「安東(アンドン)1日ツアー」体験レポート

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ソウルリピーターだけど地方は行ったことがない方、韓国の伝統や歴史に触れてみたい方におすすめしたいのが安東(アンドン)1日ツアーです。韓国の中でも特に儒教文化が色濃く残っていると言われる安東には儒教を学ぶ場であった書院が数多く残されています。また昔ながらの韓屋(ハノッ)や町並みが残され、両班(ヤンバン、昔の貴族階級)の子孫が今でも生活している河回村(ハフェマウル)はまるで時間が止まったかのような感覚にとらわれます。穏やかで静かな時間が流れ、四季折々の自然も美しい安東を訪れる1日ツアーに行ってきました。
※以下内容は取材時のものです。ツアーの内容や順番は季節やその他事情により変更になります。
予約ページをご参照ください。

芙蓉臺(プヨンデ)
韓国の中東部に位置する慶尚北道(キョンサンプット)安東市はソウルから車で約3時間半。最初に訪れたのが芙蓉臺。およそ64メートルの絶壁で河回村(ハフェマウル)を囲むように流れる洛東江(ナットンガン)に向いて景色が開けていることから、河回村を一望できる絶景スポットです。
しかし、この景色を見るには山道を登ること10分!険しい道ではありませんが、日頃の運動不足がたたって少々息切れが…。ツアー参加の際には歩きやすい靴と服装でお越しください。
そして、この絶景!吹き渡る風、小鳥のさえずり、絵画のような河回村。言葉で説明するよりもぜひ実際に見ていただきたい韓国の名所のひとつと言えます。ドラマ「ファン・ジニ」をはじめとするロケ地としても知られています。
まずは山道を10分
まずは山道を10分
洛東江に抱かれた河回村
洛東江に抱かれた河回村
絵のような風景
絵のような風景

花川書院(ファチョンソウォン)
※花川書院へのご案内が難しい場合、屏山書院(ビョンサンソウォン)をご案内します
続いて訪れたのが芙蓉臺への上り口にある花川書院です。書院(ソウォン)とは朝鮮時代の中期に設立された主に儒学を学ぶ私設の教育機関で、両班の子弟のみが入学を許され、現代風に言えば大学のようなところ。科挙試験(官吏の採用試験)の合格率が高い書院には多くの人が集まったといいます。
花川書院は1786年に柳雲龍(16世紀末の文官、儒学者)の学徳を祀るために建てられた後、1871年の書院撤廃令により講堂と一部を残すのみとなりましたが、1996年に復元されました。昔の人はこんなところで勉強したんだなあと眺めつつ、勉強よりも昼寝だな…とよこしまな発想をせずにはいられない、景色のよい気持ちのよい場所でした。

河回村(ハフェマウル)
このツアーのクライマックスとも言えるのが河回村です。芙蓉臺、花川書院からは車で15分ほど。芙蓉臺から河回村を眺めた後だけに、一層期待が高まります。近年、保存の観点から河回村への車両の立ち入りが制限され、駐車場からはシャトルバスに乗り換えます。シャトルバスを降りると、いよいよ河回村の入口です。のどかな田園風景が広がり、イチョウ並木が出迎えてくれます。
シャトルバスに乗り換えて
シャトルバスに乗り換えて
別世界のような田園風景
別世界のような田園風景
入り組んだ小道がたくさんある
入り組んだ小道がたくさんある

河回村は豊山・柳氏が600年あまり代々暮らしてきた同姓村です。集落全体の瓦葺きと茅葺きの韓屋(ハノッ)が良好な状態で保存され、タイムスリップをしたかのようです。儒学者、柳雲龍と文禄の役の際の領議政(現在の首相に相当)、柳成龍兄弟を輩出したことでも知られています。現在は俳優で日本でも活躍している韓流スター、リュ・シウォンの実家があることから観光客の注目を集めています。
養真堂(立巌古宅)。 柳雲龍の住居で

豊山・柳氏の大宗家。

河回村で最も古い家屋。
養真堂(立巌古宅)。 柳雲龍の住居で
豊山・柳氏の大宗家。
河回村で最も古い家屋。
忠孝堂。柳成龍の住居。

写真は現在、子孫の居住部分。
忠孝堂。柳成龍の住居。
写真は現在、子孫の居住部分。
リュ・シウォンの実家前は

いつも日本の観光客で賑わっている
リュ・シウォンの実家前は
いつも日本の観光客で賑わっている

時間の都合上、すべての建物を見ることはできませんが、代表的ないくつかを見るだけでも十分に韓屋の魅力を感じることができます。また、展示物ではなく、実際に生活している人々の姿を見ることができる点が河回村の醍醐味と言えるでしょう。

河回洞仮面博物館
河回村を見学した後は再びシャトルバスに乗り、駐車場のすぐ横にある河回洞仮面博物館を見学します。安東と言えば、河回村とともに仮面劇がよく知られており、毎年安東国際タルチュムフェスティバルが開催されています。「河回別神クッタルノリ」は村の守り神・ソナン神に村の豊穣を祈願するため、古来より祭祀の一部として行われており、重要無形文化財第69号に指定されています。その仮面劇で使用される仮面の紹介をはじめ、韓国各地の仮面、世界各国の仮面が展示されています。売店もあるのでお土産を購入してもよいでしょう。
※2010年5月にリニューアルオープンしました。内観は以前のものです。

サバは韓国語でコドゥンオ
サバは韓国語でコドゥンオ
昼食
お楽しみの昼食は安東名物の塩サバ!内陸部にある安東では魚が貴重品で水揚げされたサバが安東まで運搬されるのに要する時間は約2日。そのため塩漬けにして保存する必要があります。しかし、安東の塩サバを有名にしたのはその製法。水揚げしてすぐに塩漬けにするのではなく、安東に到着する頃に塩漬けにします。サバが傷みはじめるのではというその直前、その段階に発せられるサバの酵素と塩があわさってサバの旨みをぐっと引き出すのだとか。貴重な品だからこそ、最大限に美味しく頂こうという人々の知恵の賜物ですね。安東の塩サバといえば韓国でも知られた特産品ブランドとなっています。

屏山書院(ビョンサンソウォン)
※花川書院(ファチョンソウォン)へのご案内が難しい場合、屏山書院のご案内となります
朝鮮時代に地方教育の一翼を担い、多くの学者を輩出した私設教育機関、屏山書院(ビョンサンソウォン)。高麗(コリョ)時代から続く教育機関「豊岳書堂(プンアッソダン)が前身となっており、1572年に河回村出身の儒学者、柳成龍により現在の場所に移築されました。1607年に柳成龍が他界すると、彼の学徳を偲ぶため、この地方の儒林(ユリム、儒学を信奉する人々)たちが書堂内に位牌を安置する祠を創建。1614年に現在の屏山書院と改称されました。
1871年の書院撤廃令の際に毀損されなかった47の書院のうちのひとつで、史跡第260号に指定されています。書院内には柳成龍の文集をはじめ、約1,000種3,000冊が所蔵されています。

定番のホドクァジャ
定番のホドクァジャ
おまけ
すべての観光を終え、ソウルに戻ります。復路も休憩をはさみながら約3時間半~4時間。日本にもサービスエリアグルメがありますが、韓国も同じ。立ち寄ったサービスエリアの売店をひやかしてみるのもよいでしょう。イカ焼き、じゃがバター、トッポッキ、ホドクァジャ(くるみ型のカステラのようなもの)などが定番です。

往復の移動に少々時間はかかりますが、地方のため公共交通機関の便数も少なく、各観光地間の距離も離れているので、ツアーの利用が便利です。安東はソウルと違って自然が豊かで空気もまったく異なります。日程に1日余裕ができたらぜひおすすめしたい日帰り旅行。韓国文化の多様な面を垣間見るまたとない機会となるでしょう。200を超える多様な文化財を保持し、歴史と文化の街として知られる安東にぜひ訪れてみてください。
※見学の順序は変わる場合があります。
掲載日
09.10.13

※掲載内容は、予告無く変更されている場合があります。掲載内容を保証するものではありませんのでご了承下さい。

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