忠清南道・瑞山（ソサン）に「진국집（ジングッチッ）」という名物食堂があります。特別な料理ではなく、忠清道風のテンジャンチゲ・・・つまり味噌汁など出す店です。

ソウル・景福宮近くに、この「ジングッチッ」の家族が経営するという食堂があります。店名は「瑞山ジングッチッ」。都心の一等地にありながら目立たない裏通りで、ひっそりと田舎料理を出しています。忠清道出身の知人たちと訪ねたら、韓屋風の落ち着いた雰囲気で、真鍮の食器もちょっと出てきて、料理も美味だったので、きょうの午後2時ごろに一人で再訪してみました。

昼メニュー「게국지（ケグッチ）＋牡蠣の塩辛（10000ウォン）」を注文。「ケグッチ」は「ケ（蟹）」という名前どおり、ワタリガニが半身入っています。さすが、カンジャンケジャンの名産地「瑞山」を名乗る店です。
牡蠣の塩辛の小粒さを見るに、瑞山産かもしれません。新鮮で美味です。その他のおかずも、蓮根の煮付け、コンナムル、シシトウと牛肉の煮物・・・と、素朴で良い感じです。

が、前回訪問時に見た重要なアイテムが出てきません。「カムテ」です。
海苔のような外観ながらも、海苔とは異なる繊細な食感の「カムテ」は、瑞山の特産品です。ソウルでは、同じく「瑞山」を売り物にするカニ店「真味食堂」など、ごく限られた店でしか見られません。なお、海苔より断然高価です。

勇気を出して、店の人に「前回、韓国人の友人たちと来た時、『カムテ』という海苔のようなものが出てきたのですが、今は出していないのですか」と訊いたところ、「・・・韓国人でも好みの分かれるものなので、希望される方にしか出していないのですが、お好きですか」との回答です。

そういえば、知人たちも「これが美味い」と言いつつカムテを頼んでいた気がしますし、黙って誰にでも出したらスカスカの海苔だと思って残す人もいるかもしれません。待つこと2～3分。思ったより多めの「カムテ」が出てきました。香ばしく、乾燥しているのにパサパサ感はない美味です。ありがたく完食しました。

定食自体も素朴で美味ですが、「カムテ」は他店ではあまり見ることのない珍味です。この店を訪ねられたら、ぜひ挑戦を（カムテにというより、店の人にですが・・・）お勧めします。ところで、この店には「釜山プルコギ」という看板も出ていて、プルコギも人気メニューです。