コネストの目！ニュースで見る韓国～2011年夏編～

７月下旬、日本の議員視察団が鬱陵島(ウルルンド)を訪問する計画を発表。これに対し韓国では市民団体などが激しく反発し、日韓の外交に緊張感が走りました。韓国政府は、身辺の安全確保が難しく、両国関係へ否定的な影響を与えうるとし、日本政府に議員らの入国不許可を事前通告していました。しかし８月１日、訪問を表明した議員３人は韓国行きを決行。金浦空港に降り立つも、強制的に帰国させられるという異例の事態となりました。一方、８月中旬には韓国のアイドルグループBEASTが日本へ入国できない出来事が発生。こちらはビザ問題が原因でしたが、日本議員入国拒否の直後だったこともあり、韓国国内ではとりわけ大きなニュースとして取り上げられました。

例年だと太陽の日差しが眩しい夏らしい天気が続く７月・８月の韓国。ところが今夏は曇りや雨の日が圧倒的に多く、「水爆弾」とも形容される局地的な大雨による被害まで発生しました。特に、７月26日から降り続いた豪雨では、ソウル、京畿道(キョンギド)、江原道(カンウォンド)の各地で土砂崩れなどが相次ぎ、50人以上が死亡・行方不明に。ソウル市内では、高層ビルが林立する江南(カンナム)中心部が浸水したほか、わずか３時間の降水量が161ミリに達した瑞草区(ソチョグ)の牛眠山(ウミョンサン)では大規模な山崩れが起きるなど、深刻な事態となりました。未曾有の水害を受け、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、国家防災システムの根本的な見直しが必要だとの見解を発表。災害関連予算の優先編成や安全基準の強化など、政府レベルでの対応策を示しました。

被害の大きかった牛眠山一帯 ▶

デジカメや携帯電話などデジタル家電のメッカとして知られるソウル東部のテクノマートで、７月初旬、原因不明の激しい揺れが発生しました。震動は10分以上続き、ビル内にいた約500人は一斉に避難。救助車両が出動するなど、一時騒然となりました。風による共振や３D映画の上映など、当時の状況から様々な原因が指摘されましたが、安全診断を実施した大韓建築学会は、当時ビル内のフィットネスセンターで行なわれていたエアロビクスの集団ジャンプが原因との暫定結論を発表。構造上の異常は見つかっておらず、現在のところ行政当局も特別な措置は行なっていない状況です。

◀ テクノマート

朝鮮王室の様々な儀式・行事が事細かに記録され、ユネスコ世界遺産にも登録されている儀軌(ウィゲ)。元々は江華島の外奎章閣(ウェギュジャンガッ)という場所に保管されていましたが、19世紀の戦乱で仏軍の手に。返還を求める官民の努力は続けられ、今夏145年ぶりに祖国へ帰還。６月に景福宮(キョンボックン)で歓迎大会が盛大に行なわれました。国立中央博物館では７月より特別展が開催中。貴重な史料を一目見ようと観覧客が詰め掛けています。
激動の歴史を経てきた韓国。儀軌をはじめ、海外に持ち出された文化財は多く、文化財庁は今後それらの回収・活用に向け計画を講じていくと発表しました。