光州ビエンナーレが開幕…韓国戦争と民主化運動が出会う

３日午後３時、光州（クァンジュ）ビエンナーレ展示館の前庭。救急車やバス、コンテナ２棟を積んだトレーラーが入ってきた。慶尚北道慶山（キョンブクド・キョンサン）と慶尚南道晋州（キョンサンナムド・チンジュ）に放置されていた６・２５韓国戦争（朝鮮戦争）犠牲者の遺骨が入ったコンテナだ。バスから降りた遺族たちは黒い布で目を隠した。「イデオロギーの人質」という意味だった。待っていた５・１８光州民主化運動の犠牲者遺族らが彼らの手を握った。韓国戦争の悲劇と、光州の悲劇が出会った。共に追悼祭を行った彼らは、時折涙をふいていた。イム・ミヌクの光州ビエンナーレ開幕パフォーマンス「ナビゲーションＩＤ」だ。他人の苦痛に共感することが人間性の根本だという趣旨だった。

終日降り続いた雨でしっとりとした展示館の前庭には、米国の作家スターリング・ルビーが設置した大型ストーブ２台から煙が立ちのぼり、展示場の外壁には火が出た家から脱出する大きなタコがこのすべての場面を見守った。昨年のベニスビエンナーレで英国館代表作家だったジェレミー・デラーの作品だ。

第１０回光州ビエンナーレが５日から１１月９日まで６６日間開かれる。「Ｂｕｒｎｉｎｇ ｄｏｗｎ ｔｈｅ ｈｏｕｓｅ」という挑発的なテーマを掲げて光州ビエンナーレ展示館と近隣の中外公園一帯に３８カ国１１１人（１０３チーム）の４１３点を展示する。テーマは１９８０年代に米国のパンクロックグループ、トーキング・ヘッズの歌の題名から取った。総監督のジェシカ・モーガン氏（４６、英国テートモダン首席キュレーター）は「韓国は急成長の過程で多くのものを失った。家を燃やすということは、新しいものを構築するための行為だ。物質が生まれたら違うものに変わる」と説明した。

作品の中には植民地から分断され、経済成長と両極化に達した韓国の根拠となる場所についての直説が多かった。キム・ソンファンの映像『ケイジョウの夏-１９３７年の記録』は、スウェーデンの動物学者であり旅行家のステーン・ベルイマン（１８９５～１９７５）が残した『京城旅行記』（１９３７年）に基づいた虚構的なドキュメンタリー映像だ。米国の美術家シャロン・ヘイズの『私たちはこの世を他人にまかせることはできない』は、昨年「安寧ですか」の壁新聞運動が始まった高麗（コリョ）大学で撮った垂れ幕設置の映像作業だ。

◆企画・演出・テーマの統一性引き立つ＝展示場内外には煙がもくもく出てくるような壁紙（エル・ウルティモ・グリート）、炭の設置（コネリー・パーカー）、家形の構造物（ウルス・フィッシャー）やアパートの窓（レナーテ・ルーカス）など、家と火についての表現が繰り返し出てきた。ユ・ジンサン２０１２メディアシティソウル総監督〔桂園（ケウォン）大学教授〕は「数多くの作品が一堂に集まるビエンナーレは散漫になりやすいが、時期適切なテーマ、これを一貫して表わした企画と演出の統一性が引き立って見えた」と評価した。

私たちの根拠となる家は、どんな所なのか。燃やすべきものは何であり、その過程で失うのはまた、何なのか。持って生まれたものは、どのように変わるのだろうか。

入場料：大人１万４０００ウォン、満４～１２歳４０００ウォン。問い合わせ０６２－６０８－４１１４。