へ行かねばならず、トイレ入口に段差があるので車椅子では利用できません。

食事の前後のトイレは近くの「Mプラザ」の利用をおすすめします。「ホンガネ」はちょうど「Mプラザ」のトイレ側の入口近くに位置しています。
南山ケーブルカーに大ショック
お腹がいっぱいになったところで散歩がてらNソウルタワーを目指します。明洞から再び新世界百貨店前の横断歩道のある交差点へ。南山(ナムサン)へのアクセスをぐっと便利にしたと言われる「南山オルミ」と名付けられたエレベーターに乗り「いや~なかなかいい眺め」とご機嫌の一行。
明洞から南山方面への横断歩道
明洞から南山方面への横断歩道
「南山オルミ」乗り場
「南山オルミ」乗り場
「よくできてるね」
「よくできてるね」
エレベーターがないことに怒りの表情
エレベーターがないことに怒りの表情
さあケーブルカーに乗ろうとケーブルカー乗り場を見上げると、はて?階段しかありません。「エレベーターはどこですかねえ」とのんきに構えていたら、なんとケーブルカー乗り場にエレベーターは設置されていないとのこと。

ちなみに乗り場は3階。あまりの確認の甘さにどっぷりと落ち込むコネストスタッフの傍らで早速電話で事実確認をするユンソンさん。エレベーター設置工事は2010年から行われるそうです。
2009年12月現在、車椅子でのケーブルカー利用は困難です。(車両を利用すればタワーから100メートル離れた駐車場まで行けます。但し車椅子の種類よっては一般タクシーの利用ができない場合があります。)
活気ある南大門市場をそぞろ歩く
気を取り直して、南大門市場へ向かいます。市場の中は人も多く、ビルの中には入れませんが、店舗からは商品が溢れ出し、露店も多いので、店舗へのアクセスを気にしないでいいのがよい点です。女二人で市場とくれば俄然買物モードに。日本への旅行を来月に控えているというユンソンさんは旅行かばんをチェック。

何かと冷やかして歩くだけでも楽しい市場ではあっという間に時間が過ぎていきます。さて、南大門市場の最寄り駅は地下鉄4号線会賢(フェヒョン)駅。エレベーターは新世界百貨店と連結している7番にあります。トイレも新世界百貨店を利用するとよいでしょう。
「日本への人気土産って何?」

「アカスリタオルとかですね」
「日本への人気土産って何?」
「アカスリタオルとかですね」
「クリスマスにツリー飾ります?」「息子が兵役中だからねえ」「ええっ!」
「クリスマスにツリー飾ります?」「息子が兵役中だからねえ」「ええっ!」
「軽いのがいいわ、軽いのが」

「これ3万ウォンらしいですよ」
「軽いのがいいわ、軽いのが」
「これ3万ウォンらしいですよ」
地下鉄を利用してみました
地下鉄4号線会賢(フェヒョン)駅から地下鉄に乗って、仁寺洞に向かおうとした一行。しかし、最寄り駅3号線安国(アングッ)駅に行くには途中、忠武路(チュンムロ)駅で乗換えが必要、この駅にはリフトしかないとのことで、このプランはボツ。会賢駅からソウル駅、1号線に乗り換えて鐘閣(チョンガッ)駅に行くのがベストとのこと。

しかし、天気もいいし、乗り換えも面倒なので歩いちゃえ、ということで1号線市庁(シチョン)駅まで歩くことになりました。乗り換え時の不便さやエレベーターの設置の有無などもあり、1駅2駅分の距離の移動はいつものことだそうです。ただトイレに関しては全駅車椅子対応となっているので利用価値は高いとのことです。
ユンソンさんから一言…
障害者の交通手段として、ソウル市が運営しているコールタクシー(予約制)があります。一人での外出が不安な方などが利用しているようですが、何せ電話が繋がりません。

利用者が多いせいか、希望通りの時間には来てもらえないので、私は地下鉄や低床バスなどの公共交通機関で移動します。因みに一般タクシーは電動車椅子を積むことができないので、利用できません。
カメラに収めてソウル市に申し入れをする
カメラに収めてソウル市に申し入れをする
市庁駅へ向かう途中、韓国銀行の前を通り、ウェスティン朝鮮ホテルの前を通りすぎようとした時、10センチはあろうかという大きな段差があり、ユンソンさんの電動車椅子は降りられません。

本日初の介助が必要となりました。しかし、電動車椅子の場合、重量があるため力のある男性でなければ介助も難しいでしょう。
ソウル広場から横断歩道を利用し、徳寿宮(トクスグン)方向にある地下鉄1号線市庁駅2番出口のエレベーターへ。韓国では障害の程度によって1~2級は本人と同伴者1名まで、3~5級は本人のみ、地下鉄、バスはすべて無料とのこと。

また国鉄(KORAIL)、船も1~2級は本人と同伴者1名まで半額、3~5級は本人のみとなっているそうです。改札からホームまでは非常にスムーズに移動でき、車椅子マークのある乗車位置で電車を待ちます。
ユンソンさんから一言…
ソウルの地下鉄にはワンストップサービスというのがあり、乗車時に行き先を告げると、降車駅で駅職員が待っていて、地上出口まで介助と案内をしてくれます。

言葉の心配はあると思いますが、言葉が通じなくとも駅職員は慣れているので、ぜひ日本の方も利用してみてください。
利用者の声で変わった伝統の街、仁寺洞の道
地下鉄1号線鐘閣駅を降り、エレベーターのある3番出口へ。仁寺洞へのアクセスがしやすい位置です。ユンソンさんも仁寺洞へはたまに訪れるとのこと。さて、メインストリートである仁寺洞キルにご注目ください。石畳には意匠を凝らしたでこぼこしたものと滑らかなものと2種類あります。以前はデザイン重視で、でこぼこのものしかなく、車椅子利用者には大変移動しづらい道でした。そこでユンソンさんたちが改善を求めた結果、現在のような道になったのだそうです。
鐘閣駅3番出口
鐘閣駅3番出口
仁寺洞キルの路面
仁寺洞キルの路面
伝統小物がいっぱい
伝統小物がいっぱい
伝統菓子の実演販売「クルタレ」を冷やかしたり、お土産ものを眺めたりしながら、「サムジキル」に到着。ここは伝統と現代が融合したおしゃれなショップが多く、観光客にも人気。またエレベーター、車椅子用トイレ(男女別)、スロープと設備が整っており、ゆっくりと見物することができます。ただし、エレベーターとトイレの表示がわかりづらいので要注意です。
サムジキルは2階からスロープで連結
サムジキルは2階からスロープで連結
トイレは1階入口右側にある

広場の突き当たり左奥
トイレは1階入口右側にある
広場の突き当たり左奥
エレベーターは1階入り口より向かって左奥
エレベーターは1階入り口より向かって左奥
トルダムキルから「NANTA」市庁劇場へ
行きと同じルートで市庁に戻り、徳寿宮の横を抜け、トルダムギル(石垣道)へ。しかし、ユンソンさんの電動車椅子の速度がダウン。バッテリーがそろそろなくなりそうだとのこと。

そこでコネストカメラマンが日頃ソウルを駆け回っている成果?を披露せんとトルダムギルの緩やかな上り坂を必死の形相で押していきます。
ユンソンさんから一言…
充電器と延長コード、海外旅行の場合は変換プラグも必需品です。私もいつも携帯しています。バッテリーがなくなったら食事などの休憩時間に電源を借りて充電します。海外旅行の時はこまめに充電することを心がけています。

自宅近くでバッテリーが切れることがたまにあるのですが、通りすがりの学生に「善行の機会を作ってあげる」と言って(笑)手伝ってもらいます。みんなわいわい言いながら押してくれますよ。
建物の入口はこちら
建物の入口はこちら
「NANTA※掲載終了」市庁劇場に到着。入口は建物の左側。少し見えづらいのですが、車椅子マークが目印です。スロープは少し傾斜がきつく、距離もあります。さて、劇場内には車椅子専用席はありません(江南劇場にはあります)。

劇場内最後列まで自分の車椅子で行き、そこからは係員が抱き上げて座席に座らせてくれるとのこと。車椅子のままの観劇を希望する場合は最後列の上手側に少しスペースがあるので、そこでの観覧も可能とのこと。劇場ロビーには車椅子対応トイレがあります。
劇場入口
劇場入口
車椅子専用席はない
車椅子専用席はない
一日の散策を終えて
駆け足でめぐった今日のソウル散策。最後に立ち寄ったのは「NANTA」市庁劇場から近い「Cafe BIRDS N BUGS(カフェ バーズエンボグズ)※掲載終了」です。入口門の左側からスロープを利用すると2階からアクセスできます。

「もともと出歩くのが好きなので疲れは感じないですね。私は座ってるからいいけど、歩き回って疲れたでしょう?」と一日を終えてコネストスタッフを気遣ってくださるユンソンさん。

わずか半日ですが、ご一緒させて頂いて、私たちが見過ごしてしまっている小さな段差や階段などが無数にあり、「当たり前のことが当たり前にできていない社会はおかしい」と言うユンソンさんの言葉の意味が少し理解できたような気がしました。

韓国旅行情報とソウルの今をお届けするコネストですが、まだまだお届けできていない情報の多さを実感した一日でもありました。
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  最終更新日:09.12.02
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