韓国旅行「コネスト」 ソウル捨て椅子百景 | 変モノ収集隊 | 韓国文化と生活
KONEST

ソウル捨て椅子百景

ソウルステイスヒャッケイ / 서울 버려진 의자의 풍경
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旅の思い出に、韓国の町並みや料理を写真におさめるのは今や誰もが知っている旅の楽しみ方ですが、フレームにおさめる対象を、人物や風景ではなく、「椅子」、しかも「捨てられた椅子」という奇妙なものに絞って楽しんでいるコネスト日本人スタッフAがいます。
今この記事を読んでらっしゃる皆さんも同じだと思いますが、「捨てられた椅子を写真に撮る」、という話を最初に聞いた時、私スタッフBはその意味が全く理解できませんでした。

わからないのだったらその意味と魅力を説明してもらおうじゃないかと、今回は韓国の捨てられた椅子の写真を撮り続けているスタッフAを迎えて、「ソウル捨て椅子百景」というテーマで会社内インタビューを決行しました。

韓国と、捨てられた椅子、この2つの点を結びつけるのは一体何なのでしょうか?
捨て椅子との遭遇
最初に撮ったのがこの写真
最初に撮ったのがこの写真
B:さて単刀直入に聞きますが、Aさんは韓国で捨てられた椅子の写真を集めてるんですよね?普通旅行や留学に来る日本人って、思い出を記録するのに人物や、韓国の風景や食べた料理を撮影すると思うんですが・・どうしてまた捨てられた椅子なんか撮影してるんですか?きっかけは何だったんでしょうね?

A:自分でもおかしいなとは思うんですよ。もちろんBさんの言う通り、人物や普通の風景なんかも撮影してはいるんですよ。
きっかけはですね、韓国に2003年に旅行に来たときにですね、街を歩きながらたくさん椅子が落ちてるというか・・捨てられているのを見かけたんですよ。その時はなんとなく不思議だなあ、なんでかなあと思ってただけだったんです。でもどこかで気にはなってたんでしょうね。それでその後留学に来たときに最初に撮ったのがこの写真なんですけど。これただの公園なんですが、ベンチの隣にこんなに立派な椅子が置いてあるってのがすごく可笑しくて。だってこれ会社とかで社長とか偉い人が座る椅子じゃないですか?
B:はははは確かにそうですね。言われてみればなんでこんなところに?って思います。

A:それでこの写真撮って以来、街を歩いている時でも椅子を意識するようになりまして。で意識しながら歩いてると、韓国ってホントにたっくさん椅子が捨てられてるんですよ。それで、もともとちょっと収集癖があるので椅子を見つけるたびにカメラに収めました。だからきっかけはあったんですけど、撮り始めた当初は別に理由はなかったんですよね。それで撮って行くうちに自分なりに捨てられた椅子の魅力がわかるようになってきたって感じですかね。

B:あ、まさにそれです!その魅力とやらをズバリ聞かせてくださいよ!

A:それじゃあ実際に写真を見ながら話して行きましょうか。
捨てられた椅子=忠犬ハチ公?!
B:(写真を見ながら)うわーほんとに落ちてるんですねー。私も韓国に来てからだいぶ経つけど気づかなかったなあ。

A:そうなんですよね。なんか風景にうまく溶け込んでるというか、パッと見はあまり違和感がないんですよ。だから気づかないでそのまま通り過ぎそうになるんだけど、よくよく考えてみるとやっぱりおかしいんですよね。日本だったら道歩いてたらいきなり捨てられた椅子に出くわすことなんてそうそう滅多にないじゃないですか?でもソウルでは日常茶飯事なんですよ。一日3つくらいまとめて見かける時もありますし。
B:なんだか座ってくれるご主人を健気に待ちつづけているようにも見えますね。

A:ははは、忠犬ハチ公みたいな感じで?そうでもね、Bさんの言う通りそこが捨てられた椅子の魅力の1つなんですよ。捨てられることで家具としての役割や機能を失ってしまった椅子が、ひっそりとソウルっていう都市空間のすきまに住んでいて、「元椅子だった彼ら」の悲喜こもごもというか、そういうのを写真から想像するのが楽しいんですよね。なんか愛らしかったり、寂しかったり、妙に偉そうに見えたりとかそういう姿ですよね。
B:捨ててある場所によってもその印象って変わりますねぇ。例えば、この写真なんかは木陰に隠れててちょっとこっちを恨めしそうにみてるようにも見えますね。

A:あははは、そうそう!Bさん良い感性してますねえ。その次の写真なんかは、「急に出て行って、道の向こうから来る人を驚かせて座らせちゃおう」とか企んで隠れながら待ち伏せしてるずる賢いやつに見えたりとかね(笑)。コネストでこの間やった「韓看採集」もそうだけど、日本から来た僕らにとって韓国の非日常的なものを写真に撮るのは勿論楽しいけど、その後撮影したそれを眺めて何を思うかっていうことが大事でそれが本当に楽しいんだと思うんですよね。

B:「韓国をめぐるイマジネーションゲーム」ってところですかねえ。
木陰に隠れて…
木陰に隠れて…
待ち伏せイス
待ち伏せイス
背中で人生を語る「寂しイス」?
A:ここまでは比較的きれいで、まだ使えるのに捨てられてしまった、かわいらしい椅子を紹介したけど、ここからはボロボロになって捨てられていた、なんだかちょっとみすぼらしく見えるような椅子を紹介します。僕はこのタイプ、「寂しイス」って呼んでるんですけど・・。
B:「寂しイス」ですか?(写真を見て)うわーこれはひどいですね。もうまともに椅子としては使えないものばかりですね。

A:ええ、「寂しイス」は、捨てられてからいつまでたっても処理されずに、長い間その場に放置されている椅子に多いんですよ。背もたれがなかったり、ひじ掛けがとれていたりとか、見てる方がなぜだか胸が痛くなりますよね。

B:この椅子を中心にした荒涼感の漂う風景は確かにもの寂しくなりますねえ。正に「寂しイス」。
A:それから同じ「寂しイス」でも、椅子自体はまだしっかりしているのになぜだか妙な寂しさを感じさせるのがこの辺りですね。この3枚の共通点が何か、Bさんわかりますか?
B:うーん・・・そうですねぇ・・。これは、3枚とも椅子の後ろ姿ですね?捨てられた椅子の後ろ姿ってのもまた哀愁が漂っていていいですね。

A:おお!さすがBさん。その通り!この椅子の後ろ姿っていうのが、妙にせつなく見えてしまうんですよ。まあこれもただ僕らが「捨てられた」っていう事実を知っていて、意識的にそう見ようとしているからなのかも知れないですけどね。

でもそれでいいと思うんですよ。ほらよく「男は背中で人生を語る」とか言うじゃないですか?この椅子たちも、華やかだった現役の椅子時代や、「捨てられた」っていう悲しい過去を含めて背中に背負ってるから、「寂しイス」なんだ・・って思うことが、さっき話した写真を通しての「イマジネーションゲーム」の面白さにつながるんですよ。
椅子からの華麗な転進?
車止めとしての使命が新たに与えられた元・イス
車止めとしての使命が新たに与えられた元・イス
B:でもこの椅子たちは全部捨てられた椅子たちだってことを考えると、どの椅子も多少なりとも「寂しイス」の要素を持っているってことになりますよね?

A:まあそうとも言えるんですが、実は椅子としての一生を終えて、新たに頑張っているタイプもいるんですよ。まだそんなに数は確認できてないんですが、次の2枚がそれですね。

B:これは・・??

A:まずこの彼の方は、車止めとして使われているんですよ。椅子としてみたときには、もうボロボロで再起不能でしょう?椅子という、人が座る家具という意味においては完全に「捨てられて」しまっているんですが、その代わりに彼には車止めとしての立派な仕事が新たに与えられた。鎖につながれてしまっている点はすこし窮屈そうですがね。

B:定年退職後、パートとして新たな仕事にはつらつと励んでいる60代の中年男性を思い起こさせるような一枚ですね。
よく見ると「駐車禁止」と書かれてある
よく見ると「駐車禁止」と書かれてある
A:それからこちらは、椅子としてもまだまだ働けそうに見えるのですが、現在は一線を退いてます。では何をしているかというと・・、Bさんこの椅子の座る部分をよ~く見てください。

B:ん~どれどれ・・あ!「駐車禁止」って書いてありますね!?じゃあこの椅子は、今は近隣の住民に駐車禁止を告げる表示板として活躍してるってことなんですね。

A:こんな風に、椅子としては捨てられても、まったく椅子らしくない別の使い方で元・椅子が生まれ変わるっていう点も面白いでしょう?
捨て椅子か?それともただの椅子か?
B:いやぁなんだか少しずつAさんが捨てられた椅子を写真に撮ってる理由がわかってきた気がします。その他にはどんな作品があるんですか?

A:そうですね、あとはソファとかも意外と捨てられてたりするんですよね。
A:意外とかっこいいソファとかが捨てられてたりして、部屋にあったらいいだろうなぁとか思う時もあるんですけど、一応僕の中のルールとしてその捨てられている対象には絶対触れないようにしてるんですよ。

B:それはまたなぜですか?

A:捨てられたそのままの姿をカメラに収めたいっていうのがありまして。カメラ映えするように、下手に椅子を動かしたり演出するのって、なんかその時点で「捨てられた椅子」じゃなくなってしまう気がするんですよね。

B:はぁ~Aさんなんだかこだわってますねぇ・・。その他に何か自分で設けているルールがありますか?

A:あとは韓国の人たち、特に市場とかのアジュモニ(おばさん)アジョッシ(おじさん)達って、よく外に椅子出して腰掛けながらおしゃべりしてるんですよ。その椅子が捨ててあるのかそれともただ腰掛けるために外に置いてあるのか、判断が難しいんですけどその区別はきちんとするようにしてますね。いわゆる曖昧な、ボーダー上にあるやつは一旦写真を撮っておいて、次にそこを通ったときに誰かが座ったりしてたらその写真は削除します。やっぱり大事なのは、“捨てられてる”っていうところですから。
B:今までで何枚くらい撮影したんですか?椅子を撮るために外出したりもしてるんですか?

A:椅子の写真は今の時点で120枚くらいです。以前は椅子を撮るためだけに外を歩き回ったりもしてましたが、わざわざこちらから探しに行かなくても、椅子はほんとによく捨てられているので、最近はカメラだけ持って外に出て偶然見つけたら撮るようにしているくらいですね。
椅子を捨てたのは誰?
B:一番の疑問なんですけど、どうして韓国にはこんなに椅子が捨ててあるんでしょうかね?


A:それが正確な理由は僕もわからないんですよね。韓国人の友人たちにいくら聞いても、その理由はおろか椅子が多いっていう事実にも気づいてない人がいますからね。これから先コネストで調べる必要があるでしょう。ただ、これはあくまで推測なのですが、やはり未だに韓国人のゴミに関するマナーが確立されていないからというのがまず1つはあると思いますね。


B:それは具体的にどういうことでしょう?
A:韓国でも日本と同様、椅子は粗大ゴミ扱いですから、各地区の洞事務所に届け出をして、手数料を支払った上で回収してもらわなければいけないんです。でもそういった手間やお金がかかるのが嫌で、不法で捨てて行く人が後を絶たないのだと思います。それで結局、椅子は回収もされず、長い間その場所にとどまる・・っていう形で増えていったんでしょうね。
B:以前コネストでも韓国のゴミ問題について取り上げましたよね?あの時もやはり問題を解決するには国民の意識改革から始めなければいけないだろうという話だったんですけど、椅子に関してはこれから先国民のゴミや資源に関する意識が改善されれば、どんどん無くなっていくかもしれないですね?
A:残念ながらそういうことでしょうね。でも見方を変えればより住みやすい、旅行のしやすい韓国になるということですからね。日本と比べたときに、日常レベルでのゴミや資源に対する韓国人のマナーの成熟度はまだ低いと思いますから。でもだからこそ、現在の韓国独特の姿を記録しておくということが大事であるし、おもしろいんだと思います。だからこれからも、「家具」からただの「ゴミ」に変わってしまった「彼ら」をできる限り写真に収めていきたいと思っています。
「ソウル捨て椅子百景」、いかがでしたか?「百景」といいながら、100枚の写真は紹介できませんでしたが、ソウルの街と椅子のおりなす不思議なスペクタクル、お楽しみ頂けましたでしょうか?最初は笑いながら写真を見ていたコネストスタッフたちも、まさか話が韓国のゴミ問題にまで及ぶとは思ってもいなかったのでビックリでした。10人いれば10人の韓国の楽しみ方があります。皆さんも韓国旅行の際に、あなただけの韓国の楽しみ方を見つけて、その楽しみ方をコネストに教えてくださいね。
韓国旅行おトク情報
  最終更新日:06.11.03
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