＜五輪アーチェリー＞団体戦８連覇、韓国女子なぜ圧倒的なのか

８日、２０１６リオデジャネイロオリンピック（五輪）女子アーチェリー団体戦で韓国とロシアの決勝戦が行われたサンボードロモ・ダ・マルケス・ジ・サプカイ。韓国の選手たちはシューティングラインで絶えず手をタッチしながら対話をした。仲間が矢を放つ時は後ろから「自分を信じよう」、「ここは泰陵（テルン）だ」と大声を張り上げた。相手が矢を放つ時は徹底して無視した。女子チームのヤン・チャンフン監督（４６）は競技中、常に選手たちを集めてひざを突き合わせながら「ひとつになろう」と叫んだ。

呪文をとなえるとすぐに魔法がかかった。チャン・ヘジン（２９）、チェ・ミソン（２０）、奇甫倍（キ・ボベ、２８）で構成された韓国女子チームはリオ五輪女子アーチェリー団体戦でロシアをセットスコア５－１で破り五輪８連覇の偉業を達成した。韓国は団体戦がオリンピック正式種目に採択された１９８８年のソウルオリンピックから今大会まで８回連続で金メダルを首にかけた。

アーチェリーは選手の心理状態によって競技力が大きく左右する種目だ。高度な集中力はもちろん呼吸、心拍数まで細心な管理が必要だ。今回のオリンピックでは強い風、照明、騒々しい観衆の応援、独特の構造の競技場など外部変数が多かった。これを克服するために選手たちは強い心理状態を維持しなければならなかった。

アーチェリー代表チームは２０００年シドニー五輪の時から心理訓練の重要性を認識し、韓国スポーツ開発院と共に科学と組み合わせた心理訓練プログラムを開発した。雰囲気・動線・動作まで数百種類に細分化されたルーチン（習慣）を徹底して守って平正心を維持した。今回のオリンピックには韓国スポーツ開発院のキム・ヨンスク専任研究員が最初から心理コーチとして選手団に同行して常に心理相談を受けた。体系的な心理管理によって先輩たちが受け継いできた８連覇へのプレッシャーを克服できた。

選手たちはすでにオリンピックよりも大変だという評価戦を行いながら極限のプレッシャーを克服した。５回戦まで行う強行軍の中で選手たちは射場まで往復１８２キロ、４０５５本の矢を放った。キム・ヨンスク専任研究員は「選手たちが若いころから極限の競争状況にさらされ、これを克服する能力を自然に育てられた」と説明した。

選手たちのあうんの呼吸も安定感の維持に役立った。奇甫倍は「夜中に寝つくまで３人で話をたくさんしながら気持ちを分かち合った」とした。チャン・ヨンスル大韓アーチェリー協会専務理事（５６）は「いつになく選手たちの関係が濃いものだった」と評価した。

団体戦の最後に出てきて要所ごとに１０点を放ったエース奇甫倍の存在も大きかった。英国ロイター通信はこの日「韓国女子アーチェリーがオリンピック統治期間を延ばした」と紹介して「その中でも奇甫倍は４度のパーフェクトスコアとともに最後のウィニングショットを飾った」と報道した。オリンピック金メダル３つ目を獲得した奇甫倍は金水寧（キム・スニョン、金４個）－尹美進（ユン・ミジン、３個）－朴成賢（パク・ソンヒョン、３個）に続く神弓の系譜に名前を上げた。

大韓アーチェリー協会会長企業である現代（ヒョンデ）自動車の物心両面での支援も大きな力になった。現代車は３１年間にわたり約３８０億ウォン（約３５億円）を韓国アーチェリーに投資した。リオで競技場と選手村の距離が３５キロも離れており、競技場近隣にコンテナの休憩場所を設けて調理師を配置するなど投資を惜しまなかった。

チャン・ヘジンは「立派な指導者のもとで小学校の時から科学的なプログラムを基に基礎技術を徹底して学んだことが８連覇の実現に役立ったようだ」と秘訣を明らかにした。