韓国旅行「コネスト」 第20回~たがみようこさん(エッセイスト) | 日韓わったがった ―韓国で、はたらく。 | 韓国文化と生活
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第20回~たがみようこさん(エッセイスト)

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韓国で注目を集める日本人アジュンマがいます。その名は「ヨーコちゃん」こと、たがみようこさん。 2004年、韓国人の夫との間の新婚生活を漫画とエッセイでコミカルに描いた『新妻ヨーコちゃんの韓国暮らし』を韓国で出版、4年が過ぎた今でも根強い人気を誇っています。 また、続く第2巻、初刊と同年発売された日本語版も大好評を博し、日韓両国で多くの読者を獲得しました。 当時「新妻」だったヨーコちゃんも、昨年ご長男を出産。今や在韓歴8年の国際派ワーキング・ママに変身されたたがみさんに、韓国での執筆活動や出産・子育て体験談、韓国生活を楽しむ秘訣などについて伺いました。
PROFILE
名前: たがみ ようこ
職業: エッセイスト
年齢: 35歳(1972年生)
出身地: 東京都
来韓年: 2000年4月(在韓歴8年)
著書: 『ソウルで新婚生活。―新妻ヨーコちゃんの韓国暮らし』、『ソウルで結婚生活7年目』(以上、大和書房)、『ヨンとヨーコの韓流ラブ』(メディアファクトリー)。
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漫画の連載がストレス発散に
韓国語版(文庫本)と

中国語でも出版された著書
韓国語版(文庫本)と
中国語でも出版された著書
韓国に初めて来たときは、ワーキングホリデーでした。西江(ソガン)大学校の語学教育院に通いながら、「日本語ドットコム」という日本語学習サイトで翻訳などのアルバイトをしていました。ある日、社長から会社のホームページで何か連載してほしいと頼まれて。当時は来て半年ほどだったので、韓国語はまったく下手で、文章なんて書けません。でも漫画だったら日韓共通かなと思って、外国人が見た韓国をテーマに、簡単な4コマ漫画を描くことにしたんです。
ちょうど韓国生活のストレスがたまっていた頃で、誰かに話すことで発散したいな、と思っていました。道でぶつかっても謝らない、トイレでは並んでいても抜かされる…。今思えば、いちいち日本と比較して、勝手にストレスをためていたんですけどね。そういった文化の違いをテーマに漫画を描けば、ストレス発散と仕事を兼ねられるかなって(笑)。でも漫画を描くのは、そのときが初めてだったんですよ。
偏見なしに見てもらいたい。だから主人公にもひと工夫
連載したのは日本語学習を目的としたホームページだったので、漫画のセリフは日本語で、隣に韓国語訳を添えてあります。韓国語の部分も大体私が書きますが、やはり不安なのでアルバイト時代は社長に校正してもらっていました。その後はずっと主人に見てもらっていますが、彼には寒いギャグに過ぎないらしくて、つまらないと判断された作品は、容赦なくボツにされています(笑)。 ホームページには2年ほど連載したのですが、ある時韓国の出版社から「本にしませんか」と声をかけていただき、単行本を出すことになりました。
仕事場にしている書斎で
仕事場にしている書斎で
街で何か出来事に遭遇したら、簡単にメモを残しておきます。家に帰ったら、それを基に鉛筆で描いて、スキャナーでパソコンに取り込んだ後、フォトショップで色をつけて完成させます。

キャラクターが人間らしくないのは、絵が下手だっていうのもあるんですけど、男女の区別もつかない、歳も分からないようにすれば、韓国人も偏見を持たずに見てくれるんじゃないかな、と思ったからです。
驚きvs再発見…日韓両国での反響
最近は韓国語で内容を考えることもありますが、1巻の頃はまだ日本語でしたね。人から言われたり自分が話したりするのは韓国語ですけれど、心の中で思うのは日本語でした。
自分では「なんちゃって翻訳」だと思っているんですが、韓国の方は日本語の、日本の方は韓国語の語学教材として使っていらっしゃるというのを聞いて、何だかすごく恥ずかしかったです。
日本の読者からは「ミニトマトって果物なの?」といった驚きや、韓国という国・文化について知ることができたという感想が多かったです。一方で、韓国の読者からは「ウリナラ(私たちの国)ってこんな国だったんだ」というコメントが一番多かったですね。悪い点については「反省しなきゃ」っていう人もいたし、良い点を挙げて「だからウリナラは誇らしい」という人もいました。

昨年、日本語版を出して以降、出産もあり仕事は休んでいましたが、ハンソル教育より2008年秋に出版予定の児童書を執筆しています。最近韓国では国際結婚が急増していますが、2世の子どもたちに対する偏見や差別をなくそうというテーマで、小学生向けの童話を作ることになりました。ベトナム、フィリピン、モンゴル、カンボジア、日本、中国編とあり、私は日本編を担当しています。
暑さとのたたかい!韓国の産後調理院
韓国では妊娠しても体重制限がないというのに驚きました。病院側から何も言われないので、15kg増や20kg増の人も多く、中には25kg増で人が変わっちゃうぐらいの人もいました。その点、日本は厳しいですよね。私も11kgまで増えたんですが、周りからは「妊婦のくせに、なんでそんなにやせてるんだ」と言われてびっくりしました。

また、韓国は無痛分娩が当たり前のようで、入院代に無痛注射代が含まれているのも日本とは違うなと思いました。
出産後、私は産後調理院(※)に入りました。ちょうど出産した2007年は福が訪れるという「黄金のブタ年(いのしし年)」で、出産ラッシュだったんですよ。大体の予定日で予約しないと入れない状況で、私も4カ月前に予約しました。 調理院には2週間滞在したんですが、面白かったですよ。エステや顔・体のマッサージを受けたり、沐浴の仕方などを習うこともできました。

※出産後の母子ケアを行う施設。出産2日後くらいから2週間ほど滞在するのが一般的。
韓国では「母乳がよく出るように」とミヨックッ(ワカメスープ)を産後に食べます。私がいた調理院でも常に大鍋が用意してあって、毎食食べました。おかずは全体的に薄味だったので、辛いのが苦手な私にはとても良かったんですが、韓国人の友達は「辛いものが食べたい」と食事のたびに言っていましたね。

私がいた調理院は全館オンドル(韓国式床暖房)で、すごく暑かったです。というのも、産後に体を冷すと肥立ちが悪くなるそうなんです。助産師さんには靴下を脱いでも怒られるし、冷蔵庫を開けても怒られるほど。私もあまりに暑いので、勝手にオンドルを切って網戸にしていたら、すかさず「何やってるの!」って声が飛んできました(笑)。
産後調理院の内部はこんな感じ!
廊下
廊下
食堂
食堂
子ども連れに親切な韓国人
本の中にも登場しますが、韓国では子ども連れに対してみんな親切です。子どもを持って改めて実感しました。妊婦のときから地下鉄バスで席を譲られることも多かったし、子ども連れで大きなゴミ袋を出しに行くと、近所の人が代わりに出してくれたりしました。
韓国の人たちは子どもに必ず話しかけてくれるんですよ。この子は髪が薄い方なんですが、韓国では赤ん坊のときに一度髪を剃るとよく生えるといわれているらしくて、「剃ったのか」って本当によく聞かれます。「生まれつきです」と毎回言うのも面倒なので、最近は「剃った」って言うようにしてます(笑)。

主人が長男なので、周りからはやはり男の子だったことを喜ばれましたね。韓国ではお医者さんがお腹の赤ちゃんの性別を教えるのは違法らしく、私も7カ月に入って遠まわしに教えてもらいました。でも昔に比べると男の子を望む風潮は徐々になくなってきているようです。親戚にも生んだ日に「じゃあ、次は女の子ね」って言われましたから(笑)。
家族付き合いで大事なのは、学ぶ姿勢
お膳にあふれんばかりのお供えもの
お膳にあふれんばかりのお供えもの
日韓の文化差を一番感じるのは、やはり名節(ミョンジョル)のときですね。私もいつかは祭祀(チェサ)料理を準備しないといけないんですが、あの大変な種類の料理を自分に作れるのか不安です。

韓国の親戚とうまく付き合っていくコツは、「知ってることでも知らないフリ」をすることでしょうか(笑)。「これはどうするんですか」っていちいち聞いて、知ろうとする姿勢を相手に見せるんです。すると、「一から教えてあげるよ」という感じになって、可愛がられるかもしれません(笑)。
自分の居場所を見つけられると暮らしやすい国
人との距離感が日本と違いますね。オープンな人が多いので皆仲良くしてくれるのは嬉しいのですが、あまりにも頻繁に会おうとか、電話が来た当日に会おうとか、人付き合いの感覚の違いに振り回されることがありますね。特別な用事がなくても「元気?」「ご飯食べた?」と電話をかける安否電話(アンブチョナ)も、自分からはまだできませんね。 でも、そういった人と人との壁の薄さは、韓国ならではの魅力だと思います。壁が薄いので取り払うことが比較的簡単なんですよね。調理院では、日本人と分かってもすぐに仲良くしてくれたし、ママ同士の集まりにもよく呼んでもらえました。韓国人の友人たちにとっては色んな情報交換の場ですが、外国人の私が与えられる情報は実際ほとんどないんですよ。それでも仲良くしてくれるのが嬉しかったですね。

韓国生活はもう8年になりますが、私の場合は同じ境遇にある日本人の友達と、愚痴を言い合えたからこそ乗り切ってこられたんじゃないかな。あと、趣味でも仕事でも何でもいいと思いますが、自分の世界を持てるようになると良いと思います。自分の居場所があると暮らしやすくなると思うんですよ。
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夢は「のんびり子育て」
日本には年に2回ほど帰りますが、逆にカルチャーショックを受けることが本当に多いですね。タクシーのドアを自分で閉めようとして、運転手さんに「お客さん、壊れますよ」って言われたり(笑)。あと、レストランの座敷や友達の家に上がるときに、靴の向きを直すのを忘れてしまったり。韓国ではお店の人が直してくれることが多いので、ついつい…。でも韓国で病気になったとき、白粥と梅干が食べたくなると、やっぱり私って日本人だなと思いますね。
将来は、もっとのんびりしたところで暮らしたいですね。調理院に入っていたときから、周りでは早くも習い事の話をしていて、とても教育熱心なんです。友人も、子どもがまだ1歳なのにデパートや大型マートの「文化センター」に通わせていたり、「もっと大きくなったら江南(カンナム)に引越ししなきゃ」なんていう声も聞こえてきたり…。競争のないところでゆったりと子育てしたいなと思いますね。
オススメは「ぶっかけザルうどん」だとか
オススメは「ぶっかけザルうどん」だとか
たがみさんのお気に入りスポット

「地下鉄盆唐(ブンダン)線悟理(オリ)駅の近くにある讃岐うどんの店‘山田家’は、モチモチの麺が美味しい!ご主人は本場・四国で修行された方で、ご自身も日韓国際結婚カップルなんですよ。」

山田家
住所:京畿道(キョンギド) 盆唐区(ブンダング) 九美洞(クミドン) 226-7グッドモーニングプラザ101号
電話番号:031-713-5242
お洒落なカフェが続く様子はパリのよう
お洒落なカフェが続く様子はパリのよう
「オープンカフェが並ぶ‘亭子洞(チョンジャドン)カフェ通り’は、雰囲気も素敵。主人には、“なんでコーヒー1杯の値段が冷麺の何倍もするんだ”って言われるので、日本人妻だけで行くことにしてます(笑)。」

亭子洞カフェ通り
交通:地下鉄盆唐線亭子(チョンジャ)駅4番出口を出て約200m直進。ウリ銀行がある角で左折し150mほど進むと右側にカフェ通りへと続く大通りがある。
「息子に対して私は日本語で話しかけるのですが、夫やシデク(夫の実家)は韓国語。日本語の“ワンワン”と、韓国語の犬の鳴き声“モンモン”が一緒になって、“マンマン”とか言うんですよ(笑)。」―1歳になる太陽(韓国名:テヤン)くんを腕に、にこやかな笑顔でインタビューに答えてくださった、たがみさん。著書の中にも垣間見える、前向きで積極的な姿勢だからこそ、常に新鮮な視点で韓国を見つめ、充実した生活を送られているのではないでしょうか。新妻から心強いママへと変身した「ヨーコちゃん」、子育て編が読める日が早くも待ち遠しいです!
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  最終更新日:08.06.26
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